SSブログ

明日にかける橋ー編集日記(9日目)孤独との戦い。作業中は普通じゃない? [「明日」編集]

22154483_1635380213202943_3979907217174702537_n.jpg

編集にはスタイルがある。友人のディレクターは同僚と世間話をしながら会社の隅にある機械で編集する。が、多くの映画監督は編集室に籠って作業。「編集しているときは、声をかけたら殺される!」と言われる巨匠もいる。普通の状態ではなくなる。それくらいに集中して作業する。

僕は作業の前からなるべく人に会わないようにして、編集モードに入って行く。以前にも書いたが、ボクサーがタイトルマッチの前になると、他の仕事をせず、ジムに籠もり、ひたすら練習に打ち込む。闘志をかき立てて試合まで、マスコミ取材も拒否するというが、それに近い。

いつも編集開始になるとFacebook等で告知。関係者に連絡しないようにお願いする。最近は皆、理解してくれていて、関係者からはピタリと連絡が止む。本当にありがたい。現在の連絡はプロデュサーが受け付けてくれている。問題があるときは彼からメールで連絡が来て、こちらもメールで返信。電話は厳禁。しゃべると編集モードからトーキングモードに切り替わり、何日も作業が止まるからだ。

ボクサーが試合前になると家族と離れてジムに泊まり込んだり、マスコミ取材も受けず、友達と遊ぶのも止めるというのも、同じ発想のような気がする。「必ずタイトルを取ってやる!ぶちのめしてやる」という闘志が人と会うと失われるからだろう。その意味で編集もボクサーも、きっと他のスポーツ選手も、さらには作家や画家、音楽家も同じかもしれない。

自分を追い込み、孤独の中で戦う。気持ちを盛り上げて集中する。これも以前に書いたが「あしたのジョー」の力石徹がジョーと対戦する前にジムに籠るエピソードがあるが、それを思い出す。

すでに人と話さない期間が数週間。買い物はスーパーやコンビニなので店員と会話を交わす必要はない。ランチは食べに出るが、僕のことを知らない店に入る。「あー監督。お久しぶり」とか言われると返答しなければならない。監督とは知らないまでも、顔を覚えてくれている店員さんもマズい。ファーストフードとか、アルバイト店員で、顔を知らない店を選ぶ。

飯を食ったらとっとと編集室に戻り、作業。朝から晩まで続く。ときどき、誰かと無性に話をしたくなることがあるが、「今話してはダメ」というときは絶対にしない。そのことで作業ができなくなることもあるから。

携帯は電源を切ってある。が、面倒なのはメッセンジャー。着信があると勝手に画面に表示される。なるべくネットも切って作業するのだが、メールでもあれこれ連絡があると、気になってしまう。大事件なら対処せねばならないが、友人からの近況報告とか、下らない噂話とかもある。

先日も今頼んで来るか?!というメールもあり、爆発しそうになった。本人に罪はないが、こちらは神経過敏、情緒不安定、編集という作業はそうでないと出来ない。感度が日頃の何倍にもなっている。普通の状態ではない。異常者に近いのだ。だからちょっとしたことで怒り爆発。でも、ここで怒ったら編集モードが切れてしまう。どうやって気持ちを整理して、作業を続けるか?で半日も葛藤した。

などと書いてもなかなか編集作業というのは分かり辛いものだと思う。だから、一番簡単に理解法は「監督業ってクレージーなのね?」ということかもしれない。作業を続ける。


小.jpg
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。