俳優業はつらいよ!(上)=監督が「困ったちゃん」だと一番苦労する? [映画業界物語]
俳優業はつらいよ!=監督が「困ったちゃん」だと一番苦労する?
俳優の仕事。というとシナリオを読み、セリフを覚えて、カメラの前で演じることと思いがちだが、それだけではない。あれこれ考えて、精神的に極限まで追い詰められることもある。そんな話をしよう。
まずは監督との対応。俳優は仕事をするときにまず、監督が何を求めているのか?を考える。その方向で自分はどういう演技をするか?を決めて行く。その作品で何を描こうとしているのか?を考える。単に役の上でのリアリティを追求するだけが演技ではない。
なので、俳優たちは監督の言葉に耳を傾ける。が、初めての監督との仕事は試行錯誤が伴う。「この監督は言ってることと求めていることが違うなあ」とか「監督が言っていることだけやっていてはいけないんだ」とか気づく。「監督の求めるものが何なのか分からない。どういう演技を求めているんだろう?」と困惑することもある。おしゃべりな監督から無口な人までいろんなタイプがいる上に、監督には変人が多いからだ(僕も含めて)。
要求されることを全てこなすことが大事か? 全部はしなくていいのか? 言われないこともやらねばならないのか? そもそも、求めていることは何のか? 俳優はいろんな角度から監督の要望を叶えようと考え努力する。それでも「よく分からないだよ。あの監督は...」ということもあ流。助監督さんに相談すると「僕らも分からないんだよね〜」と言われて困り果てる。
もう一度、監督に質問するが、やはり要領の得ない答えしか返ってこない。「どうすりゃいいの!」ということになり、とりあえず思ったようにやってみる。俳優にとってはとても辛い現場となる。監督が厳しくて怒鳴る!怒るという現場の大変さは一般の人でも想像するが、それだけではない精神的なものを俳優たちは抱えなければならない。
だから、監督業は演技指導というより、俳優が演じる上でどんな風にどんな方向へ、どんなスタイルで進めばいいか?を明確に伝えること。大事なのだ。俳優の1番の理解者であり、応援者が監督であるべきなのだ。
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