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地方映画で観光PRメインはダメ。「物語」こそを売り物にしなければ!? [地方映画の力!]

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僕の前作「向日葵の丘」を上映してくれたロケ地に一番近い映画館。何と6週間のロングランになった。その後、そこの方とお会いしたとき、こんな話をしてくれた。

「太田監督の映画がヒットしたのは、うちの映画館がロケ地に近いので市民がたくさん来てくれたというのはある。でも、6週間のヒット。本来は2週間の予定だったのが、4週になり、6週になり、あとは正月映画があるからもう延長できないところまで多くのお客様が来てくれたのは、自分たちの町が映っているというだけでなく、感動できる作品だったから。だから、口コミで広がった。あれだけ多くの人が来てくれたんだ」

専門家の分析は鋭い。実際、映画館上映のあと、地元での上映会があったが、それも大ホールが満員。市長も見に来てくれて大盛況だったと聞く。そこから学ぶこと。ご当地映画。つまり、ロケした町、或は近隣でその映画を上映すれば、多くの市民が関心を持ち、見に来てくれる。でも、それだけではダメだということ。より多くの人に来てもらうには作品自体が感動的でなければ広がらないということなのだ。

実際、僕の前々作「朝日のあたる家」はロケ地の湖西市で3000人が見てくれた。もちろん地元だからというのが大きな理由だが、その後、近隣の映画館で公開されたときも、大ヒット1ヶ月近いロングランとなった。僕が前々から感じていたことが証明された感じだ。

よく地方で映画を撮るとき、地元から「うちの町は大根の産地だから、大根農家ががんばる物語を作ってほしい」とか頼まれる。が、それはストレートに言えば自画自賛。「ワシらの町の者はこんなにがんばってるんだ!」というPR映画になってしまう。そうではなく、町を舞台にした全国どこでも、それこそ世界でも通用する「物語」が大事なのだ。

だが、そこを理解してもらうのはむずかしく、町で実際にあった逸話とか、地元出身の有名人の物語とか、そんな話を作ってほしいともよく言われる。それらも町の人は関心を持つ題材だが、他県の人は全く興味を持たない。それは町のアピールに繋がらないのだ。やはり自画自賛。「うちの町にはこんな有名な人を排出しているんだ」というだけの作品になってしまう。

そんなこともあり、僕はいつも自分の目でその町を見てそこから物語を作る。或はすでに手持ちの話でその町に相応しいものを町に合わせて書き直す。町が単なる背景になるだけではいけないが、観光案内になるのは最悪。物語に町の風情が溶け込んでこそ、映画を見た人はその町を好きになる。入場料を払って町のPR映画を見る人はいない。物語を楽しみにくるのだ。だが、物語が感動的なら、必ず舞台となった町に行きたくなる。

先の映画館の方の話を聞き、そんなことを思い出した。映画は観光ツールとして非常に有効。でも、観光PRを優先すると、それは効果を発揮しない。本当に伝えたいことを前面に出さず、後ろに置くこと大事なのだ。



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