夢破れた友人たち。生き残り夢を掴んだ者たち。=その違いは何か? [映画業界物語]
夢破れた友人たち。生き残り夢を掴んだ者たち。=その違いは何か?
僕が通った高校。進学校なので99%が大学に行く。が、同級生たちは夢を語ろうとはしなかった。希望する大学名も口にはしない。受験して落ちたらカッコ悪いからだ。また「将来は商社に入って海外と取引がしたい」なんていうと「お前が商社に入れるのか? その前にまともな大学に行け!」とか言われるからだ。
そんな中でも、親しい友人たちは密かに夢を語った。「会社員になるより、カメラマンになりたい」「コピーライターになろうと思う」「本当は小説家を目指している」僕は当時から映画監督を目指していた。当時からシナリオを書いていたし、8ミリカメラを回していた。
友人たちは大学に進学。4年間のバケーションを手に入れた。僕は大学を拒否。映画学校に入学したが、すぐに絶望。学生映画を始めた。ミュージシャン志望の若者が仲間を集めて素人バンドをするようなものだ。友人たちも、それぞれの夢を追って行動を開始。新たに出会った仲間たちは監督、シナリオ、俳優を目指して努力した。
しかし、若い頃は自分に何ができるか分からず、あれこれ葛藤する者。監督になりたい者は「自分に感動的な映画が作れるか?」作家志望は「俺にベストセラー小説が書けるのか?」俳優を目指す奴は「俺はテレビで活躍するような演技ができるのか?」と苦しんだ。それから40年。ああ、もう40年も経つんだ...。
夢追った多くの友人は夢破れ、去って行った。でも、彼らを見ていて思うのは、夢を追うと決めながら「俳優になりたい」と言いながら、彼女を作ることにも努力していた。脚本家になると宣言しながら、バイトバイトで生活。最後まで書き上げることはなく、人に見せることもなかった。4年の大学生活はあっという間。就職。多くが似たようなことで夢破れた。
漫画家を目指すという後輩もいたが、描いたものを出版社に持ち込むこともなかった。見ていて思ったのは、多くが趣味のレベル。大学生なら講義に出て、バイトして、コンパして、旅行して、その残った時間で趣味の活動。写真撮ったり、小説書いたり、8ミリ映画を作ったりしていた。何もしていないのに「世の中は甘くない」と諦めて就職する。世の中が厳しいのではなく、本人の意識が甘いことに気づいていない。
一方、僕は幸運にも映画の世界で仕事ができるようになった。同じようにここまで辿り着いてきた人たちを見ていると、別のものを感じる。全てをかけて戦っている。大学を中退して学生映画を作り続けた人。就職せずにカメラを選んだ者。アルバイトをしながら俳優を続ける奴。生活の残った時間で、趣味レベルで夢を追うのではなく。生活を人生を賭けて、ここまで来た人たちだ。まだまだ、書きたいことあるが、長くなったのでまた。
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