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映画ファンの友人がくれた「明日にかける橋」の嬉しい感想文! [明日にかける橋=感想]

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この10年くらい。泣ける映画がブームらしい。今、ヒットする映画は泣けないといけないという。なのに「泣ける」「号泣する」と言われる映画を観ても、ラストに1回ホロッとするだけ。目がウルウルする程度のことが多い。その程度で「泣ける映画」と呼ばれるのがメジャー映画なのか? 

だとすると太田監督の映画はどう言えばいいのか? 毎回、「泣ける」ー程度ではない。ラストに1回、ウルウルどころでない。上映中に2度3度、4度と涙が溢れる。ハンカチなしで観られない。場内を見るとずっと泣いている客もいる。太田監督の映画は毎回その年1番の泣ける映画だと思う。

しかし、泣ける映画なんて毎回作れるものではない。海外の映画監督でも前回は泣けたが、今回はダメ….ということが多い。泣ける映画=つまり、感動作というのは何本も連打できるものではないのだ。にも関わらず、太田監督の作品は毎回泣ける。

泣ける映画の典型ー古くは「ある愛の詩」。記憶にある日本映画なら「世界の中心で愛を叫ぶ」まで、ほぼ同じパターン。恋人が病気で死ぬという難病もの。1本ならいい。でも、2本3本と同じパターンを見せられても泣けない。

そんなこともあり2本続けて「泣ける映画」を作った監督は、古今東西ほとんどいない。にも関わらず彼は「ストロベリーフィールズ」「青い青い空」「朝日のあたる家」「向日葵の丘 1983年・夏」と4本続けて観客を号泣させた。どれも難病ものでさえない。今回は5本目。さすがにもう無理だろう。あるいは泣けても1回、ウルウル…くらいと予想した。

その5本目「明日にかける橋」の完成披露試写会を見た。悔しいが、今回も泣けた....。3回泣かされた....。板尾創路がうまい! 田中美里も凄い。そして新人の越後はる香がいい。俳優たちの芝居に涙が溢れた。もし、私が初めて観た太田作品が「明日にかける橋」なら「俳優がうまかった! 俳優の演技に泣かされた」と感じるだろう。しかし、デビュー作から観ていると、毎回違った俳優なのに泣かされる。これは監督が実力ある俳優を選んでいるということ。

そして、やはりシナリオがいいから感動し、泣けるということになる。今回の主軸は父と娘。前作は友達。前々作は家族。と毎回違う物語が展開。キャスティングもシナリオも、監督が担当している。つまり、監督の力で毎回泣かされているという訳だ。それが5回連続。皆、涙溢れる感動作。凄いことだ。近年の日本映画でそんな監督はいない。あえて言えば黄金期の木下恵介監督に近い仕事振りだ。ただ、それに気付いている映画評論家はいないだろう。

あと、太田監督の不幸なところはマイナーで仕事をしているのに、作る作品はメジャー路線だということ。評論家はマイナーな作品(歪んだテーマ)を喜ぶ。その意味で太田作品は大手企業で監督し、シネコンで上映した方が多くの人が観て、感動してくれるはずだ。ただ、メジャーで撮ると急にダメになる監督が多い。個人的にはマイナーで素晴らしい作品を作り続けてほしい。6作目も、涙と感動の名作になることを期待している。


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地元映画は映画館公開前から、故郷アピールがスタートする! [地方映画の力!]

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近年、「映画による町おこし」がブームだ。「明日にかける橋」もそんな1本。まだ、全国公開はされていないが、すでにその効果は発揮しつつある。まず、昨年の春に制作発表が行われた。多くの映画サイトが記事にしてくれた。「静岡県の袋井市、磐田市、森町が舞台となる太田監督の新作」と全国に配信。それを日本中にいる映画ファンが読む。製作発表するだけでも、街の名前がネットで発信されるのだ。

実際、東京の知人からも「新作映画を撮るんだって? ロケは静岡県の袋・・袋井だっけ?」と言われ驚いた。やはりネットの力はすごい。次に市民オーディションを行った。静岡県内から多くの応募があったが、県外からもかなりな応募。その全員がオーディションのために、地元を訪れた。同じ静岡県人でも、かつて袋井にも、磐田にも、森にも行ったことがない!という人もいた。オーディションがあったことで、町を初体験!

