映画監督になるために、あえて業界から遠ざかった③ 僕には映画化すべき経験がなかった? [映画業界物語]
映画監督になるために、あえて業界から遠ざかった③
僕には映画化すべき経験がない?
考えてみると監督と呼ばれる人は単なる現場監督とは違う。黒澤明は歴史に詳しい。大島渚は政治について論じる。オリバーストーンはまるでジャーナリスト。ウイリアム・フリードキンは大学教授のように博学。もちろん、職人的な監督もいる。監督を分類してみる。
①ディレクター(テレビの場合。監督をディレクターと呼ぶが、まさにそれ。複数のDが同じシリーズのドラマを撮っても、誰がどのエピソードか?分からないほど、個性を出さずセンスと現場進行の能力で仕事する人)
②映画監督(与えられた作品を予算内、期限内に撮り上げる。クオリティも高い。自分なりのスタイルもある。が、物語を通じて何かを主張しようとか、テーマを追及したりはしない)
③映画作家(映画を通じて、自分の思いを主張、メッセージする。作品はとても個性的)
僕は3番目だと思える。単に仕事としてシナリオを渡され、それを映像化する仕事ではなく、自分の思いや疑問を物語にしたい。そのためにはシナリオを書かなければならない。でも、監督業に就くには現場を経験する必要がある。そこで認められて監督になる。
ただ、シナリオを書くには「経験」が必要。以前の回で結論を書いたが、10年間、いろんな体験をしたからと、作家になれる訳ではない。最初は経験したことを書き、次第に取材をして書く。長期間に渡り、書く力を養うことが大事だと。しかし、当時の僕には映画化すべき経験というものがなかった....。
(つづく)
コメント 0