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編集が間もなくスタートするので、その辺を解説。 [「明日」編集]

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映画制作では現場で撮影した映像を編集室に持ち込み、切ったり貼ったりして、仕上げて行く。撮影はシナリオ順に撮っていないので、まず、物語の順に映像を並べて行く。同じ映像でも俳優が台詞を間違えたり、撮影がうまく行かなかったカットもある。それらはNGといい、外して行く。

いわゆる「NG抜き」。こうしてOKとなったカットが物語順に並ぶ。でも、OKカットでもいろんな角度から撮影した映像がある。主人公のアップ。バストショット。相手役の肩嘗め。相手役のアップ。バストショット。そこから物語の流れに相応しいカットを選び出して行く。

それも最初のカットは主人公のアップを5秒、次のカットは相手役のアップを5秒。その次が主人公のバストショットを4秒と、別の映像を繋いで行く。通常、1シーンは3分ー5分。3分だと180秒。5秒のカットでつないで行くと、36カット。3分のシーンで36回の作業が必要。その1つを選ぶために、その種の大量の映像を見直して最適なものを探す。それに10分20分。ときは1時間かかる。

そのシーンのカットを全て繋ぎ終わったら、通して見てみる。何かおかしい? どのカットが問題なのか? 主人公のアップはバストショットの方がいいのか? そのカットを抜き出し、バストショットを探し出して、切り取り、はめ込む。そして通して見てみる。そんな風に作業をしていると、1シーンに数時間。時には半日、1日がかりのこと。いや、1シーンに何日もかかることもある。

「明日にかける橋」は全部で87シーン。1日1シーンだとしても87日(もちろん1日5シーンということもあるが、1シーン5日ということもある)その上、一度最後まで作業しても、まだ出来上がりではない。もう一度最初から見直して、頭から全て確認。直して行く。その上、映像だけでなく、音の処理もせねばならない。効果音や音楽はあとだが、台詞の音声は編集で直して行く。

そうやって1ヶ月はNG抜き。2ヶ月が編集。そのあとに音楽や効果を付けて行く。こんな作業を何に例えればいいのか? 三途の川で石を積むような作業? そんなことを何ヶ月も続ける。そんな過酷な仕事なので編集者は長時間座っているので痔になったり、ヘルニアになったりする。体だけでなく精神的にも本当に大変。多くの監督は現場で俳優相手に撮影する方がずっと楽!といい、自分で編集する監督は少ない。

大変なだけでなく、現場とは違うセンスや感性が必要なのだ。それがないと編集はできない。つまり、編集というのは映像を切ったりはったりする単純作業ではなく、独特のセンスを最大限に生かして物語を紡ぐ仕事。どんな素晴らしい俳優の演技も、素敵なカメラワークも、編集次第で死んだり、生きたりする。なかなか、そこを文章では説明しづらいが、編集とはそんな重要な仕事なのである。間もなくスタート。


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