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他県からの応募者はこういう。「行ったことがないどころか、袋井なんて街の名前はかつて聞いたことがない。映画のオーディションがなければ一生行くことはなかった」でも、その人は市内に素敵なお寺があると知り、帰りに観光をし、団子を食べて帰ったという。さらに撮影が始まると、ボランティア・スタッフの人たちが全国からやって来た。僕が映画を撮ると毎回、泊りがけで応援に来てくれる方々だ。

彼らは自腹で宿泊、撮影のお手伝い。袋井や磐田、そして森という街を体験した。地元の人と交流。「街の人たちはとても親切だった。素敵な神社もあって今度は観光で来たい!」と言ってくれ、それぞれのブログに撮影日記を書いてくれた。それをまた多くの人が読む。映画がなければ町の存在さえ知らなかった人たちが、映画完成前から数多くやって来たのである。応援団ばかりではない。出演した俳優たちも何週間も街に滞在、地元の食材を食べ、地元の人たちと触れ合い、休みの日には買い物や街の散策にでかける。

俳優の1人は地元で食べたある果実に感動。それを多くの人に伝えたという。俳優たちはテレビ番組やラジオ番組に出る。トーク番組で地元体験の話をする。ブログやインスタグラムに投稿。地元で体験した出来事や食べたものを紹介する。それは物凄く大きな宣伝。何万人、何十万人という人に伝わる。同じ効果を通常の宣伝でやろうとすると、何百万。数千万円が必要。つまりそれだけの対費用効果がすでにあったわけだ。


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映画がまだ公開されていない段階でも、こんなふうに街のアピールが進んでいる。これが映画が公開されたたら?もっと大きな展開が起きてくるのである。ただ、勘違いしてはいけないのは、NHKの大河ドラマではないので、公開即に大反響ということではない。テレビは放送されれば視聴率が低くても多くの人が見る。が、映画は大ヒットしなければ、つまり多くの人が見てくれなければアピールはできない。

以前に「町おこし映画を作ったけど何の効果もなかった....」と悔しそうに言う人と会っことがあるが、聞くと中身は物語そっちのけの地元PR映画。地元以外の上映は東京でひっそりとレイトショーのみ。全国では見た人はいないという作品だった。地元映画は作っただけではダメ。ちゃんと全国で、それも宣伝した上で上映しなければ、見に来るのは地元関係者だけになってしまう。

しっかりと映画をアピールすれば、雑誌、新聞、ネットの映画紹介コーナーも情報を伝える。「静岡県の袋井、磐田、森という街で撮られた映画があること」そして映画館に足を運び、観た人たちは街の魅力を感じてくれる。「クライマックスの舞台になるあの寺。いつか行ってみたい!」「あの花火大会。今年行ってみよう」「ロケ地巡り。したいなあ〜」と思ってくれるのだ。

新聞広告や駅貼りのポスターではそんな効果は期待できない。それ以前に新聞の全面広告を何度か出せば、低予算の映画が1本できる額になる。さらに新聞は町の宣伝をするにも写真しか掲載できない。対して映画は物語があり、美しい映像と音楽で街を伝えるから「この街に行ってみたい〜」となるのだ。映画の力は大きい。こうなると次のステップは宣伝。その話は別の機会に詳しく書かせてもらう。


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「明日にかける橋」夏前に公開できる可能性が浮上?! [1月ー2018]

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「映画を作れば映画館は上映してくれる!」と思っている人は多いのではないか? なんで、そう思うの?と友人に聞くと「だって、映画は映画館で上映するもんだろ?」といわれた。さらに「て、いうか?そんなこと考えたこともないし、映画を上映するのは映画館だろ?だったら上映するよ」と言われた。

では、こう言おう。野菜を作ればスーパーに並ぶのか? 百貨店の地下食品売り場に並ぶのか? 友人はいう「それはないだろう? それなりにいいものを選んで仕入れるはずだよ」ーその通り。映画も同じなのだ。

映画館はいくつかの系列がある。東宝、東映、松竹.....その中で基本、東宝が作った映画は東宝系の映画館でかかる。(今はシネコンが多いのでそれ以外の映画も上映する)あと、独立系の映画館がある。そこは支配人なりが映画を観て気に入ったものを上映する。主にインディペンデント系の映画を扱う。

