明日にかける橋ー編集日記 パンフレット会議第2回の中味? [「明日」編集]
「人と会話してはいけない!」作業をしているのに、どーしても避けられないものがあり、打ち合わせに出席。というのも12月下旬の地元完成披露上映会で販売するパンフレットの詳細を決めねばならないからだ。
プロデュサーと、デザイナー。そして僕の3人。記事を書いてくれる映画ライターさんはすでにインタビューを開始。この日も鈴木杏ちゃんの取材しているとの連絡が入る。こちらはメインビジュアルを決めねばならない。皆が知る映画で例を上げるなら、あの「ジョーズ」。鮫が海から上がって来て、泳いでいる女性を襲おうとしている絵。あれがメインビジュアルだ。
「未知との遭遇」は夜の道。その奥で光る何か? 「ET」は宇宙人の指と少年の指がくっついてるあれ。というふうに映画はメインビジュアルを決めて、ポスター、チラシ、チケットと全て同じデザインに統一して宣伝する。あれこれいろんなパターンを使うと見る人が覚えてくれないからだ。それが宣伝というもの。
「ジョーズ」で言えば、鮫のポスター。鮫のチラシ。鮫の前売り券と全てデザインが同じものが使われた。もし、ひとつだけ別のデザインを使っていると、気付いてもらえず、アピールできない。宣伝においては基本。とても大切なこと。人というのはなかなか映画の存在を認知してくれない。だから、印象の強いーインパクトあるビジュアルを作り、全て統一して宣伝する。
作品によっては公開に近づくと、ビジュアルが変化するタイプもある。「スターウォーズ」シリーズがいい例だが、最初はダースベーダーだけ。それが次第に新しいキャラクターが紹介され、最後は全員がビジュアルに出る。だが、その場合は過去に使ったビジュアルはもう出さない。見ている人が混乱するからだ。
今回の映画は全国展開せねばならない。そのためには多くの人にアピールすることが大事。そのビジュアルを決めるにあたり、まず、誰が出演しているか? ジャンルは何なのか? アクション映画か? 恋愛ものか等。笑えるのか? 文芸作品なのか? 何なのか? どんな物語なのか? さらにはターゲット。子供向けか? 女性向けか ? 家族向けか?そんなことを1枚のポスターで伝えることが大事。
ただ、全てを正確に盛り込むと逆に分かり辛くなることもある。分かりやすく「恋愛映画!」とした方がいいこともあるし「有名俳優が出てます!」という手もある。その役者のファンが大勢いるなら、その方がアピールする。が、有名でもファンが劇場まで押し掛けるようなタイプでなければ、意味がない。これは所謂、広告代理店的な発想。
監督が「この映画は恋愛映画だ。恋愛ものとして売ってほしい」と思っても、その年の日本映画に恋愛ものがやたら多ければ、霞むので別の要素を打ち出した方が差別化ができる。また、ブログで何度も書いて来たが「地元映画だから地元の美しい風景をポスターにたくさん使ってほしい」と言われることもある。が、それは逆効果。それでは映画のポスターではなく観光PRと思われてアピールできないのだ。
ポスターを始めとするメインビジュアルは「売りたいもの」を載せることではない。映画の一番の魅力をそこに打ち出すこと。「感動できる映画」なのか? 「大笑いできる映画」なのか? それを伝えてこそ観客は「泣けそうな映画だから見たい!」「笑える映画だから見よう」となる。
あるいは「これは地元をアピールする映画だから!」と地元の風景写真にー**市でオールロケした映画ーとキャッチコピーを付ける地方映画がよくあるが、最悪のパターン。それでは観光PRポスター。有名観光地でない限り地方に興味を持つ人は少ない。映画ポスター(ビジュアル)はロケ地を売るのではなく映画自体をアピールするのが目的。
その映画を見てもらってこそ「舞台となる町が素敵だったなあ〜。今度行ってみたい!」と思ってもらえる。だからこそ、一般商業映画と同じように、中味の魅力を伝えるビジュアルを考えねばならない。地方映画が陥りそうな点を含め、その辺もデザイナーさんに伝え、こちらで考えるイメージをいくつか伝える。それを実際に絵(ビジュアル)にしてもらい、そこから突き詰めて決めていく。さらにスチール写真やキャストの説明。(デザイナーさんは撮影現場にはいなかったので、その辺を全くご存知ないので解説)
てなことをしていると、もの凄い量の会話をしてしまった。かなりヤバい! これで編集室に戻り、作業を再開できるのだろうか?(つづく)
2017-10-21 10:00
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