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地方映画の力ーこんな風に街がアピールされる!街の名前を覚えてもらうこと大事! [地方映画の力!]

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地元に映画ロケを誘致する。あるいは地元で映画を製作する。そのことでどんな効果があるのか?何度も書いてきたが、今回は少し具体的に書いてみよぅ。

まず「明日にかける橋」が全国で公開される。観客は思う。「日本の原風景がある素敵な街だ。昭和の景色も残されているし、いいなあ」今は昭和レトロがブーム。その風景を求めて九州のある古い商店街に観光客がたくさん訪れたりしている。多くの街が古い町並みを保存したり、新しく作るときも古いデザインで建てると市から補助金が出る街さえある。懐かしい風景は多くの人を呼び寄せるのだ。

「明日にかける橋」はまさにそんな風景をたくさん撮影している。都会の人たちが見れば必ず憧れる。美しい大きなお寺、昔懐かしい駄菓子屋、木造住宅が並ぶ通り。都会のビル街で仕事をする人たちの心を癒す風景なのだ。それを映画で観る。「どこで撮影したんだろう?」パンフレットを開く、ロケ地マップが載っている。

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「静岡県かあ〜。袋井、磐田、森? 聞いたことない街ばかりけど、映画に出てくるような素敵な街なんだ。いいなあ〜」

こうして、映画を観た人たちにはロケ地の存在を知る。新商品でもそうだが、まず「名前」を覚えてもらうのは大変。菓子メーカーは新製品のチョコレートの名前を覚えてもらうために億単位の宣伝費を使う。また、会社でも製品ではなく、会社名を覚えてもらうためにCMを流すところも多い。芸能人は必死で名前を覚えてもらおうと頑張る。なぜか?

名前を覚えてもらう。会社名が認知されているというのは、大きなメリットがあるからだ。街の名前も同じ。「出身はどちらですか?」と聞かれて答えたときに小さな地方の街だと多くが知らない。それが「東京です」「大阪です」というと話が早い。都会でなくても「京都です」「奈良です」というと印象がいい。「北海道です」もアピールする。まわりの反応も違ってくる。ビジネスもやりやすくなる。もし、アイドルが2人いて、片方は有名。もう一人は無名。あなたはどちらに仕事を頼むか? 知名度は大事なのだ。

製品名も、会社名も、街の名前も同じ。市の観光課やシティプロモーションという部署はまさにそれをアピールする仕事をしている。いかにして、自分たちの町を知ってもらうか?とてもむずかしいが、街の名前を覚えてもらうことがいろんな展開を呼び起こすのである。

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と言って街の名前を映画の中で連呼してもダメ。まず、その街のイメージを伝えること。「素敵な街だなあ」と思ってもらってこそ「この街はどこだろう?」ということになる。そうなってこそ「次の休みにロケ地めぐりに出かけてみようかな?」と思う人も出てくる。「ロケ地めぐり」最近では「聖地巡礼」と呼ばれ映画のロケが行われた場所を訪ねてまわる旅のこと。

静岡県は新幹線に乗れば、大阪からも東京からも簡単に行ける。何といってもロケ地の1つ袋井市のキャッチフレーズは「東海道どまんなか」だ。東海道ー日本橋ー京都までのちょうどまんなかにある。だから関東からも関西からも同じくらいの距離で行けてしまう。

パンフレットに掲載したロケ地マップには、多くのロケ地がどの辺にあるのか?記されている。それを探して旅する。そんな観光客も出てくるはず。映画を観た人なら必ず、あの「明日橋」には行ってみたくなる。試写会で県外から来た人たちは「あんな橋が今もあるんだ!すごい」といっていた。

幸い。あの橋は袋井駅から歩いて行ける距離。20分くらいだろうか? 実際に見れば感動は2倍。願い事を抱いて橋を走りたくなるだろう。板尾創路さんが***するお寺は法多山。駅からバスで行ける。ここも行って観ると映画で見る以上に広く、素敵な場所であることを痛感してもらえる。磐田にも森にもそんな場所がいっぱい。自分が感動した場所。探して訪ねるのは楽しいものだ。

