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俳優の演技力と経験値について考える③ ヤクザの店でバイト。シナリオにするぞ!という学生さん?でも。 [映画業界物語]


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俳優の演技力と経験値について考える③
ヤクザの店でバイト。シナリオにするぞ!という学生さん?でも。

後輩で脚本家を目指す奴がいた。映画学校のシナリオ科に通う彼はゲームセンターでアルバイト。そこは一見、普通の店なのだが、実はヤクザが経営していた。ゲームに勝てば、得点を現金にできる違法店。怪しい客が多く本物のヤクザが出入りする。でも、友人は大喜び。

「これでリアルなヤクザ映画のシナリオが書ける!」

ある意味、潜入取材。彼はいろんな興味深いエピソードを聞かせてくれた。

「映画学校に通っててもダメ。想像で犯罪ものを書いてもダメ。リアリティがないですから。僕が書けば誰にも真似のできないシナリオが書けますよ!」

後輩は様々な情報や経験を仕入れたが、書く時間がない。バイト料がいいこともあり、長時間シフトに入るがち。にも関わらず「俺が書けば、凄いものが書ける!」という。確かにリアルな情報でおもしろいエピソードをシナリオに取り込めるだろう。しかし、彼はまともにシナリオを書いたことはない。単なる映画学校の生徒なのだ。

何本も何本もシナリオを書いて始めて、

人に読ませるものが書けるようになる。書く力が着く。その上で経験や情報が生き、ドラマや映画にできるシナリオとなる。つまり、今、彼が経験を生かしたヤクザもののシナリオを書いても、技術や構成の面で及第点をもらえない。

また、万が一「エピソードがリアルだから」と認められて、ドラマ化されたとする。では、「第二作」と言われて何を書くのか? 別の店でバイト。そこが今回のように、興味深い職場であるとは限らない。続編? それなら1作目以上のセンセーショナルなネタが必要。いくらヤクザの店でも、そんなに次々に興味深いことは起こらない。何より、彼は書く力がない。ネタのみで勝負、それでは1作で終わってしまう。

「経験」は大切。でも「表現力」を養わないと

続けることができない。例えば元警官で俳優に転じた人。警官役はリアルにできる。でも、そのあとは? 警官役ばかり続けるのか? それ以前に長年に渡り警官をやって来たのなら表現力、演技力が十分ではない。長い俳優人生をどう乗り切って行くのか? つまり、経験はプラスになるが、それ以上に「表現力」が大事なのだ...。(つづく)


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