結婚できなかったシリーズ③ 映画監督は女優と結婚できるのか? [映画業界物語]
結婚できなかったシリーズ③ 映画監督は女優と結婚できるのか?
第2弾も好評なので補足編をアップ。先に書いたように現在の映画監督業は経済的に厳しい上に、長時間労働。おまけに映画界はウイアード(奇々怪界)な世界。そんな人を彼氏にすると、「何じゃこれは!!」と彼女は叫ぶしか無くなる。という話を書いた。ただ、結婚している監督も身の周りにはいる。あまり多くないが、、、さらに演出部なら結構いる。
というのは演出部。助監督も大変な仕事だが、物語を把握するのにあれこれ時間を取られても、ゼロから取材して、探し、調査して、勉強する訳ではない。出来上がった作品の世界観を把握するのが中心。対して、シナリオライターはその世界を0から勉強する。もちろん、同じ題材の漫画を読み、ちょこちょことシナリオにする作家もいるが、伊丹十三監督などは「マルサの女」の時に、国税庁査察部を徹底して取材しシナリオを書いている。
つまり、映画の仕事は真剣にやればいくら時間があっても足りないが、手を抜けばいくらでも手を抜ける。が、それは明確に作品に反映さる。そんな業界で、監督業だけ。シナリオだけ。助監督だけの仕事なら、結婚し、子供がいても、何とかやっていけるだろう。実際そんな人たちは僕の周りにもいる。
が、僕がやっているのは、監督業だけでなく、シナリオ、演出、編集さらにプロデュサー。そして宣伝まで担当する。ロケハンは本来、製作部の仕事だが、それもやる。ほぼ、7人分の仕事。それぞれが、とんでもなく時間がかかる作業なのだ。
監督、演出、編集はクリエティブな仕事だが、プロデュサー業では、資金の工面。管理、支払い。記録。申告までやる。ここはぜひ、誰かに頼みたいところだが、人件費がかかるので僕がやっている。以前はよく言われた。
「監督は大林恭子さんのような女性Pと結婚すればいいんだよ〜」
僕の師匠でもある大林宣彦監督は監督だがシナリオ、編集も担当するが、奥様の恭子さんがプロデュサー。見事なおしどり夫婦であり、憧れる。が、なかなか、そんな凄い女性とは出会わない。
では、女優と結婚は?といわれるが、以前にも書いた通り。女優は魅力的であり、映画作りの上では同志だが、仲良くなると互いに甘えが出るので、仕事以外では会わないというのが僕のルール。いい芝居をしてもらうには、そんな姿勢が大事。なので、女優と結婚したら、その人は絶対に自作には出せない。その意味で伊丹監督は奥様が女優の宮本信子さん。主演で映画を何本も撮っていたのは凄い。
ま、昔はそんな監督はたくさんいた。それは監督の収入がバカ高い時代であり、経済的な安定があるからこそ、女優と結婚生活が維持できたと言える。現在、女優と結婚している監督が非常に少ないことが、それを証明しているだろう。女優たちは今、IT系の社長と結婚することが多い。とにかく、7人分もの仕事をしていると、結婚生活は成立しない。1年で奥さんはいなくなる。また「映画監督はつらいよ」物語。その内に書かせてもらう。
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