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つまり、物語に感動した場所に人は行ってみたいと思う。CMでいくら街の風景を宣伝しても、「よし、行こう!」にはならないが、物語に感動すれば話は別だ。これが映画のPR効果の基本。「美しい風景」と「感動的な物語」のコラボが人を魅了するのだ。映画によるPR効果はまだまだある。次回もそんな話を書いてみる。


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映画「明日にかける橋 1989年」の太田隆文監督 プロフィール [My Movies]

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「明日にかける橋 1989年」の太田隆文監督 プロフィール


1961年生、和歌山県出身。ジョージ・ルーカス等のハリウッド監督が学んだ USC(南カルフォルニア大学)映画科に学ぶ。帰国後、映画作家の大林宣彦に師事。1995年に脚本家デビュー。テレビドラマで監督デビュー。2005年にした青春ファンタジー「ストロべリーフィールズ」て゛劇場映画テ゛ヒ゛ュー。全ての作品は自身でオリジナル脚本を執筆。

毎回、カンヌ映画祭等、海外の映画祭で招待上映。選んだ新人キャストがその後大ブレイクする監督ともいわれる。大林宣彦監督も高く評価。次世代を担う実力派と期待されている。新作「明日にかける橋 1989年」は静岡県を舞台にした4本目の映画。

【フィルムグラフィー】

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「ストロベリーフィールズ」(2005年)
出演:佐津川愛美・芳賀優里亜・東亜優・谷村美月・波岡一喜・三船美佳
昭和40年代を舞台にした女子高生の幽霊ファンタジー。
カンヌ映画祭2005 フィルムマーケット招待作品
ジャパン・フィルム・フェスティバル・LA 201111招待作品

監督ブログ=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp

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「青い青い空」(2010年)
 出演:相葉香凛・草刈麻有・波岡一喜・鈴木砂羽・袴田吉彦・藤田朋子・長門裕之・松坂慶子 浜松を舞台にした涙と感動の青春書道映画!
ジャパン・フィルム・フェスティバル・LA 2011招待作品 ふじの国映画祭2017招待作品
DVDは全国のTSUTAYA等でレンタル中

 監督ブログ=>http://takafumiota08.blog.so-net.ne.jp

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「朝日のあたる家」(2013年)
出演:並樹史朗・斉藤とも子・いしだ壱成・山本太郎
原発事故を背景に絆を描いた家族ドラマ。静岡県湖西市ロケ。
ジャパン・フィルム・フェスティバル・LA 2011招待作品、アリゾナ州立大学、シンガポール、ニュージーランド、バリ、バンクーバ、ドイツ。世界6カ国で上映。絶賛される。
DVDは全国のTSUTAYA等でレンタル中

 監督ブログ=>http://cinemacinema.blog.so-net.ne.jp

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「向日葵の丘 1983年夏」(2014年)
出演:常盤貴子・田中美里・藤田朋子・芳根京子・藤井武美・百川晴香・別所哲也・津川雅彦 静岡県島田市ロケ
1983年と現代が交差する悲しみの青春物語。
ジャパン・フィルム・フェスティバル・LA 2015招待作品
DVDは全国のTSUTAYA等でレンタル中


 監督ブログ=>http://aozoraeiga.blog.so-net.ne.jp

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最新作「明日にかける橋 1989年」

 バブル最高潮だった昭和64年。平成元年である1989年と現代が交差する家族物語。
 静岡県の袋井市、磐田市、森町を舞台にこの夏撮影予定。
 
 映画のHPはこちら=>http://ffc2017.main.jp 

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明日にかける橋ースチール写真紹介② [思い出]

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これも、すでに昨年紹介したものだが、

完成披露試写会をご覧になった方は

「あーーーあのシーーーーン」

と思ってくれるはず。観てない方は秋頃に

「あーーー」

と言ってもらえるはずです。


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【映画の宣伝ってどーやるの? *億円かけて告知するって本当?】前編 [映画宣伝入門]

