SSブログ

明日にかける橋ー編集日記 編集は映像を繋ぐ作業ではなく感情移入? [「明日」編集]

22467487_1649987705075527_1472107681206112736_o.jpg

先日、どーしても電話せねばならないことがあり、決意して連絡。このところ調子よく「編集の霊」全開で進んでいるのに、その電話のせいで2−3日作業ができなくなるとかなり痛い。幸い、先方は業界の方で「分かりました。あとはメールで連絡します」と手短かに話を終わらせてくれて感謝。霊が去ることなく、作業は再開!

この数週間、人と会話をしていない。スーパーでは商品をレジに出すだけで、せいぜい「どうも」くらいで済む。相手の話に対して答えることもない。あとは編集室で作業。こんな生活を続けていると途中で鬱屈して、暴れ出しそうになることがある。友人に電話して思いっきり話したい! 誰かと居酒屋で飲み倒したい!と思うこともある。が、我慢。

「あしたのジョー」思い出す。力石徹が減量のためにジムに泊まりこみ倉庫で眠る生活。それに耐えられなくなり、鍵をかけた扉を破り水を飲もうとする場面があるが、そんな感じ。まあ、編集室は鍵をかけられていないし、監禁もされていない。出るのは自由だ。が、自分との戦い。「今日は仕事休み!」と決めればいつでも休めるのだが、そんな余裕はない。

ただ、しばらくすると、そんな願望がなくなり、作業が順調に進む。その内に人と話すのが面倒になり、いざ、話すとなってもうまく話せなくなる。海外で英語で生活していて久々に日本に帰ると、日本語がうまく使えないことがあるが、それと同じ症状だ。たぶん、話すことを司る脳のパートが使われないので機能が低下しているのだ。

その分、編集をするためのパートが活発に仕事をしているので、作業は順調。やはり「話す」と「書く」「編集する」脳は別のパートなのだ。そんなことで作業をしていたら、昨日はあまり進まなかった。理由を考える。額に手を当てると分かった。熱がある。3日前ほどから急に寒くなり、冬かと思うような天候。ここで風邪を引いたら大変と、暖房を入れる。

IMG_5333.JPG

編集作業は1人でモニターを観ながら3ー4秒のカットを何百も繋いで行くという精密機械を作るような作業。それだけでなく、主人公の気持ちに共振し、感情移入して進める。シナリオを書くときも同じ。だから、不幸なシーン。心痛めるシーンは作業をしていても凄く辛い。憤りが込み上げる。ま、そんなときにメールや電話があると、その怒りが相手に向かって爆発してしまうので注意なのだ。

自分が登場人物になったような気持ちで作業。これは考えると俳優がその役に成り切り、演技をするのと同じ感覚なのだろう。シナリオに書かれてある喜びや悲しみを、自分のことのように喜び悲しむ。それを形だけで演じている俳優は観客の心を打つことができない。本当に役に成り切って、心傷つき、悲しみに溢れるので、観客も涙するのだ。

しかし、感情移入して成り切るというのは本当に大変だ。だからこそ、現場では俳優に余計な気を使わせないことが大事。そこで「写真いいですか?」とか「サインもらえますか?」と言われると怒り爆発。出来る限り集中できる環境を作ることがスタッフの役目なのだ。泣いたり、叫んだり、怒ったり、感情を爆発させる演技は心の底から疲れ果てる。編集も同じで映像を繋ぐだけでなく、登場人物の感情を共有しながら作業する。だから、ヘトヘトになる。

そう考えて行くと分かること。登場人物に感情移入せずに繋がりばかりを考えて作業した映画は感動できない。俳優の演技と同じ。登場人物の気持ちなり、一緒に喜び、悲しみ、笑う。そんな編集をすれば、観客も同じ経験をすることができ、涙や感動に繋がるのだ。さて、作業ではみゆき(鈴木杏)がついに過去の世界にタイムスリップした。そのあとのシーンのラッシュを観た。

家族との再会。不安。諦め。少女時代の自分との対面。そして藤田朋子さん演じる里美先生の再登場。うわーーどうなるの?という展開だ。


小.jpg
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。