SSブログ

ハリウッド映画はなぜ面白いのか?!スケールだけでなく編集が凄い?下(終) [映画業界物語]

BTTFEFBC93-88f6f.jpg

ハリウッド映画はなぜ面白いのか?!スケールだけでなく編集が凄い?下(終)

それがデジタルの普及で映画撮影からフィルムというものが必要なくなる。まず現像費がいらない。過去のデータを消して使うこともできる。フィルムではできないこと。これで過去の日本式撮影から解放。

フィルム代を気にせずに、同じシーンをいろんな方向から通しで撮影。ハリウッド映画のような動きのある編集ができるようになる!と思ったのだが、僕が監督デビューした頃の老スタッフたちはこういった。

「お前は計算できないのか? なぜ、不必要な使わないカットまで撮影する!」

驚愕。本末転倒。そもそも日本映画は貧しいから必要なところしか撮らなかったのだ。それがデジタル全盛になり予算をかけずに、いろんな方向から撮影できる時代が来た。

なのに、貧しかった時代の強がり理論を今も振り回す。彼らは演出パートではないにも関わらず「お前の撮影の仕方は間違っている」「映画はそんな撮り方をしてはいけない!」と現場で説教された。

簡単にいうと鎌で稲刈りをしていた農家に電動稲刈り機が導入された。それを年寄りが「それは稲刈りではない。鎌でやるのが正当だ」というような感じ。古いしきたりに縛られ、新しい方法論を否定する。どこの業界でも同じだが、映画界にもそんなベテランが多かった。

が、10年が過ぎ。その手のベテラン・スタッフは現場から姿を消した。もう僕が一番年上でその上の世代はもういない。僕と同じハリウッド式撮影をする監督も今は多い。行貞勲、岩井俊二ら同世代の監督は早くからそんなスタイルで撮影している。まだまだ製作費の額ではハリウッドに敵わないが、昔の日本映画のような舞台中継のような平板な編集ではなく、動きのある自由な編集が日本映画でも多く用いられるようになった。

ただ、過去の撮影法なら撮ったフィルムを繋ぐだけで基本的に編集が終わるのに対して、ハリウッド式なら何ヶ月もかかる。また、過去の日本式なら誰が編集してもほぼ同じような編集になるが、今は編集する人によっていろんな編集ができる。

そこに個性がでる。センスがない人が作業すると、映画が死んでしまう。テンポやスピードも大事。その意味で編集作業は以前以上に大変な仕事となってしまった。毎回、それを痛感する。でも、編集の可能性が広がるのはいいことなのだ。

(了)



69576335_2931281203612831_2698133420675956736_n.jpg
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。