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【映画の宣伝ってどーやるの? *億円かけて告知するって本当?】

「向日葵の丘」も宣伝で全国を飛び回ったが、行く先々でお話させてもらった方々からいつもながら驚く話を聞いた。これだけ映画やテレビ業界用語や裏話等が一般でも知られているのに「宣伝」というものが未だに理解されていない。多くの方がこういう。

「宣伝って映画館がやるんでしょう?」「テレビ局がCM流してくれるんだよね」「誰かがやってくれるんじゃない?」「映画館で上映すれば、マスコミが宣伝してくれるんだよ」

ぜーーーーーんぶ、ハズレ! 皆、知らないというより、「宣伝」について考えたことがないようだ。テレビを付ければ24時間CMが流れる。雑誌を開けば広告だらけ。だから、一般の方はそれが当たり前になっていて、宣伝というのは誰かがやってくれるもの.....で完結して、「では、誰が? どうやって?」とは考えないことが多い。

ある人に「じゃあ、誰が宣伝するの?」と聞いたが「「電通がやってくれるんじゃない?」といわれた。「じゃあ、電通って何をしてくれるの?」とさらに聞くと「さーよく知らないけど、宣伝してくれる会社だから、宣伝するんじゃないの?」と答えた。んーーーーーーーー、電通は広告代理店だ。宣伝会社ではない。やはり、宣伝について真剣に考えたことがないようだ。

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毎回、映画が公開されるとき、多くの人は「誰かが宣伝してくれるんじゃないの?」と思い「監督、がんばって下さーーい!」といわれることが多い。あんた関係者なんだから「がんばれ」ではなく、宣伝協力してよ!といいたくなる。が、「誰かが宣伝してくれるよね〜。楽しみー!」で公開を待つだけ。という方が多い。なぜか、そうなってしまう。ま、それだけ一般の方は宣伝というものを把握できていないということ。そこで今回は映画の宣伝について説明する。

例えば「スターウォーズ」だ「ターミネーター」だというようなハリウッド映画の場合は、10億円くらいかけた大宣伝が行われる。テレビでスポットをバンバン流し、大手新聞に一面広告を載せ、雑誌等にもカラーで広告を掲載する。

ハリウッドからキャストを呼び、イベント。それをマスコミに取材させ、さらに個別のインタビュー。それがテレビ番組、新聞、雑誌、ネット等で紹介される。街角には巨大な看板。垂れ幕。ポスター。こうして映画の存在を多くの人に伝える。これには莫大な宣伝費がかかる。億単位の費用が必要だ。が、それくらいにしないと、1本の映画を日本中に知らせるのは難しい。

では、日本の独立系の映画の場合はどうか? まず、テレビスポットは無理。これが一番高い。数千万円から億単位。新聞広告も駄目。数百万から1千万円。雑誌も数百万。この辺は全てアウト。看板も駄目。これも数百万。

結局、できるのは、チラシ、ポスターを作る。それを映画館に置いてもらい、アピール。ポスターを貼り、チラシを配る。でも、それでアピールするのは映画ファンだけ。一般の人に映画の存在を伝えることはほとんどできない。そこでお金がかからずに、宣伝する方法を使う。「パブリシティ」である。例えば、雑誌や新聞。ネットに、主演俳優がインタビューに答えると持ちかけ、記事を掲載してもらう。


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あるいは監督のインタビューをしてもらう。俳優は知名度がないと、取材をしてもらうことはむずかしいが、監督なら無名でも記事になりやすい。この辺も費用が全然かからない訳ではない。女優さんならメイクさんを付けて、取材前にメイクをする。そのメイクさんが1日何万というギャラを取る。ビジュアル誌であれば、写真が重要。写真スタジオをレンタルして撮影する。それにまた数万円!

