SSブログ

「明日にかける橋」の物語を思いついたのは11年前のサウナ?② その町の美しさが物語を花開かせる。 [思い出]

22008442_1633704020037229_8173118876904942262_n.jpg


名古屋のサウナで考えついた物語。「かなり行ける!」と思っていたが、早10年が経つ。その間に日本はさらに酷い状態となり、当時「お父さんを応援しないと!」と思っていたが、お父さんだけでなく日本人の誰もが大変な時代になってしまった。バブル経済を知らない子供たちが大人になり。日本はもう経済大国ではなく不況が20年も続く国に落ちぶれてしまった。

そんな時代に「お父さん。がんばれ!」では意味がない。しかし、過去にタイムスリップする物語は昔から好きで一度挑戦したいと思っていた。そして過去を旅する訳ではないが前作「向日葵の丘」はバブル前夜と言える1983年ー日本人が将来に希望を感じていた時代を舞台に映画を作った。その時代と現代を対比することでいろんなものが見えて来た。だったら、次はバブル前夜ではなく、バブル全盛期を見つめるとどうか?そう考えた。

思い出したのは名古屋のサウナで考えた物語。今回は回想の物語ではなく、実際に過去に行くことで何かを見つける話にしよう。そうだ。バブル全盛期である1989年にタイムスリップする物語はどうか? 先の企画は昭和40年代を考えていたが、それを1989年。つまり平成元年にする。そして先に物語ではお父さんが中学時代に好きだった初恋の女性を助けに行くという設定だったが、それをヒロインが過去に事故で死んだ弟を助けに行くという話にするとどうか?

物語の骨格は同じで行ける。そして、1989年という時代。バブル時代を見つめ直すことができる。あの時代何を間違ったのか? 日本はなぜ、こんなになってしまったのか? を弟の事故にダブらせることができる。もし、こうしていれば? ああしていれば? あのことを理解していれば? きっと今の日本は違っただろうということを家族の物語として描ける。かなりいい話になりそうなので、いい加減な形ではやりたいくない。「ここぞ!」というときに撮りたい。そう思いながらまた月日は流れた...。

昨年の今頃。静岡からの映画制作の話が来た。その町で映画撮影するのにいい企画はないか?ということになる。監督という人種は日頃からいろいろと企画を持っている。僕も暇さえあれば、れこれ考えているのだが、得意の涙と感動の青春もの以外にも、ミステリーものも何本か企画がある。精神病をモチーフにしたかなり危ないもの。女探偵が活躍する本格ものといくつかある。が、やはり美しい緑に囲まれたその町を舞台にするなら、相応しいものにしたい。

よく地方映画では、自分たちの町を誉め称え。観光地や名産品を劇中で紹介するものがある。PR映画か?劇映画か?分からないものがよく作られる。以前にも書いたが、それは自画自賛。他県の人が見ればうんざりするだけ。PR映画ではなく1本の映画として、感動物語を作るからこそ、他県でも、日本中でも、世界ででも観てもらうことが可能になり、その町の美しさが観客の心に残る。それを取り違えて映画を作る町が多い。だから、まず感動物語。そしてその町の美しさが前面に出る設定が大事。

それをふまえた上で、あれこれ考えていて、ロケハンし町の美しさを実感。実は以前にあるきっかけで、この町をロケハンしたことがあり、そのときから素敵なところだと思っていた。さらに町のことをあれこれ知るにつれ、感じるものがある。が、やってはいけないこと。地方映画を撮る監督には「この町のために書いた物語です!」とかいって、地元の名産品にまつわる美談のようなことを、サラサラと数週間でシナリオにする人がいる。が、それは最悪。手抜きの仕事!

町の人には受けるかもしれないが、他県では通用しない。それこそ先に上げたPR映画だ。そうではなく時間をかけて考え抜いたストーリーを骨格にして、その町に合わせて物語を紡ぐことが大事。安易なものを作りたくない。そう考えていたら、先のタイムスリップものが相応しいのではないか?と思えて来た。ロケ地の1つ袋井市は花火大会で有名。クライマックスを花火の夜にしよう。本当に素敵な魅力的な橋も見つけた。タイムスリップするのに橋を渡るのはどうか? 

そんなことから想像が膨らみ、10年前の物語が相応しいと思えて来た。その町を舞台に最初から物語を紡いでみた。花火や橋。古い町並みや伝統あるお寺の数々。それらが背景となり10年前の企画は奥行きのある、素敵な物語として形になって来た。花火大会がなければならないストーリーだと気付く。この町のために、物語が存在したかのような見事な融合。運命とは往々にしてこういうもの。「ここぞ!というときに撮ろう」そう思って大切にしていた企画、どうしようか?とも思ったが、とっておきの物語はこの町を舞台にすることで花開く.....そう感じた。

「ここぞ」というのは今! こうして10年前に考えた物語の「種」が静岡県の町ー袋井、磐田、森町に降り立ち、そこで根を降ろし、地面から町の魅力を吸い上げ、大きな花を開いたのである。これらの町だからこ、その美しさで咲いたのである。それはまるで夜空に上がる花火のようにも思える。こうしてタイトルは「明日にかける橋」となり、翌年に撮影がスタートすることになるのである。



21316536_1606805146060450_136351002334616506_o.jpg
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。