映画界&芸能界で仕事ができる人。できない人① 大切なのは感受性? [映画業界物語]
映画界&芸能界で仕事ができる人。できない人① 大切なのは感受性?
アーティストとは「素質を磨き続ける人たち」のこと。だから、まず、「素質」が大事。これは「才能」とは違う。説明する。それは美しいものを美しいと思える感性。素晴らしいものを素晴らしいと理解するセンスが大事。なのだが、
「俳優は綺麗な人、イケメンでないと!」
と思いがち。しかし、演技というのはシナリオを受け取れば、その役がどんな幼少期を送り、どんな青年期を過ごし、大人になったか? その過程であった事件や出来事が大きな影響を与え、人格形成をしている。それを想像、役に反映せねばならない。ただ、上手に泣くとか、笑う。怒るという行為をリアルに演じるだけが俳優ではない。
演劇学校ではよく「笑う」「苦しむ」「怒る」
という感情表現のレッスンをする。講師が「はい、笑って!」というと生徒たちが一斉に笑う。そんな練習も必要なのかもしれないが、僕は無意味ではないか?と思える。「演劇やってる!」という実感が持てるだけで、それが映画撮影で役に立つのか? 同じジョークを聞いても笑える人と笑えない人がいる。また、ジョークを言った人にもよる。Aさんがいえば面白いが、Bさんなら笑えないとか。
ただ笑う訓練をすることに意味があるのか?
ドラマというのは人と人との対峙である。笑う、怒る、悲しむ、後悔する、さまざまな感情が生まれるのは人との対峙。或いは事件、現実との対峙である。それにより、さまざまな感情が生まれる。そんな微妙な感情というものを、レッスンで「笑え」「怒れ」「泣け」と指示されたままに出してもリアリティを感じるのは難しい。
分かり安く言えば、下手な女優が舞台で涙する演技をしても泣けない。でも、友人を亡くした女性が葬儀で涙するのは、胸を打つ。何が違うのか? 本物は胸を打つが、演技は心に届かないのだ。では、どうすれば心に響く演技が出来るのか? 「笑って!」「はい。泣いて」というレッスンで学べるものでない。
感受性が大切なのだ。
俳優だけでなく、歌手でも、ミュージシャンでも、小説家でも、映画監督でも同じ。感性が鋭くないとこれらの仕事はできない。感性が鋭い人が素晴らしい作品を作り、表現する。同じ歌を歌っても、A子のは感動するが、B子が歌うと感動がないということがよくある。芝居でも同じだ。同じ芝居を別キャストで観たとき、別物になるのも同じ。感性の鋭いアーティストが感動を呼ぶのである。
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