あとできるのは舞台挨拶。マスコミが来て番組や新聞で報じてくれる。が、なかなか、来てくれず、お客さんだけが舞台挨拶を楽しむだけということも多い。また、その記事が出ても、それを見て「この映画見よう!」という人は少ない。こうして独立系の映画というのは、多くの人に存在を知られることなく、公開され、大した観客動員ができず。2週間で終わることが多い。

それに対して大手映画会社は、特に日本の企業映画はこの数年。さらにスゴイ手法で宣伝している。テレビ局ジャックともいえるもので、朝から深夜まで、その局の番組に出演者が出まくるという戦略。朝のワイドショーから、昼の情報番組。夜のバラエティ。深夜のお笑い番組。嫌が上にも目に留まる。よく「いい映画を作れば客は来る。中身が勝負だ!」という人がいるが、いい映画でも、駄目な映画でもまず、その存在を知られないと映画館に来てもらえない。

映画館に来て見てもらって始めて「いい映画」と「駄目な映画」に分別される。そして、毎回書くが「いい映画」でも、その評判が広がる頃には上映が終わっている。2週間でも口コミを広げるにはあまりにも短過ぎる。こうして、詰まらない映画でも大宣伝すれば、ヒットする。「あれ、テレビで宣伝しているから見たけど、ほんと詰まらなかった〜」と悪い評判が広がるまでに、多くの観客が映画館に行くのである。現在、ヒット中のあの日本映画もそのパターン。

しかし、最近はテレビで宣伝しても大ヒットするとは限らない。観客がダマされなくなって来たのだ。すると、高額の宣伝費をかけても映画がコケることがあり、宣伝費をかけない映画はますますヒットしないという状態になっている。そんな中、僕がいつも行っている地味な宣伝法があるのだけど、何だかここまででかなりな文章量になってしまった。それはまた次の機会に紹介させてもらう。とにかく、宣伝はむずかしい。

まとめると、数億円の宣伝費を使わないと映画の存在を多くの人に知らしめることはできない。といって、数億円使ったからと大ヒットはしない。が、何もしないと、本当に客は来ない。いい作品を作れば口コミでヒットするといわれるが、口コミが広がる前に上映が終わる。それが今の映画界の現状。その中でそうすればいいのか? 考えていきたい。(つづく)


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明日にかける橋ーポスプロ日記 いよいよ再編集は終盤へ [1月ー2018]

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1500カットほどある映像が繋がって「明日にかける橋」という映画になっている。その1500カット=1カット5秒(平均)の1つ1つを全て再確認、効果をかけたり、少し長くしたり、短くしたりすることで、映画全体の印象がかなり変わる。そんな作業を2週間ほど続けたが、ようやく最後まで行った。

とはいえ、すでに2回最後まで作業して、頭から確認。そこで見つけた問題箇所を直し、また最後までという工程を繰り返した。今回は3度目。これで問題が見つからなければ再編集は終了。次の工程に移ることができる。その3回目の書き出しをしている。今回はTCコードを入れるので、かなり時間がかかる。

次の工程はSEの直し。すでに最初の版で入ってはいるが、再編集したことで音の位置が変わってしまったので、その辺を担当者にやり直してもらわねばならない。また、新たな効果音もつけてもらえるはずだ。

その前に本日は書き出し、あ! TC入りで書き出した映像のTCコードをチェック。前のバージョンと比較して、どこを再編集したか?を表にせねばならない。これがかなり大変な作業だ。


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雪やコンコン [1月ー2018]

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雪やコンコン





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ふくろい東京交流会で「明日にかける橋」の告知! [1月ー2018]

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昨日。東京で行われた袋井市(明日にかける橋のロケ地の1つ)の東京交流会。僕もご招待頂いた。そこで「明日にかける橋」が今年公開されることを告知する時間を頂き。委員会の皆さんらとステージに立たせてもらった。

会が始まる前にも、ロビーにいると袋井市からこの日のために来られた方々が次々に声をかけてくれた「映画見ましたよ!」「感動しました!」「袋井の魅力がいっぱいでした!」市長さんからもご挨拶いただき恐縮。昨年の暮れの試写会では舞台挨拶もして頂いた。(越後はる香が登壇の日)開会までの10分くらいで十数人!試写会の反響の大きさを感じた。

街の多くの人の応援と支援で映画が完成したこと。そして多くの人が映画を観て、感動してくれたこと。改めて痛感。今年の映画館公開で全国のみなさんにぜひ、観て頂きたい。宣伝がんばります!


