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映画は成長する。監督は自分の思う方向に引っ張るのではなく、作品の叫びを聞き、背中を押してやる仕事。 [「明日」編集]

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多くの人は「監督は最初から明確なイメージがあり、それを映像化するために努力する」と思いがち。ま、ほとんどの監督はそうかもしれない。僕の場合はあまり明確なイメージは持たず、未完成な形で把握。それを育てて行くという方法論を取る。

その手法を鈴木杏さんは感じ取ってくれたようで、インタビューでもそのことを語ってくれている(12月の完成披露上映会でその記事掲載のパンフ販売)現場であれこれ指示せずに、俳優が思わぬ演技してくれるのを期待するし、受け入れる。同じように編集時も作品が自己主張を始める。

あーこのシーンが前に出たいと言っている!と感じると、それを押してやる。僕が一方的に編集し、意図通りの形にはしない。次第に形が見えて来て、あーこんな映画になるんだ〜と毎回思う。時間が経つと忘れてしまい、もともと、そんな形をイメージして作ったと自分でも錯覚してしまうが、編集をしていると、そうではないことを思い出す。

今回も同じ。当初は家族の物語と思い進めていた。それはその通りなのだけど、途中からこれは主人公みゆきの成長物語でもあるんだな。と思えて来た。そして、本日「愛と哀しみの山河」の章を手直ししていて、これはファンタジーというより文芸作品かもしれないと感じている。

例えば「香華」。木下恵介監督の文芸大作。岡田茉莉子主演、有吉佐和子原作の映画。まあ、あれは日本の「風と共に去りぬ」というすごい作品なので、それと同じとは言わないが、物語として共通するものを感じる。時代の流れに翻弄される中を家族と共に生きる1人の女性の物語という意味では似ている。

木下作品では大好きな1本なので、影響を受けているかもしれない。しかし、もともとは「バック・トウ・ザ・フューチャー」なのに? いや、それもちゃんと入っている。そんなふうに編集していると、思いもかけない映画の影響を見つけたり、意図せぬものが広がっていくことがある。これが面白い。そろそろ、レンダリングが終わるので作業に戻る。


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