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明日にかける橋ー編集日記 9月 Wアレンも同じこと言ってた? [「明日」編集]

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ラッシュで思い出したのだが、昔昔、ある製作会社で仕事をしたとき。編集途中でプロデュサーが「見せろ!見せろ!」とうるさい。僕がまだ若手だった頃で「本当に大丈夫なのか?」と心配だったようだ。が、途中段階を見せても意味はない。自主映画時代から途中で見せたことで、あれこれ言う奴が出て何度も揉めたからだ。でも、彼はプロだし...と思い、映像データを持って会社に行った。

モニターに繋いで映像を見るのだが、会社のテレビが壊れているという。テレビといっても大型モニターではなく、台所に置くような小さなテレビ。それすら使えない。するとPは自分のノートパソコン。小型の古いものを出して来て「これで見ましょう!」という。

もう、頭に来て帰ろう!と思ったが、我慢して、それで見せた。そもそも、映画スタッフが必死で撮影した映像をノートパソコンで見ようなんてとんでもない。おまけにそのパソコンの画面は小さくて暗い。細部が写し出せない。にも関わらず、Pは「編集がダメ。見ていて目が痛くなる」などといいだす。目が痛くなるのはモニターが暗くて見辛いから!

編集に対してもあれこれ文句をいうが、まだ途中段階。Pの指摘を聞いていると現段階での不満であり、完成形がイメージできていない。言い換えればカレーを作るのに、ルーを入れる前に味見をして「カレーらしくない!」というようなもの。

別の関係者が途中で見たときも、もの凄い不安そうにしていた。「こんなでまともな映画になるのか?」と思ったそうだ。しかし、完成したものを見ると笑顔で「よかったよー」といわれた。彼らは最終形をイメージできなかったのだ。

要は「どんなふうになるのか?」という不安を解消したくて「見たい」という。想像力がないので見たままが全てと思い込み、不安が広がるという構図。そして監督にあれこれ的外れな意見を押し付けて来る。全く意味がない!

それ以来、編集途中では誰にも見せないことにした。編集が終わり完成したものを見せる。と、皆「よく出来ている!」「感動した!」と喜ぶ。そもそも僕の作品の編集はとても評判がいい。ごくたまに批判的な人はいるが、かなり個性的な趣味の方だけ。そんなことがあって以来、編集途中は誰にも見せないと決めた。

数年後、Wアレンのインタビューを読んだ。「編集中の映像をプロデュサーたちは見たがるが、僕は絶対に見せない。それは契約書にもいつも明記する」と発言している。アメリカでも同じなのだ。途中で見て不安になり、うるさく言う。それが作家には何のプラスにもならない。日米共に同じなのだ。話は戻る。小型のノートパソコンで映像を見たP。作品愛がない。だから僕は映像を見るときは、必ず一度DVDに焼いて大型モニターで見る。作品に対する愛。そこがスタートなのだ。



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