ただ、多くの映画館。搔き入れときには大手映画会社の映画を優先的に上映する。正月、春休み、ゴールデンウィーク、夏休み、冬休みは何年も先まで(たぶん永遠に!)大手作品のために空けてあり、独立系は優れた作品で大ヒットの可能性があっても、それ以外の時期にしか上映しない。

上記以外。6月あたりと9月あたりだ。(あと、2月。11月で大手作品が終わったあと。始まる前ということもある)。それらもゴールデンウィークや夏休みの映画がヒットすれば続映となり、独立系の映画はそのあとにしか上映されない。そんなふうに大手の作品が優先され、独立系は隅に追いやられるというのが映画館事情。

その僅かな期間しか枠がないところに多くのインディペンデント系の映画を上映せねばならないので、1年待ちということになるのだ。以前にも書いたが支配人が「この映画はいい。ぜひ、うちでやりたい!」といいながら、1年後に上映ということになる。その頃にはもう鮮度が落ちていて結局、ヒットしないということもよくある。

さて、「明日にかける橋」だが、先日、配給会社の担当者と話をした。今はすでに1月。1年待ちの来年1月なんて絶対にダメだ。花火がクライマックスの映画だから夏に上映するのが一番。だが、夏休みは大手が押さえているのでダメ。ならせめて、9月に上映!とお願いしている。担当者もがんばって、あちこちの映画館に話をしてくれたという。そんな中で「6月」という可能性が出て来たという。

夏が舞台の映画は(明日ーは夏だけでなく、数年に渡る家族物語ではあるが)夏に上映するより夏前に上映した方がヒットするとも言われている。観客が「こんな映画のような体験を夏にしたい!」と夏の計画を立てるために映画を観る傾向があるからだそうだ。その意味では6月というのは「あり!」だと思う。決定ではなく、可能性だけだが、夏前に「明日にかける橋」公開だと本当にありがたい。


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明日にかける橋ーポスプロ日記 本日も朝から再編集! [1月ー2018]

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明日にかける橋ーポスプロ日記 本日も朝から再編集!

再編集というと、どうしても編集のやり直しというイメージになってしまう。「映像をつなぎ直す」という印象だろう。だが、今は編集というより効果の作業だ。オーバーラップ、フェードアウト、スローモーション、スチール、逆転、コマ落とし、ズームイン、ズームアウト、という効果も編集時に使うことができる。

ただ、それぞれは映像をクリックするだけでフェードアウトしたり、オーバーラップしたりはしない。その箇所を特定して、何秒のフェードアウトか? どこからスタートし、どこで終わるか? 時間を指定、設定してセット。そのあとに黒みを何秒入れるか考え、黒みを作り、挿入する。そのたびに、その部分をレンダリング。これが2分3分とかかる場合が多い。

あるカットをズームする場合も同じ。120%ブローアップするなら、「120」まで数値を上げる。前後のつながりを見てよければまたレンダリング。1分待つ。そんな感じで2時間ほどある映画の全てのカットを確認し続けている。なかなか、根気と忍耐が必要な作業。気づくと陽が暮れ、深夜になる。

先日、今まで使ったことのないある技術を専門家から教えてもらった。これがかなり効果を上げる!で、それを使ってみた。スタート地点を決めてマーキング。次に終わりのポイントを決めてマーキング。その倍率を打ち込み。そのたびにレンダリング。再生してみて何か違えば倍率を変えてもう一度最初から。

非常に効果的なので、それを映画の頭から5秒10秒置きに試してみた。作業はとても面倒だが、ここ数日それを続けいる。なかなか終わりが見えない。ドラム缶一杯のニンニクを毎日皮むきしているような気分。同じ作業の繰り返し。やはり、映画は料理と似ている。

ジャガイモ、にんじん、大根と、皮をむく作業は退屈で時間がかかるものだ。特に量があると本当に疲れる。が、食べるの一瞬。編集作業もそれと同じ。どんなに時間をかけて3秒のカットを編集しても、観るのは3秒だ。でも、時間をかければ、それなりの効果が上がる。

