俳優になるにはまず、プライドをズタズタにされること②=あのタレントに似ている。俺も芸能人になれる?それだけでアウト? [映画業界物語]
俳優になるにはまず、プライドをズタズタにされること②=あのタレントに似ている。俺も芸能人になれる?それだけでアウト?
かなり昔、1990年代のことだが、ある俳優事務所=小さなところ=の社長が会ってほしい新人がいると言われ、訪ねたことがある。その新人は木村拓哉風のイケメン。社長はいう。
「どうです? かっこいいでしょう? キムタクに似ているし!」
確かにかっこいい。その上、腰が低く好感の持てる青年。社長は嬉しそういう。
「売れると思うんですよ。ドラマに歌。今、踊りのレッスンもさせています」
でも、ダメだと思った。木村拓哉に似ているということだけで、もうアウトだ。この世界。オリジナリティや個性が重要視される。すでに売れている人と似ているようではダメ。「そっくりショー」に出るのならいい。コンパに行けば、女の子たちが「わー似ている〜」と騒いでくれるだろう。
でも、仕事に繋がらない。彼がドラマに出て、どんな反響があるか?「あの人、木村拓哉に似ているね?」で終わり。テレビ局が「キムタクに似ているからゴールデンのドラマに出演してほしい」とは言わない。紛らわしいだけだ。しかし、社長はこう考えた。
「キムタクに似ている」=>キムタクは人気がある=>彼もカッコイイ=>だから、彼も人気者になる。
それは間違い。似ていることは全てにおいてマイナスなのだ。かつて、日本の芸能史上で似たような俳優がブレイクしたことがあるか? 高倉健に似た有名俳優がいるか? 勝新太郎に似た役者がいたか? 松田聖子に似た歌手がブレイクしたか? 山口百恵にそっくりのタレントが活躍したか? NOだ。
もちろん、まも真似タレントの場合は強みになるが、芸能界は個性。90年代にダンスが中心の人気グループがあったが、TRFが出て来たら消えてしまった。同じ個性派必要とされない。俳優も同じ。似ているだけでは認められない世界なのだ...。(つづく)
2019-10-22 10:02
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