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「バック・トウ・ザ・フューチャー」に衝撃を受けて早30年。「明日にかける橋」が間もなく完成する。 [4月ー2018]

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学生時代からタイムマシンものの映画を作りたいと思っていた。当時はHGウェルズの「タイムマシン」を代表するように昔々に戻るというのがタイムマシンものの王道だった。恐竜時代であったり、ローマ時代であったり。そんなドラマを作りたいと思ったのは、まず、子供時代に観ていた「タイムトンネル」の影響だろう。確か白黒で、日曜日の夕方から放送していた。主人公が毎回、過去に行くアメリカの人気ドラマ。

そしてNHKの少年ドラマシリーズ。これは江戸時代とか戦時中にタイムトリップする物語。そんなドラマをいつか作りたいと思いながら、アメリカ留学。USCに通い、ハリウッドのシネラマドームでで観たのが「バック・トウ・ザ・フューチャー」だ。30年前の1955年にタイムスリップ。そこで若き日の父や母と出会う物語。

これはやられた! 恐竜時代やローマ時代にも戻るのではなく、30年前の50年代にバッキンタイムというのは、本当によく考えついた。ロバート・ゼメキスとボブ・ゲイルは偉い!それから25年ほど。2005年に監督デビュー作の「ストロベリーフィールズ」を撮った。この物語の舞台は昭和40年代。つまり、1960ー70年代。8ミリカメラが出てくるノスタルジックなファンタジー。

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4作目の「向日葵の丘」もサブタイトルにあるように「1983年夏」ー1983年の物語だ。そんなふうにタイムスリップしなくても、近過去を舞台にした作品を続けて撮っていた。そんなとき、「ストロベリーフィールズ」のあと、次回作として企画したのが待望のタイムスリップものだった。現代から昭和40年代に戻り、主人公のサラリーマンが初恋の女子高生と再会するという物語。でも、過去を舞台にすると高額な制作費がかかるので断念。

それから12年。静岡県の袋井市から地元映画の製作以来を頂いた。懐かしさ溢れる素敵な街。そこを舞台にどんな物語を描くといいか?考えていて、12年前のタイムスリップものを思い出した。すでに数年前にシナリオにしている。それをベースに、地元の魅力を取り込んで仕上げよう。お寺、橋、茶畑。そして花火大会。それらを書き込むと、それが本来の形であるかのように素敵な物語になった。

舞台は1989年。バブル最盛期だ。というのは前作「向日葵の丘」で1983年、つまりバブル前夜を描いていたので、今度は最盛期から描くことで別の何かが見えて来ると思えたのだ。1990年代。地方でロケしてよく思ったのは、駅前から商店街の途中までは新しくなりながら、そのあとは昔ながら古びた商店街。とか、再開発がバブル崩壊で途中までしかできていない街がいくつもあったこと。或はバブルの恩恵が届かないまま、バブル時代が終わり、何も変わらなかった地方。

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そんな街でもバブルという巨大な幻想に飲み込まれ、日本人は大切なことを忘れていたように思える。「もう少しバブルが続いてら」「もう一度バブルが来たら」という田舎の社長の声もよく聞いた。が、「向日葵の丘」で描いたように、お金よりも、物よりも大切なものがあるはず。それを別角度から描くには単に1980年代を舞台にするのではなく、その後の不況となった2000年代からタイムスリップすることで、描けるのではないか?と考えた。

こうして長年の思いである「タイムスリップ」ものとして「明日にかける橋」がスタートする。当初、06年に考えたときは、サラリーマン男性が初恋の少女に再会する話だったが、「バック」に敬意を込めて、主人公が両親に会う話にした。ただ、主人公を女性、OLにした。さらに子供時代の自分にも会う。そして映画を観てもらえば分かるが、日本版「バック」といいながらも実は違う。笑いースリルとサスペンスの超娯楽巨編である「バック」に対して太田組はやはり、涙と感動が加わる。


前作の「向日葵の丘」も「ニューシネマパラダイス」をベースにしていると言われたが、実は違って、あれは実話をもとにした物語。だから、「ニューシネマ」を観たとき(これもLAで観た)に驚いた。あちらも監督の実体験が元と聞くと、監督になるような人は似たような経験をしているようだ。で、今回も「バック」に影響を受けているが、デロリアンも出て来ないし、雷が時計塔に落ちたりしない。

さあ、どんなタイムスリップ物語なのか? まだ、詳しくは言えないが、昨年末の完成披露試写会では多くの方が号泣。毎回、映画終了時に大きな拍手が起きた。「もう一度観たい」「DVDを買って1人で心行くまで泣きながら観たい」との声も頂いた。DVDは当分ないが、6月30日から東京先行公開。何とスバル座で上映。ぜひ、映画館でご覧頂きたい。


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