聞くと、この効果。ある有名監督も多様しているらしい。なるほど......。ただ、観客はその効果を体感して物語を面白く観ることはできるが、その効果がどんなものなのか?は映画を観ていても気づかないだろう。だが、確実に作品はおもしろくなる。そんな作業をあと数日続ける。


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明日にかける橋ーポスプロ日記 サウンドを5.1chステレオで再録音! [1月ー2018]

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ちょっといいお知らせ。映像部分の再編集を続けているが、音響の方も追加作業をしている。昨年暮れの完成披露試写会はホール上映。どーしてもホールというのは多目的に作られており、音響に関してはそこそこの設備しかないことが多い。なので、ステレオで音や音楽を録音した上映素材を使った。

しかし、秋頃に予定されている映画館上映。最近のシネコン等はかなりいい音響設備が導入されている。ドルビーサウンドやサラウンドで再生できる格段違う機材で映画を上映する。画面も大きくてクリアー。

そこで映像だけでなく、音部分も追加作業をしてステレオ5.1CHで録音し直すことにした。つまり、音が映画館の中を飛び交う。右から、左から後方から、いろんなところから高音質の音が聞こえて臨場感溢れる音響で映画が楽しめる訳だ。音楽もコンサートホール並みの音響が味わえる。

本来なら、かなりな費用がかかる作業だが、現在ある残された制作費でスタッフがやりくりしながら対応してくれている。観客の皆さまに、より素晴らしい映像でより高音質な音で映画を楽しんでもらえるように、今もスタッフが奮闘中だ。映画館公開。期待してね!


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明日にかける橋ーポスプロ日記  再編集は続く! [1月ー2018]

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先日からスタートした再編集。エンジンがかかってきて、再び編集室に閉じこもる。やはり時間をおくと、いろいろ問題点が見えてきて、あれこれ直してしまう。追加撮影をしているわけではないので新しいシーンが増えるということはないが、編集のちょっとした工夫で、その場面がよりリアルに見えたり、ハラハラ感がさらに盛り上がったりする。

本当に編集というのは大切で、単に映像と映像をつなぐという作業ではない。同じ撮影素材でも編集する人によって、平凡で退屈なシーンになったり、ドキドキするサスペンス場面になったりするのだ。そして、このくらい時間をかければオーケーということはない。長い長い時間をかけて作業することで、編集はよりよいものになる。

同時に合成パート担当者も作業を進めてくれている。スタッフは皆、職人。観客が「これで十分」と思っても、本人が納得しないといくらでも作業を続ける。ギャラや時間ではない。自分が納得できるかどうか?だ。その思いがプロフェッショナルな作品を完成させる。

そんな作業がしばらく続く。が、領収書の整理も始めなければならない。1月の後半はかなりハードな毎日になる。



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明日にかける橋ーポスプロ日記 再編集と申告の準備?! [1月ー2018]

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この正月は何年振りかに仕事をせずに、ただただ寝ていた。昨年暮れに1年がかりの「明日にかける橋」が完成。試写会も終えたのでほっと一息。疲労困憊で寝たきりとなった。それもつかの間、先週から再編集がスタート。カラコレ、合成、音響効果担当者も直し作業を始めている。と、気付くとすぐに2月。申告のシーズン。映画完成の膨大な領収書を整理。準備をせねばならない。

とにかく映画を作るともの凄い量の領収書となる。それを段階別に、何にいくらかかって...と仕分けせねばならない。どこで、いつ誰が、何を買ったか? 誰にギャラをいくら支払ったか?どこ会社にいくら振り込んだか? それらを全てパソコンに打ち込んでExcelに記録する必要がある。

そのあとは税理士さんがやってくれるのだが、そこまでの作業が本当に大変。再編集と共に、その作業をやらねばならない。毎年、何週間もかかる。特に映画制作のあった年は大変。社員がいる訳ではないので自分でやる。誰か手伝ってくれる人がいるといいのだが、皆、申告の時期なのでそうもいかない。

さらに、今年スタートする仕事の準備もせねばならない。映画の再編集と劇場公開の準備はあるが、監督業としては、それらの作業でギャラは派生しない。宣伝は監督の義務みたいなもの(逆に言うと、一般的に監督は宣伝をしない。マスコミ取材を受けるのと、舞台挨拶くらい)だから舞台挨拶をしても、ブログで宣伝しても人件費は出ない。それで給与が出るのは宣伝会社や配給会社だけ。

