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脳科学から考える⑤=俳優への道 年月をかけて磨き上げた力? [映画業界物語]

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「自分の考えた演技を自分の体を使って表現する」

ーそれが俳優の仕事。楽器を使って表現するのがミュージシャン。文章でするのが作家。映像を使い表現するのが映画監督。みな、同じだ。どうすれば自分の思いがそこに表現できるか? 

それは感受性の鋭い人が、様々なインプットで勉強した上で、アウトプットで実践して磨いた実力を発揮。卓越した表現ができるようになる。そんな人たちに依頼が集まり仕事となる。それが映画界、芸能界なのだ。

大学卒業=>就職

という一般社会とは別の構図がある。それを同じだと思うから勘違いしてしまう。そして、世間がよく言う「才能」というのは、鋭い感受性を磨き、インプットだけでなく、アウトプットでも鍛え、実践して手に入れた卓越した表現力のことなのだ。

それをもとから持っていた力のように「才能」なんていうから、多くが勘違いしてしまう。血と努力と汗。そして年月をかけて磨き上げた力なのだ。

これで「表現の仕事」

というものが、大体のことは分かってもらえたと思うが、感受性について、まだ、語り切れていない。その辺のことをまた機会があれば書かせてもらう。


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脳科学から考える④=俳優への道 カメラの前に立つこと。舞台に上がること? [映画業界物語]

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俳優も同じ。悲しみの演技をする。

「悲しそうに見えない!」と言われる。泣きの演技を勉強する。映画を見る。ドラマを見る。人間観察をする。大女優の演技を見る。それらは大切なことだが、全てインプット。その理屈や方法論が分かっても自分がするとうまく行かない。「才能がない?」そうではない。アウトプットが鍛えられていない。磨かれていないからだ。

それを繰り返し挑戦する。でも、ただ、泣く行為を繰り返してもダメ。それは意識した行為でしかない。演技ではない。大事なのは実践すること。舞台で、カメラ前で演技すること。それを繰り返すことでアウトプットが向上する。

「でも、そんな簡単に舞台やドラマには出れないし」

という人もいるだろう。その通りだ。しかし、俳優なら劇団とか、仲間と組んで小劇場で芝居もできる。これが映画監督志望なら、最低でも何十万もかけてカメラを用意、俳優とスタッフを雇い自主映画をせねば実践できない。

作家ならパソコンがあれば、小説が書けるが、生活のための仕事もあり、集中して書くのはこれも大変。つまり、お手軽に出来るインプットではなく、時間もお金もかかるアウトプットをしなければ表現力は向上しないということ。

簡単なことではない。でも、それを長年に渡ってやってきた人は強い。様々な試行錯誤をして考え続ける。それが卓越した演技力となり、迫力となる。

「どうすれば悲しみが表現できるか?」

「どうすれば怒りを伝えられるか?」

いろんなことを何年も考え実践し続ける。もうひとつ言えば、これは俳優でも、ミュージシャンでも、映画監督でも同じなのだが、学校で1年学ぶより、実践を1回した方が遥かに成長する。

もちろん、俳優にとって映画に出るというのは、小さな役でも大変なことだ。でも、だから、どんな役でもそのチャンスを大切にがんばる。現場に立つことがもの凄い勉強になるからだ。100回のレッスンより1回の現場。

でも、インプットしかやってない俳優の卵は見る力だけが向上していて、自分は即戦力と思ってしまう。人気俳優の問題点を見て、自分の方ができると勘違いして

「主役でないとなあ」「脇役じゃあ、真剣になれないよ」

と考えてしまう。そんな子たちをたくさん観てきたが、全員消えてしまった。まさに裸の王様。知識だけで「俺は出来る」と勘違い。アウトプットをほとんどしていないので、現場で通用しない...。

(つづく)


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脳科学から考える③=俳優への道 学校では学べない!? [映画業界物語]

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別の問題もある、

多くの俳優志望者はまず演劇学校に通う。必死で所属事務所を探す。さらには監督やプロデュサーと親しくなろうとする。営業する。なぜか? 就職活動を重ねてしまうのだろう。大手企業に入りたい。縁故を探す。関係者に売り込む。専門学校に行く。それと同じ。表現の仕事と会社員になるのは全く違うのに同じ構図で捉えてしまう。会社は入社してから仕事を覚える(最近は即戦力を求められるが)。同じように

「芸能事務所に入れば、仕事をもらえる。デビューさせてもらえる」

と考える。だが、大切なことを忘れている。アウトプットだ。たくさん芝居を観る。映画を観る。ドラマを見る。脚本も読む。「あとはチャンスだけ」と考える俳優の卵が多いが、それは間違い。

アウトプットができていない。演劇学校やワークショップに通ったくらいで演技は向上しない。ピアニストやバイオリニストは子供頃から練習を続ける。バレリーナや歌舞伎俳優も同じ。なのに、俳優だけが18歳やそこら。高校を卒業してから、演劇学校に行き、卒業したら俳優デビューなんて、どうなのか? 俳優ってそんな簡単な仕事なのか? 

