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映画のタイトルを決める時。様々な観点からベストを選ぶ? [映画業界物語]

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映画のタイトルを決める時。様々な観点からベストを選ぶ?

映画のタイトルを選ぶとき。多くの人が集まり、一番支持があるものを選ぶのはダメという話を前回書いた。趣味嗜好だけで選んでしまう。みんながいいというものより「皆が嫌いではない」になりがち、それは最大公約数。多くの人にアピールしない。アートというのは不思議なもの。だが、論理的に考えることもできる。

僕がタイトルを決める時。考えることがいくつかある。まず、物語を象徴しているか? タイトルと結びつくか?だ。「明日にかける橋」は時間を超える「橋」が出てくる。「向日葵の丘」は向日葵が咲く丘がキーになる。そんな風に物語と関連する言葉があることを重要視する。

次に覚えやすいか? 人はなかなかタイトルを覚えてくれない。なのに長いもの、ややこしいものにすると、さらに覚えてくれない。覚えてもらうには印象的な言葉や物語をイメージさせるものが大事。

「深夜にようこそ」というタイトル。何で深夜なのにようこそなの?迷惑じゃないか?と思うが、それがコンビニの話と分かれば「なるほど」と思える。そんな風に何で?と思わせることも大事。「東京の日本人」だと当たり前だが、「巴里のアメリカ人」だと、ドラマが生まれる。

3番目に大事なのはお客さんの印象。僕の映画は家族で見られるものが多いので、「殺人」とか「戦慄」とかいう言葉は使わないようにする。「恐怖」「殺人」とかも同様。おばあちゃんが「恐怖の殺人者」見てきたよ!とは言いづらい。子供も同様。残酷な映画だと思えてしまう。だから、文芸調のタイトルにして、誰でも憚らずにタイトルが言えるものを選ぶようにしている。

最近、好評だったのが「19**年」シリーズ。「明日にかける橋」が「1998年の想い出」「向日葵の丘」が「1983年夏」それぞれがサブタイトルである。単に「明日にかける橋」だけでなく「1989年」がつくことで、当時の物語と分かる。その時代を知る人は懐かしいと感じるし、知らない人でもバブル時代。日本が元気だった時代とか想像することができる。

そんな風にタイトルを聞くだけで「ああ、そういう物語ね」と思ってもらうことも大事。そんな風に趣味嗜好だけで選ぶと「これが好き」「これは嫌い」になり結論が出ずらい。そうではなく映画のターゲット。宣伝方法。内容が伝わるか?という観点から考えることが大事なのだ。


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