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出演してくれる俳優を探す=キャスティングとはどんな仕事なのか? [映画業界物語]

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キャスティングを続けている。どんなことをするのか?説明したい。有名俳優の場合は事務所に依頼して、先方のスケジュールを聞き、OKならシナリオを読んでもらう。気に入ってくれれば、ギャラの相談。クリアーなら出演決定だ。そんな作業をキャスティングのスタッフが対応してくれる。監督は直で事務所と交渉しない。ギャラの額もなるべく聞かない。知っていると撮影現場で「この役者。高いギャラ取っているのによー!」とか思ってしまうからだ。

俳優事務所はよりいい仕事を選ぶために、他の依頼と比較する。より大きな企業の作品。よりギャラが高い作品を優先する。だが、ベテラン俳優になるとギャラより、やりたい役を選ぶ人もいる。事務所が反対しても「出たい!」と言ってくれる。そのやり取りもあるので、また時間がかかる。「来週、返事します」と言っていてもなかなか連絡がないことが多い。それが出演交渉である。

有名でない俳優の場合。僕がよく知る人なら「***役は***さんがいいなあ」と考えて、その俳優の事務所に連絡する。でも、以前にも書いたが、順番があり、A子の役が決まらないとB子役を依頼できないということもある。或はA子役。イメージとかなり違う人を起用した場合。B子のイメージも変える必要も出て来る。当初、僕が「B子は***だ!」と思っていても、A子役俳優と似ているなら、B子役は残念だが別の俳優にせねばならない。或は予算の関係。大物俳優が決まり高額のギャラを払うので、B子役を依頼する余裕がなくなることもある。

だから、A子より先にB子役を依頼するとマズいことになる可能性がある。依頼しておいて「役がなくなりました」「イメージが変わったので降りてほしい」では済まない。そんなことで、ひとつの役が決まらないことで、他のキャスティングも全て止まってしまう。今回はまさにそれ! 参っている。

また、先方がシナリオを気に入り「出たい!」と言ってくれても、スケジュールが合わず、出演してもらえない場合もある。では、先方のスケジュールに合わせるとどうなるか? その場合はスタッフで都合が合わない人が出て来たりする。あと、物語の季節感が変わってしまうとか。延期できないことが多い。さらに、他のキャストで出演できない人たちが出て来る。もう、ルービックキューブの6面を同時に合わせるような作業。ひとつの面を合わせると他が壊れる.....それが映画のキャスティングなのだ。

本当に出てほしい俳優に出てもらえなくて、セカンドベストの俳優を起用せねばならないこともある。いや、サードベスト。フォーズベストということもある。だが、それでも「この俳優いいなあー。当初予定していた人よりうまいかも?」ということもある。そんなことが何度かあった。予定していた俳優が直前に断って来てパニックになったことがあるが、慌てて選んだ俳優が抜群によくて、あとで「あの人、辞めてくれてよかったー」ということもあった。ベストがベストとは限らない。

キャスティングは知名度やキャリアだけではない。キャラや演技力だけでもない。俳優と監督の相性もある。監督が好きになれない俳優とはうまく行かない「でも、仲良く仕事することも大事」と言われそうだが、監督は観客の代表的な存在。監督が好き慣れない俳優は観客も魅力を感じない。また、魅力ある俳優は男でも女でも、撮影中にスタッフは皆、その人のファンになり、大好きな俳優となる。最後まで嫌われている人は世間で一時的に人気が出ても、すぐに消えて行く。

キャスティングは出会い。運命の人とのめぐり逢いのようなものだ。時間も忍耐も必要で、神経をすり減らすが「えーい、この人でいいや!」と妥協せず、戦い続けることが大事。でも、撮影期間が近づくとやはり焦る。時間が経つほどに選択肢は減る。胃がキリキリ痛む。吐き気が止まらなくなることもある。それに耐えて向かい合う戦いである。




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