SSブログ

シナリオの書き方。太田組ではこんな風。=え?そうなの!という意外な方法論? [映画業界物語]

69576335_2931281203612831_2698133420675956736_n.jpg

シナリオの書き方。太田組ではこんな風。=え?そうなの!という意外な方法論?

シナリオの書き方。太田組スペシャルとも言える方法がある。例えば「明日にかける橋」はタイムスリップ物語。主人公が死んだ弟を助けに行く。そのことで大嫌いだった両親に会う。となると、必要な役は主人公、父、母、弟だ。あと、過去の世界で助けてくれる人も必要。「バック・トウ・ザ・フューチャー」でいうとドクの役である。

そこまで考えたら物語の細かい部分に進まず。キャスティングを考える。お母さんは幼い息子が死んだことで塞ぎ込み、おかしくなる設定。俳優なら誰が相応しいか? お母さん役ができる30ー50代の俳優さんは数多くいる。その中で壊れていく悲しい母が演じられるのは?と考えて、前作「向日葵の丘」に出てもらった田中美里さんを思い出す。

P1044715b.jpg

あの時も素晴らしい芝居を見せてくれたが、美里さん曰く「普通は元気なところがあり、病気になり、入院してとなるのに、いきなり病室のシーンからスタートするので大変でした」では、いきなり病室であれだけの名演技だったのだから、順を追えば持って素晴らしい演技のはずと、美里さんイメージで役を考えた。悲しい場面はもう安心。でも、それだけでは前作と同じ。

そこで元気な部分を作ろう。美里さんは「ゴジラ」シリーズにも出ているし、強い役が多い。それも入れようと、剣道の師範という役を考えた。一つには僕が知っている武道にしたかった。柔道は「ストロベリー」で使ったので、剣道。ちょこっとだけ経験がある。剣道という設定ができたことで、クライマックスにあの場面が誕生した。

50075765_2388396807901276_3858409953697988608_n.jpg

そして美里さんは「言葉」の達人でもある。FM番組のパーソナリティを長年やっていること。朗読劇も見せてもらったこともあり、言葉表現に物凄い力がある女優さんだ。そこで母親の思いを長台詞で用意した。そのことで主人公のみゆきが母の思いを知る場面を作る。そうやって、その俳優さんの魅力、得意技?、特徴を役に生かして物語を作る。

ドク役は?と考える。日本のクリストファーロイド?ということで、いろんな芸人さんを考えたが、ベタはダメ。女性芸人さんも探したが、笑いを取るだけではなく、芝居が大事。アニメと実写の間で演じられる人と考えて、こちらも「向日葵」に出てもらった藤田朋子さんを思い出す。藤田さんがドクを演じればと考える。

43390550_2205448699529422_6661110795646009344_o.jpg

ドクには出来ない彼女の魅力も考えて、里美先生役を作り上げた。ほとんどが当て書き、オートクチュールなのだ。だから、どの俳優さんも他の映画と違う魅力を発揮する。が、鋭い人は気づいただろう。これは僕だけの方法論ではない。劇団の脚本家も同じようにして劇団員に合わせて物語を作る。要は舞台演劇の手法を映画に取り入れている。ただ、なかなかこれが真似されない。出来ない。なぜか?それはまた別の機会に書かせてもらう。


IMG_3811.jpg
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

俳優の魅力を引き出すシナリオ=その俳優に合わせて役を書く、役を直してしまう?! [映画業界物語]

84636195_3424920754248871_5967413632483459072_o.jpg

俳優の魅力を引き出すシナリオ=その俳優に合わせて役を書く、役を直してしまう?!

当て書きの話を書いたが、思い出すと太田組作品は当て書きが多い。「ストロベリーフィールズ」の主人公・なつみは当初、元気な優等生だった。が、佐津川愛美さんが決まってから、彼女の作品をあれこれ見て大きく直した。消極的で孤独な少女にした。周りからは「この段階で役を直してどうするの!」と厳しく言われたが、結果、彼女は見事な演技を見せ、完成したときには誰もが賞賛。役を直したことを誰も覚えていなかった。

それが最初だったと思うが、以降も俳優が決まると、その人の魅力が出るように役や台詞を直した。さらに一歩進み、特定の俳優さんに合わせて当て書き。前もって出演承諾はなし。当て書きしても、本人が気に入らなければアウト。でも、そんなスタイルで進めた。「青い青い空」の八代先生も当初は真面目な先生だったが、途中で関西のヤンキー兄ちゃんにした方が面白い!と思えた。

前作「ストロベリーフィールズ」で大活躍してくれた波岡一喜くんのイメージで書いた。「向日葵の丘」も出てもらえることはないだろうと思いつつ、常盤貴子さんのイメージで書いた、駄目元でお願いしたらオーケー。先の波岡くんも超多忙なの中。出演してくれた。「朝日のあたる家」も山本太郎さんで当て書き。こちらも出演いただけた。

彼らだけではない。僕の作品に2度目出演の方は皆、当て書きと思ってもらっていい。「向日葵」の保安官と「明日」の花火師を演じてくれた栩野さんも同様。おまけに毎回、名前は「ジョー」。「朝日」の斎藤とも子さんは関西弁ができると知り、当て書きで「向日葵」にも出て頂いた。俳優にとって、自分にピッタリな役と巡り合うことは難しい。自分の魅力が全開になる役はなかなか来ない。それならこちらが本人に合わせて役を作れば名演技ができるはず。それが太田組の発想である。


69576335_2931281203612831_2698133420675956736_n.jpg
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

ギラギラした個性派俳優がいなくなった日本映画を感じる [映画業界物語]

84701938_3441969072544039_4994103202019278848_o.jpg

ギラギラした個性派俳優がいなくなった日本映画を感じる

「悪名」シリーズ「兵隊やくざ」シリーズと1970年代初期の大映映画を続けて見ている。脇役がとても魅力的。子供の頃に見た映画やドラマで顔は知っているが、名前は知らない俳優さんたち。本当に素晴らしい。個性的で、胡散臭くて、ズルそうで、いかにもヤバイ感じ。上田吉二郎とか、中村鴈治郎とか、本当に凄い。1カットしか出ない女中さんまでいい。

そう考えると、今は日本映画の俳優層が薄くなったということ。あの時代は映画会社に大部屋というのがあり、東映なら川谷拓三とか、室戸日出男とかいう個性派がいた。それが映画界が斜陽で俳優をかかえなくなった(東宝は今もわずかに俳優を抱えている)俳優事務所はCMに出られるような二枚目、可愛子ばかりを育てるようになり、先の個性派が出て来なくなったのだろう。

東映1971年の映画。鶴田浩二主演の「博徒 外人部隊」も俳優陣が素晴らしい。安藤昇、小池朝雄、室戸日出男、渡瀬恒彦、若山富三郎、敵の暴力団組長が内田朝雄。出てくるだけで皆、胡散臭く、怖い。一つには時代もあるだろう。戦後からの復興期に育った日本人と、バブルを経験して、不況が続くとは言え、従順になることを教育された今日の日本人。違ってくるのも当然かもしれない。

ワークショップをやっていても、普通の兄ちゃんが多く。この人ならでは!の個性がないことがある。その意味で昨年11月は非常に個性的だったが、俳優は演技力も必要。その両方が欲しい。そんな意味を込めて、個性を持たない若手には個性を探し。個性ある人には演技力の伸ばし方。指導させてもらう。俳優の魅力を見いだすのは得意。次の日曜日に行う。


WS2020_edited-3.jpg
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。