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自分にできる仕事とは何か?=子供時代を見つめる。自分の資質を発見? [映画業界物語]

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「監督。凄いですね。毎回、演出だけでなく、脚本も、編集もやってるんでしょう?」

と時々言われる。本来はそれぞれに別の者が担当するが、太田組では僕が全部やっている。一番の理由は経費削減。監督、脚本、編集を1人ずつ3人でやると、3人分のギャラが必要。でも、1人で3つやると、ギャラは3人分ではなく、1.5人分くらいで済む。という経済効果。

もう一つは歌と同じ構図。作詞、作曲、演奏、歌。昔はそれぞれが担当していた。作詞・阿久悠。作曲・都倉俊一。歌・ピンクレディ。演奏・ダン池田とデュークーフリード。でも、近年はMrChidlenらバンドは自身で作詞作曲、演奏して歌ってしまう。

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そのことで、誰かが作った歌詞に誰かが作曲して、誰かが演奏して、それを歌手が歌うというパターンでは伝わりにくいもの。作者の「思い」が伝わる。だから感動する。だからヒットする。そんな形が多い。映画も同じ。誰かが書いたシナリオを、監督が自分なりに理解して、演出する。撮影したものを誰かが編集するでは「思い」がダイレクトに伝わらない。

人を経るごとに「思い」が薄まって行く。それぞれが違う「思い」を持っているからだ。似た思い出も、同じではなく、最大公約数的になる。やはり、シナリオを書いた者が、演出し、編集してこそ熱い「思い」が観客に届く。ただ、難しいことがある。「社長」シリーズ「連合艦隊」で有名な松林宗恵監督に言われたことがある。

「監督と脚本はそれぞれに別の資質なんだよ」

確かにその通りで、監督は現場で多くのスタッフ、キャストを仕切らなければならない。文句が多いスタッフもいるし、わがままな俳優もいる。彼ら彼女らと対峙、引っ張って行く力がいる。どちらかというと武闘派が得意とする仕事。現場監督のようなもの。「行くぞ。おりゃー!」的な力が必要。もちろん、冷静沈着で物静かな監督もいるが、統率力とか人望が大切。

対して脚本家は孤独な作業。1人でコツコツと朝から晩まで書き続ける。その世界に入り込み、物語を構築。あえて言えばオタク的な仕事。武闘派ではなく、小説家のようなタイプが向いている。社交的で飲み会で大騒ぎするより、1人で本を読んでいるようなおとなしい性格が向いている。両者は両極端と言えるくらいに、別の資質であり、性質の違う仕事なのだ。

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僕は毎回、両方をやっているので、当たり前のことと思っていた。が、先のような質問をされると「そうだよなあ?」と考える。両方ができる理由は何だろう? 

「才能がある」なんてことはない。才能なんて存在しない。ただ、子供の頃を思い出す。小学校低学年は学校が終わると家に帰り、1人で本ばかり読んでいる子供だった。それが高学年になると、友達と自転車で街中を走り回っていた。キャラが全然違っているが、低学年が脚本家、高学年が監督に向いたものと言える。

人は何かのきっかけで外向きになったり、

内向的になったりするということ。そしていろんな素質や資質が子供には秘められている。運動部に入り、部長になったことでリーダー的資質が発揮されたり。たまたま読んだ本が面白くて創作に目覚めたり。子供にはどんな力が秘められているか分からない。

だが、親たちはそれを探そうとせず、暗記することが主である日本の教育を押し付け。勉強以外は遊びと考えて、子供達の秘めた力を見つける機会を失う。僕の場合も、親がそれを見抜いたのではなく、環境がそれを発揮する機会を作ったのだろう。あと、親や教師のいうことを聞かない子供だったので、自分が持つ資質を見つけ伸ばす機会が持てたということか?

お陰で映画製作ではいくつものパートで仕事ができている。そして学校で習ったことが全く生かされることがないことを感じる。子供達は遊びに中でこそ、自分の秘めたる力を発見する。その機会を潰しているのが親と教師ではないか?そこが結論のようだ。


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