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俳優は本当の自分を探す仕事。それを見つけ引き出すのが監督業? [映画業界物語]

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俳優は本当の自分を探す仕事。それを見つけ引き出すのが監督業?

もう20年ほど前になるが、

演劇学校の講師をしていた。最初は先輩監督が教えているところで、代打で行く。生徒たちの評判がよく、レギュラーで教えるようになるとか。俳優事務所から単発のワークショップを頼まれて行くとか。そんな形で5年ほどあちこちで教えた。

映画学校で監督志望を教えるなら分かるが、なぜか演劇学校。そして生徒たち、俳優たちの評判がいずれもいい。僕は昔から裏方であり、演技をしたことがない。自身でも理由が分からなかったが、事務所のスタッフが教えてくれた。

「演技の基礎はプロ俳優が教えます。発生や考え方。芝居の仕方。でも、それ以上は俳優には教えられないのです。その辺、客観的に演技を見る監督の方が、その俳優の問題点、欠点を指摘できるのですよ」

なるほど確かにそうだ。

最初は何を教えていいか?分からなかったが、気づいたらそんなレッスンをやっていた。どうしても演じる側では気づかない部分があるようだ。ま、その意味で撮影というのは監督というパートが必要なのだ。

やがて監督業が忙しくなり、レギュラーでは出来なくなった。が、2年前に久々にワークショップを開催して気づいたこと。その時のメンバーは皆、あるレベルの実力があったが、大きな問題もあった。まさに今の若者たちを象徴しているのだが、個性がない。皆、そこそこ演技力があるのに、個性がない。それでは「よし!この役は彼だ」といい辛い。替えがいくらでもいるのだ。

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では、どうすれば個性を出せるのか?

そこからは心理学。僕はいつもシナリオを書き上げ、配役が決まると、もう一度、シナリオを書き直す。決まった役に合わせて、その人の人生が出るようにする。そのことで、他の役者がやるより、その俳優でないとできない芝居や台詞回しが生きてくる。

同じように、それぞれの個性がある。思いがある。生き様がある。それを見抜き、引き出す。演技力ではない。その人の背負う人生を見抜く。俳優自身には分からない。つまり、俳優業とは幼い頃、家庭で、学校で、閉じ込めてしまった本当の自分を探す作業なのだ。そのためにいろんな別人を演じてみる。そうやって本当に自分を見つけ出そうとする。

だが、俳優自身でそれをするのは難しい。

心の中の大きな金庫に入れて鍵をかけている。ある意味では見たくない自分かもしれない。その鍵を開けるのは困難。それを開けるのが監督の仕事。だから監督との出会いは大きい。その人の良さや個性に注目してくれる監督と出会うことで、引き出され、俳優は輝く。が、現場では時間がない。対応できるんはメイン中のメイン俳優のみ。1人1人にそこまでできない。

ワークショップならそれができる。

4時間でもレッスンが出来る。その中で自分を見つけることで、素晴らしい芝居ができるようになる者が1人でもいれば嬉しい。例え出演に繋がらなくても、どこかの現場で輝くはずだ。そう、ワークショップはカウンセリングに近いと僕は考えている。

参加者募集中=>http://cinematic-arts.blog.ss-blog.jp/2019-10-23-5


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