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故郷映画で金儲けを企む人たち。それってどうなの?=結局バカをみることに! [地方映画の力!]

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故郷映画で金儲けを企む人たち。それってどうなの?=結局バカをみることに!

地方映画。故郷映画。呼び方はいろいろあるけど、基本は地元PRのために映画を作ろう!というプロジェクトだ。

「でも、町のPR映画にしてはいけない!」

という話は何度も書いた。都会のアンテナ・ショップのモニターで流した方がいいような観光案内映画を映画館で金を取って上映して大失敗した街はたくさんある。

今回は別の失敗談を紹介する。基本、故郷映画は地元の人たちが寄付を集めたり、自治体が予算から製作費を捻出して製作する。皆、儲けることより、多くの人が映画を見てくれることで地元を知り、訪ねてくれることを目的とする。その意味では数千万円で作った映画が2ばい3倍の効果を発揮。地元をアピールする。

だから、地元の人たちは皆、ボランティアで参加。交通費も、食費も自腹で頑張る。なのに、そんな映画プロジェクトで金儲けを企む人たちがどの街にもいる。

ある鉄道会社。地方では赤字路線が多く、経営に苦労している。後輩監督のB君はそんな地方の鉄道が好きで、彼が関わる作品では、それらの駅を舞台に映画を作ろうとした。

古い駅舎は絵になる。また故郷映画では地元密着が大事。どちらにもプラスだ。また、JRはどこも映画撮影に非協力的で、許可を取るにも時間がかかる。その点、地元の鉄道は協力的だし、何より先方のPRになるのだから応援してくれる。以前に撮影した町の鉄道も好意的で、いい感じで撮影ができた。ところが新作の舞台。その鉄道会社は違った。

「撮影するのなら使用料を払ってもらいます!」

と言い出した。それもホームは5万円。駅舎は4万円。電車の中は20万円。とメニューまで作っていた。さらに、撮影には駅員が立ち会うので、その日給を2万円という。B君のプランでは主演女優が電車に乗り、ホームで降り、駅舎から出てくるシーンがある。

それだけで35万ほど支払わなければならない。低予算でその額は大きい。何よりもおかしいのは、製作費はその町の人たちの寄付。それを地元の鉄道会社が儲けにしてしまおうというのだ。映画の舞台となれば宣伝になる。全国で公開される。配信やDVD発売もある。その駅と鉄道は何千万円分もの宣伝をしてもらえることになる。

にも関わらず、使用料を払えというのだ。地元の人たちの寄付を自社のものにしようとするのだ。自分たちも地元の一員だという意識がないのか? 自分たちも寄付をしたいというのなら分かる。タダで撮影してくださいも分かる。それが「金を払え」だ。

B君は予算的に厳しいという理由もあったが、市民の金を、それもぼったくりバーのようにあれこれ理由をつけて製作費を吸い上げようとする姿勢に激怒。

「何より故郷愛がない人たちの鉄道や駅を舞台にして撮影しても、いいものはできない!」

そう感じて、シナリオを書き換えて鉄道も駅も出てこない物語にしてしまった。結局、バカを見たのは鉄道会社だ。撮影をすればタダで全国にPRしてもらえるのに、欲張ったばかりにそのチャンスを不意にした。

あとで聞くと、その鉄道は赤字路線。かなり厳しい状態だという。そんな時、ある県の鉄道会社がテレビ取材等で使用料を取り、利益を得ていると聞く。

「それはいい! 我が社もやろう! 

それで赤字を少しでも解消しよう!」

だが、大きな間違いがある。大手テレビ局なら5万、10万と言われれても「ああ、分かりました!」と払ってくれる。理由をつければ額は上がる。

自社の社員には給料を払っているのに、撮影に同行させて映画会社から日給を取るなんておかしいのに、それでも通ってしまう。大手のテレビ局ならオーケーだ。

でも、故郷映画は違う。1万円、1千円を節約して映画作りをする。そもそもが地元の人の寄付だ。大切に使う。なのに、大手テレビ局と同じように、鉄道会社は多額の使用料を請求。愚かとしか言えない。

結局、撮影は鉄道抜きで行われ完成。映画はヒット。それを聞いた鉄道会社の関係者は後悔したという。タダでも撮ってもらえればよかったと。さらにB君の元に大手テレビ局からこんな話が来た。

「今、地方の鉄道を紹介する番組を企画しています。そちらの映画で主演女優の**さんが乗った電車も紹介したいので、映像をお借りしたいのですが.....」

ゴールデンタイムの特番だった。が、映画では鉄道シーンは全てカット撮影していない。局に貸す映像は当然ない。もし、その場面が撮影されていたら、費用対効果は数千万円。その鉄道は全国のテレビで宣伝できたのだ。

目先の金を得ようとしたために、大きな機会を失ってしまったのだ。地方にはそんなタイプの人がよくいる。地方PRがうまく行かないことが多いが、その種の発想しかない人がせっかくのプロジェクトを破綻させることが多い。目先の利益。個人の利益。会社の利益ではなく、町の故郷のメリットをまず考えることこそが成功への鍵なのだ。



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