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チャンスを掴むだけではダメ。夢を掴むために大切なこととは? [映画業界物語]

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チャンスを掴むだけではダメ。夢を掴むために大切なこととは?

チャンスに気づかない俳優の卵たち。という話を前回書いたが、俳優だけでなく、歌手、作家、ミュージシャン、映画監督と、この業界の仕事に就くにはチャンスだけではダメ。今回はもうひとつの大切なことを書く。むしろ、こちらの方が大事なのに、気づいていない人が多い。

例えば、俳優になるにはイケメンで背が高いだけではダメ。美人で巨乳というだけでもダメ。その種の美人美女は芸能界には山ほどいる。つまり、それは競争が激しいということ。大切なのは演技力だ。例え大手事務所に所属できて、コネでドラマにねじ込んでもらえても、演技力がなければ次の作品依頼は来ない。事務所も何度もコネで自社俳優を押し込むこともできない。

むしろ、ブサイクとかブ男の需要がある。デブ、ハゲ、メガネ、チビという俳優は少ない。もちろん演技力も必要だが、ずば抜けたものがなくても認められやすい。なのに往々にして俳優になりたいのは、そこそこ可愛い子とかイケメンの男の子。

「私ってそこそこ可愛いし、女優でいけるかも?」

とか考えるのだが、そこそこではダメ。抜群に可愛い子が山ほどいる世界。そこで勝ち抜くには容姿だけではなく、演技力がなければダメなのだ。以前、主演女優を探していて、ある大手芸能事務所の社長からこう言われた。

「主演? 美女? 30代? ネームバリューがある。演技力もいる。ああ、うちに500人くらいいるから、誰でも使って!」

後日、20人のプロフィールが送られて来た。皆、どこかで見たことのある女優。これが芸能界。そこに食い込んで行くには可愛いだけでは、イケメンなだけではダメなのだ。が、そんなことは想像できるだろうに、なぜ、多くの若い人は俳優になろう。歌手になろうと思うのか?多くが陥りがちなことがある。例えばドラマを見る。

「この女優本当に大根ね〜。私の方がいい芝居できるわあ」

「この映画つまらないなあ。俺が撮った方がまだいいよ~」

と思ったことはないだろうか? 自分が芝居をしたこともないのに、自分が監督をしたこともないのに、自分がやればもっと上手くできる!そんな勘違いをすることがある。一般の人でもよくある。プロ野球を見ていて

「何でその球が打てない!ど真ん中だろう?」

と中継を見ていて怒鳴るおじさんがよくいる。ボクシングの試合をテレビで見ていて

「右右、右だよ。回り込んで左、あーーダメだなあ」

という人もよくいる。映像で見ているのと、バッターボックスやリングに上がるのでは全然違う。テレビモニターをお茶の間で見ているようにはいかない。なのに「ダメだなあ」とか思ってしまう。これと同じ心理。テレビや映画で見ていると、粗を見つけやすい。それは問題点を見つけただけなのに、なぜか人は、それに気づいた自分は同じ失敗をしない。もっとうまくできると勘違いすることが多いのだ。

東京ドームのバッターボックスに立っただけで、文句を言っていたおじさんは足が震えるだろうし、映画の撮影現場に立てば、どれだけ大変か?を「俺の方がマシ」という映画ファンは痛感する。が、それが想像できない。私の方ができる。俺の方がうまい。と勘違いする人が多い。ただ、多くの人はそういいながら俳優や監督を目指さないので問題は起こらないが、勘違いしたまま芸能界、映画界に飛び込んでから、その厳しい世界に気づくのである。

何よりも問題なのは「才能があればやっていける。私は自分に才能があると信じたい」という人が多いことだ。僕は以前から言っているが「才能」なんて存在しない。素質がある人がそれを磨き、実力を伸ばし、表現の場で戦ったときに素晴らしいものができる。才能があるから、何の経験がなくても、素晴らしい演技をしたり、感動的な映画が作れたり、泣かせる歌を歌えるわけではない。「才能」なんていう言葉があるから多くの人が勘違いしてしまう。

別の言い方をすれば、素質がある人が努力に努力を重ねて素晴らしい演技をしとき、それを見た観客が「自分には真似のできない演技だ。努力だけでできない!」と思う。それを「素質」と絶え間ない「努力」とは解釈せずに、「才能」ということにすれば自分を納得させるのに便利。そんなな言葉というだけだ。

つまり、素質のない人はもともと演技をしてもダメ。音楽や映画もダメ。ただ、素質は数字では表現できないが、20%の素質がある人でも、もの凄い努力をすれば、80%の資質ある人を超えることはできる。「才能」があるから成功する訳ではない。自分の素質を磨き続ける努力が成功に結びつく。

それが分からずに「私はそこそこ可愛いから」「俺はキムタクに似ているから」という理由で俳優を目指す若い人はとても多い。そして先に上げた素質を磨く努力をするのではなく、前回書いた「チャンスをつかむ」ことに夢中になってしまう。具体的に書こう。

無名女優のA子さん。無名といっても、もう30代。結構、可愛い。小さな役で何本かの映画に出ているが、誰も知らない。小さな事務所に入っているが力がなく、ドラマや映画のオーディションにも行けない。けれど、彼女は諦めない。

「いつかブレイクしたい!」

とがんばっている。知人の監督が飲み会をすると聞けば、参加。アピールする。その種のパーティがあれば飛んでいく。その営業力はなかなか。出版社にグラビアの売り込み。監督や原作者に直談判もする。なのに、小さな仕事ばかり、それなりの依頼も来ない。なぜか?

実力がないからだ。演技力がない。可愛いだけ。可愛いだけなら、この世界。いくらでもいる。それに30代。10代、20代の可愛い子がいくらでもいる世界。その上、演技力がない。下手ではないが、セリフを普通に読む程度。なのに彼女は演技力を磨くことをせず、営業活動に勤しんでいる。だから、飲み会で出会った下心地ある監督からしか依頼がない。まじめな子なので、それが分かれば拒絶するのだが、結局別の場所でも同じような男にしか興味を持たれない。

チャンスをつかむために監督やプロデュサーに近づく。が、興味を示すのはその種の男性だけ。親身に応援してくれる人に出会っても実力がないので、次に繋がらない。彼女はそれに気づかず、今も営業を続けている。間もなく40代。実力よりチャンスばかりを追っていると、結局そんなことになってしまう。では、どうすればいいのか? 実力をつけるとはどういうことなのか? 今回は長くなったので、また別の機会に書かせてもらう。(つづく)



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