ちなみに俳優も舞台挨拶ではギャラは出ない。あくまでも自身が出演した映画をアピールしたい!という好意なのである。なので監督は宣伝活動とは別に生活のための仕事をせねばならない。1月2月は再編集、申告準備、次の仕事の準備と3つが同時進行。かなり厳しい期間になりそうだ。

「次の仕事」と書くと「次回作ですか?!」と言われそうだが、そうではない。そんなに毎年映画を撮ることはできない。映像系の小さな仕事を昨年「明日」が正式にスタートする前に頼まれていたので、それをスタートさせる。中身についてはいずれお伝えする。

とにかく、この2ヶ月を乗り切らねば!今回は3人分の作業。映画制作では7人分の仕事をしているのだから、まだいい方かな?


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「明日にかける橋」の嬉しい感想を見つけた [明日にかける橋=感想]

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掛川の方が昨年暮れの「明日にかける橋」完成披露試写会に行ったことを綴ったブログを見つけた。これがなかなか興味深い。まず、こう書かれていた。

「市民映画製作プロジェクトということで、正直あまり気のりがしませんでした」

ブログの著者がそう思った理由。市民映画の多くは地元のPRが主体で、地元がいかに素晴らしい街であるか?を説教臭く語る映画であることが多いからだ。まるで教育映画のようにグダグダと歴史や街の産業を説明するものもある。せっかくの休みの日に入場料を払って観たくないのは当然なのだ。ブログにもこう書かれている。

「シティプロモーション的な観光地がいろいろ出てくるけど、あまり内容の無い作品じゃない?と思ったから」

まさにそれを予感したのである。しかし、ブログはこう続く。

「それでもどんな俳優が出演しているか見てみたところ、鈴木杏、それから板尾創路、田中美里、藤田朋子、宝田明と、あまりその筋には詳しくない自分でも、知っている方々が出演するのだとか。特に興味を持ったのが、板尾創路さん」

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そうなんです。その手の地元(市民)映画には有名俳優は出ない。無名の俳優しか出ていない。だから余計に興味が持てず、映画を観る気が起こらないということになる。その意味でも名の通った俳優に出てもらうことが大事。そのためには単なるPR映画ではいけない。俳優たちが「出たい!」と思ってくれる中身のあるシナリオを用意せねばならない。それをブログの筆者は感じ取り、試写会へと行く気になってくれたのだ。そして感想はこうだ。

「はっきり言って、面白かったです。弟・健太が亡くなった1989年から20年を、その間のニュースでつなぐのですが、その時を生きてきた世代なら『あったよね、こんなこと』と、懐かしくも切ない気持ちで見ちゃいました。そうそう、この20年、こんな時代だったよなと。そして主人公たちがタイムスリップした後の奮戦、応援しちゃいたくなりました。2時間8分、映画としては長めのものだと思いますが、飽きることもなく最後まで見られました。板尾さんの演技と藤田さんの演技が、要所要所で泣かせてもらって、笑わせてもらいました」

まさに、期待した感想。街のPR映画ではなく、観る人が楽しみ、笑い、感動できる。そんな映画を作らなくては観てくれない。そして関心を持ってもくれない。今回の映画。まさに地方映画が嵌るダメ・パターンを企画時から地元の方々と話合い把握。よくある退屈な市民映画にしないように、そして一般の商業映画に負けない作品にするために努力してきた。そのブログの感想文を読むと、まさにそれが成功していることを実感する。

では、映画を作るそもそものきっかけであるテーマは完徹できたのか? それは「PR映画にはせず、街の魅力を発信する映画」この両立は難しい。単なるPR映画でもダメだが、単なる娯楽映画だと市民が作る意味がない。その辺をブログの著者はどう感じたのか?