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明日にかける橋ーポスプロ日記 料理も編集も決め手は隠し味? [1月ー2018]

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一度、最後まで再編集して、確認のために頭から見る。まだ問題があるところ、新効果をかけたがイマイチなところをいくつも発見。もう一度、最初からひとつずつそれらを直していく。少し長めに効果をかけたり、逆に短めにかけたりする。

あと芝居では「間」の取り方や「つながり」でおかしなところも直す。それを始めると収拾がつかなくなり、泥沼化してきた! えーーい。こうなったら徹底して直してやる!ということで、現在、後半の確認中。次第に集中力が落ちていき。背中と腰が限界に来て、しばらく横になる。30分ほど休憩して再び編集機の前へ。

完成しても再編集版を見た人はどこを直したか?まずわからないだろう。けど、確実にクオリティが上がっている。やはり映画も料理も同じ。隠し味が決め手なのだ。カレーならリンゴと蜂蜜? 映画は****だ。現在、作業は大人みゆき(鈴木杏)が職員室に乱入?中のシーン。

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1年前に書いた記事を再掲載=>【確実性が大事。延期して着実に準備しようーそれはアウト。映画作りは「思い」が問題を超え完成させる!】 [1月ー2018]

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 ゴジラの生みの親でもあり、特撮の神様と言われた円谷プロの社長だった円谷英二。「ウルトラQ」を作るとき、当時は驚愕的に高額なオプチカル・プリンターをアメリカの会社に注文した。そんな費用を円谷プロでは払えないのにである。発注してから社員はパニック。どうするの? 払えないよ。キャンセルしよう!と連絡したが、すでに船便で発送したあと。機械はすでに太平洋の上。

 結果、TBSが支払いを肩代わりするのだが、円谷が支払いのあてもなく注文したオプチカル・プリンターのお陰で「ウルトラQ」は歴史に残る名作となる。もし、彼が堅実で慎重な人で「会社に資金的な余裕が出来てから、その機械を買おう」と言っていたら、与えられた中で、地道に堅実にやっていたら、あの時代に「ウルトラQ」は誕生していない。つまりは「ウルトラマン」も「ウルトラセブン」も、さらには「怪奇大作戦」も生まれていない。

 「ウルトラQ」であのクオリティの高い特撮はできなかったし、他の会社が同種の機械を買い、そちらが飛躍し歴史に残ったかもしれない。当然、その後の円谷プロの隆盛もなかっただろう。特撮ドラマ・ブームも起きなかった可能性がある。全ては「ウルトラQ」から始まったことであり、そこで歴史が変わった。その全ては円谷英二の無茶な決断からスタートしている。

 あの大林宣彦監督が名作「転校生」のクランクイン直前にスポンサーが降りたというのも有名な話。普通なら、撮影は延期、または中止にして、新たなスポンサーを探す。状態を立て直して、改めて撮影に入る。が、大林監督はそのまま尾道に行き、スタッフ&キャストと合流。撮影をスタートさせる。製作費もないのにだ。そのあとの展開はすでにあちこちで語られているので、省略するが、大林監督はいう

 「あのとき、僕が撮影を中止にしていたら、今の僕はないでしょう。当然『時かけ』も『さびしんぼう』もない」

 さらに言えば、原田知世や富田靖子も世に出ていないだろう。ひとつの決断が歴史さえも変えてしまうのだ。そのこととてもよく分かる。80年代。自主映画をしていた頃。

多くの若い自主映画監督たちは撮影現場で苦闘した。素人の彼らの前に次々に難問が立ちはだかる。友人の1人はそんな問題に直面。このままでは撮影は破綻すると感じてスタッフに告げる。

