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明日にかける橋ー「俳優業は過酷な仕事。でも、必ず誰かが見ている」 [地方映画の力!]

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僕のキャスティングは定評がある(えっヘン!)無名の逸材を見い出し、その後、その若手が大ブレイクしたり(朝ドラの主役になったり)。ベテラン俳優を「え、あの役で起用する?」というサプライズな配役。「太田組に出演すると俳優たちは皆、輝く!」といってくれる評論家さんもいる。

その辺が評価されるのは毎回嬉しい。今回はいつも以上に評判がよく、先日も先輩監督が「キャストの顔ぶれだけで、どんなだろう!と映画が見たくなる!」と言ってくれた。

僕自身も今回のキャストには大満足。だいたい、1人2人は「えーーなんでーーー」と失望する演技をする俳優がいるのだが、今回はゼロ。こんなことは初めて。皆、素晴らしい芝居を見せてくれたし、はまり役であった。

でも、心残りがもある。出演してもらえなかった無名俳優がたくさんいることだ。キャスティングをするとき、何人かはメジャーな有名俳優さんから選ぶ。いろんな意味で大切なことなのだけど、全部を有名俳優では揃えられない。ギャラもそれなりだし、スケジュールも大変。皆、忙しいからだ。

それとメジャーな俳優さんでは演じられない役もある。だから、無名の俳優たちからも多くキャスティングする。今回も無名だが実力派、個性派の俳優さんに大勢出て頂いている。そんな人たちをどうやって探すか?

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例えば20代、男性。イケメン。ミュージシャン風とか告知。各俳優事務所に連絡。オーディションをする。でも、審査はせいぜい10ー20分。本当の実力は分からない。また、事務所に言われて来ているだけ。僕の監督作を見ないで来る輩もいる。やる気が感じられない。仕事がほしいだけ。いや、仕事がほしければ募集する側の過去の作品を調べるのは当然。でも、それさえしない者もいる。演技力だけでなく「やる気」も大事。

僕は俳優とは親しい交流はなるべくしないようにしているが、全く知らない相手だと仕事はし辛い。そうなると何かの形で知り合った俳優たちで、今回の役に相応しい人がいたときは声をかける。ただ、そんな若手の俳優たちは皆、アルバイトをしながら劇団をしていてたり、俳優業を続けている。

皆、小さな役でもいいから映画に出たい!ノーギャラでも演技がしたい!という熱い思いがある。が、応援を兼ねて小さな役をオファーしようとしても、なかなか出来ない。というのは地方ロケの場合。1人出演させるとノーギャラでも3万円ほどがかかるのだ。今回でいうと東京ー掛川の新幹線代、往復。ビジネスホテル代を払うと3万円近くになる。

これは結構な額。10人呼べば30万円だ。それだけの費用があれば技術部の助手を1人増やせる。それでなくても今回は技術部も助手の数を減らしてもらい、5人がかりでやるパートを2人、3人でやってもらっている。なのに、僕が応援したい若手を呼ぶのは違う。俳優養成講座ではない。素晴らしい映画を作るための仕事。

もし、その若手が本当に物語に必要。この役は彼以外にない!となれば、3万払っても呼ぶが、そうでなければ、応援の気持ちで呼んでいけない。といって、じゃあ、彼ら彼女らに「ノーギャラで交通費自前で来い!」とは言えない。それでなくても皆、貧しくて食うや食わずの生活。さらに宿泊費を負担させることなんてできない。本当に悩むところだ。

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今年ワークショップを何回か実施したが、その中にもなかなかの実力派がいた。それでも仕事は少なく、アルバイトしながら役者を続けている。努力家で、ある程度の役ならこなせる人もいた。特に「太田監督の映画に出るのが目標」と言ってくれる子たちもいる。嬉しい話だ。しかし、そこで監督の権限で無理矢理。役を上げることはできない。

その俳優でなければならない役があってこそ。出演依頼を出来る。或は、役がなくても、その人が出ることで場面が盛り上がる特別なキャラや個性があれば役を作ってでもお願いする。でも、そこまでの役者はいない。何人からも「どんな役でもいいので、お願いします」とメールももらったが、それはできない。

後ろ髪惹かれるとはこのこと。本当に胸が裂かれるような思いだった。でも、俳優業というのはそんな無慈悲なことの連続。その中でチャンスを掴み、実力でのしあがらねばならない世界。でも、それらの俳優たちのことを忘れはしない。本当にやる気があり、実力を持つ役者たちはいつか、「あーこの役はアイツだ!」と思うときが来る。今回もそんな役者がいた。目を付けてから2−3年。ようやく、その役者に頼むべき役があった。チャンスはすぐには訪れないが、いつか必ず訪れる。

俳優諸君。諦めてはいけない。目のあるスタッフは君たちを見ている。すぐには声がかからなくても、努力している者は必ず評価される。チャンスがまわってくる。がんばれ!


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