ひとつには多くの俳優志望者が商業主義に乗せられている現実がある。高校を卒業。専門学校で料理を学ぶ。卒業して店で働く。これはありだ。大学を卒業して就活。企業に入社。多くの日本人はそれが社会に出る道筋と考える。だから、俳優になるのなら演劇学校。映画監督になるのなら映画学校。最近は漫画家になるための学校まである。

しかし、それらを出てもプロになれる保証はない。それを他の業種と同じように考えて、業者が学校を作る。先の道筋と同じように、そんな学校へ多くの夢追う子供たちが入学する。乗せられているだけ。

学校でアウトプットはほとんど学べない。映画監督になるのに、映画の歴史や映画批評を教えられても役にも立たない。実習だってクラスで数人しか監督できない。その生徒の実習費用を払うために他の監督志望の生徒は高額な授業料を払っているのだ。でも、学校に通うことで安心する。業界に就職できる可能性は少なく、簡単に監督になんてなれないのに2年間、通学する。演劇学校も同じ。

表現の仕事は学校では学べない。それはインプットの能力を養うだけ。アウトプットをやらなければダメだ。例えば、映画監督が「恐怖」の演出をしようとする。インプットとしてはヒッチコックやデ・パルマの映画を勉強する。でも、それらのカット割りや撮影法を真似しても怖さは出ない。大切なのは、その演出を繰り返し試すこと。こーでもない。あーでもない。と。やっていると、あーーこれは怖い!という表現が見つかる。それがアウトプットなのだ。


(つづく)

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脳科学から考える②=俳優への道。繰り返し練習することで体に覚えさせる? [映画業界物語]

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では、何が必要か? それがアウトプット。

これが難しい。その本によるとインプットは観たり、聞いたりすることで向上するので、楽して能力が向上する。

映画を観る。音楽を聴く。芝居を見る。ということ。それに対してアウトプットは大変。代表的なのはピアノのレッスン。毎日、何時間もピアノを引き続ける。幼い頃からスタート。何年も何年も練習する。

そんなふうにアウトプットというのは、頭でイメージしたもの。与えられたものを、体を使って表現する行為だ。それを繰り返し、繰り返し、長時間、長期間、続けることで、脳と体が連携し、それを体現できるようになるという。

野球選手も同じ。絵描きもそう。ミュージシャンは皆同様。その他の表現の仕事も実はほぼ同じなのだ。例えば作家。最初から思うような文章は書けない。こんな話を書こう。こんな物語を書きたい。と思ってもうまく行かない。

それは頭(脳)で考えることを体が、的確に表現できていないということ。だから、ピアノレッスンと同じように、何度も何度も繰り返す。そのことで感じていることを的確な言葉で、伝えたいことを文章で伝えられるようになってくる。

シナリオライターも同じだ。自分が書きたいものがあっても、最初はうまく書けない。その力を養うには書き続けること。これがアウトプット。友人で若くして脚本家になった奴がいる。彼はいう。

「よく、プロデュサーがこのシナリオダメだな。作家に才能ないんじゃないのか? 仕方ないから俺が直したよ。ほら、よくなったろう? でも、それは違う。ゼロから物語を作り書いたものを出来上がったものを見て、ちょこちょこ直すのではレベルが違う。ゼロから作り上げるということはどんなに酷いものでも価値ある作品。

もし、自分が創作活動をしていたら、どんなダメな作品でも、酷評はできない。それができるあのプロデュサーはそんな経験がない。創作もしたことがないのに出来上がったものにケチを着けて俺の方が凄い!と勘違いしているだけなんだ」


(つづく)


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脳科学から考える①=俳優への道 卓越した表現力はどうやって養うのか? [映画業界物語]

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脳科学から考える=俳優やアーティストになるために必要なこと? 卓越した表現力はどうやって養うのか?①

表現をする仕事をする人は「感受性」が大切。人の痛みを人一番感じる力。それがないと俳優も、歌手も、作家も、映画監督も、その他の表現をする仕事にも向かない。では、感受性が高ければ高いほど、より素晴らしい表現者になれるのか? というと違う。感受性は「感じる力」であり、表現する能力はまた別にある。

以前、脳についての本を読んでいて、「なるほど!」と思う記述があった。脳には2つの能力がある。インプットとアウトプット。インプットは見たり、聞いたりしたことを記憶する。それを繰り返すほどに知識になり、見る目が養われる。例えば映画ファン。映画をたくさん見ることで、どんどん情報がインプットされる。いろんな映画を見て比較することで、発見がある。見方が鋭くなる。最初は気付かなかったプロフェッショナルな部分にも気づき、粗や問題点も見つける。

だが、これはインプット。映画を見る目が向上するだけ。アウトプット=つまり、映画を作るは別の能力なのだ。にも関わらず、ここで勘違いする人が出る。映画を見ていてこう思う。

「ダメだな。この脚本。先が読めるよ。役者も下手だなあ。なんでこんなの選んだの? 監督がダメなんだ。分かってないなあ」

映画レビューを見るとその種の素人評論家のような人が数多くコメントしている。そんな人たち。勘違いを起こす。

「この映画は酷い。監督は問題点に気付いていない。俺は気付いている。だから、俺が映画を撮った方がより良い作品を作ることができるはず!」

そこが大きな間違い。その人は見る目がある。つまり、インプット能力が養われているだけで、アウトプット能力が優れている訳ではない。というより、アウトプットの経験はゼロなのだ。俳優志望の人にも同じタイプがいる。テレビドラマを見る。新人俳優の演技が酷い。

「この子。ダイコン。まるでダメ。可愛くもないし。事務所の力で出演したのね? 私の方が可愛いし、芝居もできる。芸能界に入れば、すぐブレイクできるはず!」

先の映画ファンと同じ構図。以前にも書いたが、これらはプロ野球を見ていて

「何で、その球が打てねえんだ!」

とテレビに怒鳴るオヤジ。ボクシングを見ていて

「右右。違う。そこでストレートだよ」

とコーチのようなことを考える人たちと同じ。自分が球場やリングに上がれば、何もできないこと。プロの投手の球を素人は簡単に打てないし、プロのボクサーを相手にすれば数秒でKOされる。映画作りや演劇も同じなのだ。では、何が必要か? それがアウトプットだ。


(続く)



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