「袋井・森は『舞台』として、いい映画を撮ってもらったなと、掛川人としてはちょっとうらやましく思います」

んーーこれも嬉しい。というか、まさにその通りなのだ。街をPRするために観光地を写したり、街の魅力を出演者に語らせても実はアピールしない。それでは観光案内ビデオを見ている気分になる。大事なのはまず物語に感動できること。そうすれば背景となる街も感動と共に記憶に残る。

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ブログの感想から、その部分もうまく行っていること感じられる。多くの街で作られる地方映画、ふるさと映画は先に挙げた注意点に気づかず自画自賛ムービーを作りがち。だからこそ、著者は最初映画を「見たい」と思わなかった。しかし、陥りがちな問題点を地元の皆さんが理解し取り組んだことで感動と街の魅力を伝えることができた。「明日にかける橋」は目的を達成した。これなら全国に発信しても大評判を取るに違いない。実行委員会の皆さんの勝利ですね。

ブログ=>http://www.inqsite.net/weblog/4256/


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映画はこうやって宣伝する?!大作は1年前からスタート? [映画宣伝入門]

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映画の宣伝というのはいろんなものを使う。チラシ、ポスター、それらのデザインは新聞、雑誌広告としても掲載。或は予告篇ーそれらは映画館やCM、ネットで流される。その中で一番強力なのはやはり予告篇である。何といっても本編の映像が使われているので、印象が強い。「おーこれは観たい!」と思わせる。が、使い方によっては大変なことになる宣材でもある。

映画の宣伝は大作だと1年くらい前から始まる。そして公開3ヶ月前くらいから大々的に行なう。現在、上映中の「スターウォーズ 最後のジェダイ」も昨年の正月くらいから宣伝をスタート。公開前の秋くらいから本格的になった。というのも、1年前から大々的に宣伝すると、まずいことになるからだ。

例えば「SW」の予告篇を観る。レイが、ルークが活躍している。ライトセーバーを振り回す。ミレニアム・ファルコン号が飛ぶ。そんな映像を観ると「おーーー今回も面白そうだ!」と多くの人が思う。しかし、その予告篇を1月に観ても映画館公開は12月。「観たいーーー」という気持ちは12ヶ月も続かない。

おまけにその予告篇を映画館に行くたびに観ていると、次第に感動は減って行き、いつしかすでに映画を見た気にさえなってしまう。結果、映画館で上映される頃には興味はなく「え?」今頃上映しているの? という感じになってしまう。これでは宣伝どころか、映画を観る気をなくすキャンペーンである。

そうならないように、初期の予告篇にはあまり本編映像は出て来ない。その作品のイメージを伝える映像が流れるだけで12月に公開ということを伝えるだけの、俗に「特報」と呼ばれるものが流される。出演者は誰で、どんなジャンルの映画なのか?をテロップ等で紹介。そのあとに本編映像が入った予告篇が作られるが、これも見せ場は使わず、本編のそれなりの部分だけ。或は映像でやっと出演者が紹介される。

そんな風に公開に近づくほどに「おー」と思える場面が入って来たり「観たい!」と思える映像が入った予告篇になっていく。そして3ヶ月前になると最終版。「これは観なければ!」と思わせる予告篇になる。映画館で予告篇が流れるだけでなく、テレビやネットでも流され多くの人に目が触れる。そうやって映画館に来てもらうという戦略だ。

つまり、公開の1年も、半年も前から最終版の本格的な予告篇を流すと、公開までに映画を見た気になってしまうので、結果映画館には来てもらえない。少しずつ情報を出して行き、タイトルを覚えてもらい、映画の中身を知ってもらい、公開前に観客の気分が最高潮になり「早く観たいーー!」と思わせることが大事なのだ。繰り返し長期に渡り、宣伝することでより多くの人に関心を持ってもらうことも大事。

ただ、同じ宣伝を半年以上くり返していると「まだ、やってるのかー」と興味を失う人も出て来る。だから、毎月何か、新しいニュースを出すことも大事。予告篇でいえば、少しずつ見せ場が出て来る。宣伝でいえば上映映画館が決まる。映画祭出品が決まる。マスコミ試写会での評判が伝わる。そんなことで映画の噂を広げることも大切なのだ。

いずれにしもて映画宣伝はとても大変だし、むずかしい。けれど、そのことで多くの人が映画を観て感動する。劇場でヒットすれば日本各地の映画館に上映の輪が広がるし、海外上映も可能になる。DVD、ケーブル、衛星放送という展開も出て来る。その第1歩が最初の映画館公開。そこで惨敗すれば、その後の展開はなくなる。だから、最初の宣伝がとても大事なのだ。

明日にかける橋」特報③=>https://youtu.be/7t0YZDRhl64


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