 「このままいい加減な形で続けるより、一度撮影を中止して問題をクリアーした上で、改めて撮影を再開したい。このままではいい作品はできない。だから、しばらく撮影を中止にするが、必ず再開するので、そのときはもう一度協力してほしい」

 誰もがその言葉に「やる気」と「慎重さ」を感じ。撮影中止を了承。撮影再開を待つことにした。監督の言葉を誰も疑わず、信頼していた。が、一見、「やるき」と「慎重さ」を持つ、彼の言葉。その考え方がいかに机上の空論であったか?を数ヶ月後、全員が痛感する。

 何ヶ月待っても撮影は再開されず、年を超えても連絡はなし。本人に会ってもまるで「やる気」を感じず、映画のことに触れようとしない。「なぜか?」それは彼の言った「問題をクリアーした上で、改めて撮影を再開したい」という言葉。それがどれだけ困難なことであるか? 誰も分かってなかったのである。

 一見、正しいことを言っているようだが、一度、出航した船をもう一度、港に戻して修理、再び出航するには、かなりな時間と、膨大なお金と、強い意思と、深い理解と、もの凄い量のエネルギーが必要なのだ。そして、一度、港に帰って来て、ほっとしたところから、嵐の海に乗り出す気力は想像以上。つまり、撮影を中止して立て直すエネルギーも同じ。そして当然、撮影を再開しクランクアップまで持って行くもの凄いエネルギーも必要。

 だから、どんな困難があっても、撮影を中止せず続け、クランクアップまで無理にでも持って行く方が実は現実的なのだ。一度、止めて、また動かすのは想像を絶するエネルギーが必要。その現実を若い自主映画作家たちは知らなかった。「このままいい加減な形で続けるより、一度撮影を中止して、状態を立て直し、問題をクリアー」などという。それがどれだけ大変なことか?分からなかったのである。

 実際、自主映画の撮影はよく中断する。それで再開し見事な作品として完成したケースを僕は見たことがない。スタートしたら石に齧りついても、最後まで走り続けることが絶対に必要なのだ。だからこそ、大林監督はスポンサーが降りたにも関わらず、撮影を強行した。でなければ「転校生」は幻となること実感していたのだろう。

 つまり、言葉の上では「もっともだ」「堅実だ」「慎重さがある」と思えるものであっても、実際は機能しない、無意味であることが多い。別の角度からいうと人は目標を掲げると、まわりの人々は「可能性が低い」「前例がない」と批判することが多いが「可能性が高い」ことは誰でもできる。「前例がない」からこそ、成し遂げたときに評価される。慎重さや堅実さ、前例や可能性を大事にするのなら公務員になるべき。「税金を投入したけど失敗しました!大赤字です」ということをしてはいけない立場。

 でも、映画作りは戦い。そこで安定や確実性を求めるのは違う。「無茶だ」「もっと慎重に」「地道に」「チャンスはまた来る」とか言われたときに、それに逆い行動したときに成功はもたらされることが多い。そういえば僕が「製作費を集めて、映画を作り、監督する!」と宣言したときも、誰もが反対、批判。先輩たちからも何度も説教された。が、結果的に目的は果たした。初監督作の「ストロベリーフィールズ」は自身で製作費を集め、企業等を呼び込み、商業作品として映画製作をした。

 その後、2作目、3作目も自身でスポンサー集めからスタート。今は監督依頼が来るようになった。が、ただ待っているだけだったら、未だに劇場用映画を監督することはできなかったかもしれない。可能性が低くて、友人たちに批判されても、勝負するときに勝負することは大事なことなのだ。それを僕は大林宣彦監督や円谷英二から学んだ。


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明日にかける橋ーロケ地紹介 可睡斎(袋井市) 映画の中で登場する、もの凄い数のおひなさま。 [ロケ地紹介]

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明日にかける橋ーロケ地紹介 可睡斎(袋井市)

映画の中で登場する、もの凄い数のおひなさま。

これは袋井市にある可睡斎で現在、開催されているひな祭りイベントの1コマ。

本当に凄い数。ぜひ、

詳しくは=>http://www.japan-doll.jp/kasuisai/



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