夢破れても大きな財産が残る?ー後編 [映画業界物語]
「夢見る力」シリーズー夢破れても大きな財産が残る?ー後編 (再掲載)
例えば、俳優になりたいと思う。
そうしたら映画を見る。舞台を見る。勉強せねばならない。シナリオを読む、原作を読む。いろんなことを学べる。学校での勉強ではない、自分から進んで興味を持って得る知識は忘れない。1人では芝居はできない。劇団に入る。仲間を集めて舞台をする。人とぶつかる。ケンカになる。意見の相違でトラブる。
でも、そんな中で人は様様なことを学ぶ。人とどう付き合うべきか? どうやって仲良くやるか? そして舞台をするには場所を借り、宣伝をせねばならない。客が来ないことある。芝居がウケないこともある。赤字になることもある。どうすれは、客が来て、芝居を喜んでくれるか? 真剣に考える。学校では学べないことをたくさん学べる。
そして何より仲間ができる。
クラスが同じだった。趣味が同じということで出来た友達とは違う、一生付き合える友達ができる。小さな劇場で芝居をするだけでも本当に大変。でも、そこで友達と笑って、泣いて、ケンカして、一緒にがんばれば、大きな絆が生まれる。そこで得たものはプロになれなくても大きな財産。
大学4年間。バイトとコンパだけで過ごすより、ずっと多くのものが得られる。もし、最終的に俳優になれなくても、そこで経験したことは別の分野でも生きる。古里に戻って就職しても役に立つ。夢破れたことを嘆く必要はない。夢追うことで、計り知れないものを得ているのだから。
俳優だけでなく、ミュージシャン、作家、
映画監督を目指す人たちも同じ。夢破れても多くのものを得られる。そのことは別の業種でも必ず役立つ。どんなことでも基本は同じ。夢を追いかけるということは、多くの意味ある経験ができるのだ。
僕は以前、演劇学校で教えていた。一目見て俳優に向かないという生徒もたくさんいた。でも、真剣に教える。それでもしプロになれれば嬉しいことだし、例え夢破れても、彼、彼女にとって俳優を目指して努力した日々は必ず、別のところでも生きるから。無駄にはならない。
だから言う。「夢見ることは大切」「夢を追うことは大事」例え破れてもそれは大きな財産となるのだから。(了)
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