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人は本当に好きな仕事をすることで、多くの人をハッピーにできる! [my opinion]

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1960年代の日本映画は世界レベル。なのに今はダメ。その理由を黒澤明監督に聞いた人がいる。答えはこうだった。

「当時は監督が本当に撮りたい映画を会社が撮らせていたからさ! でも、今は押しつけの企画ばかり。だから、いい作品ができないんだよ」

これは分かりやすく、同時に分かり辛い言葉だ。では、現在の映画界を考えよう。自分が本当に好きな映画を撮れる監督は非常に少ない。会社が企画したものを依頼されることがほとんど。それも漫画原作とか、人気俳優が主演、主題歌は有名な***と決まっている。

そうなると監督は単なる請負業。この役はこの俳優じゃないのになーというキャスティングでも撮影せねばならない。人は納得できないもの、真剣になれないことはお仕事として対応しがち。特に芸術家とも言える監督はその傾向が強い。全力で映画作りをしない。逆に、本当に撮りたい映画を作れれば全力で作るので名作ができるー昔の映画会社はそれを知っていたので、世界レベルの名作がたくさん作られたが、押しつけの企画ばかりの現代はいいものが出来ないと黒澤監督はいうのだ。

これは映画監督だけではない。どんな仕事でも、本当に好きでやっている人はいい仕事をする。逆に「給料がいいから!安定しているか! 他に仕事がなかったから」という理由で仕事をしている人はやる気が見えず、簡単な仕事でも時間をかけてやる。ラーメン屋でも流行っている店の大将はいつも元気だし、自分が作るラーメンをお客が食べてくれることを最高の喜びとしているように見える。そんな店のラーメンは本当においしい。

映画監督も同じ。例えるとラーメン作りが好きな人に、映画会社は「若い人はハンバーガーが好きだから、作れ」ということが多い。おまけに、肉はこのメーカー。パンはこの店。ケチャップは大手食品会社と指定されるので、クリエイティビティがなくなり、やる気をなくすのだ。そう考えると黒澤監督の言葉は映画監督だけでなく、多くの職業にも当てはまる。

巨匠たちを考えよう。黒澤明でも、市川崑でも、大林宣彦でも、彼らは自分の意思を絶対に曲げない。会社やプロデュサーと戦って、自分が信じる道を進む。結果、名作が完成する。映画は映画監督が「本当に作りたい!」作品を思うように撮ることで素晴らしい作品となるのだ。

巨匠たちに学び、無茶だと知りながらも僕は1作目の「ストロベリーフィールズ」から夏撮影予定の「明日にかける橋」まで、全て自身が企画した作品。どれも原作はなく、オリジナル・シナリオを自身で書いている。キャスティングもスポンサーからの押しつけではない。演出、編集、音楽、完成まで、自分の思う通りやらせてもらう。本当に撮りたいから頑張る。だから毎回、評判がいい。「感動した」「泣けた」「俳優が素晴らしい」と言われることが多い。それも本当に撮りたい映画を撮っているからだろう。

ところが、その構図を一部の人は理解できないようだ。日本人的な発想が影響している。「嫌な仕事でも一生懸命やることが大事」という人が多い。それはその通りだ。しかし、その発想が曲がってしまい、こういう人たちがいる。「辛いのが仕事。楽しいのは遊び」「好きなことばかりできるほど世の中甘くない」つまり、仕事は辛いものであり、楽しいのは遊び。好きなことをするのも「遊び」「趣味」「身勝手」という考え方だ。僕も映画を撮った地元でこう言われることがある。

「結局、監督は自分が撮りたい映画を撮っているだけだろう?やりたいことをやるのは遊び。厳しい仕事に取り組んでいないね〜」

その延長でこういう人もいる。

「好きなことやってんだから、ギャラはいらないでしょう?」

何でそうなるの?と思っていたが、先の論理だ「仕事は厳しいもの=耐えてやる人は偉い」「好きなことをやるのは趣味=楽しいだけ。仕事と言えない」その考え方をする人の多くは「好きでもない仕事」をしている人たちだろう。そして「好きな映画を作る」方が依頼された「嫌な映画」を作るより何十倍も大変であるか?を知らない。

そして嫌々仕事すればマズいラーメンしか作れないが、本当にラーメンが好きなら、美味しいラーメンを作れる。映画も同じ。監督が本当に作りたい映画を作ることで、苦労はあっても素晴らしい映画ができる。なのに「あの監督は自分が作りたい映画を作っているだけだ」と批判する。そして「俺たちは利用されているだけだ」とまでいう。スタッフ&キャストが全力で自分たちの町をアピールする映画を作っているのに、そんなことをいう住人が必ずいる。

では、逆に監督が撮りたくないものを撮らせればどうなるか?クオリティの低い映画ができるーその手の批判をする人はそんなことを望んでいるのか? にも関わらず「耐えることが大事。嫌な仕事を我慢してがんばるのが大人!」という考え方をする人がいるのだ。戦後、日本ならその発想も意味があったが、現代ではもう成立しない。

僕にとって大事なことは、観客が喜んでくれる映画を作ること。クオリティの高い作品を作ることだ。作りたい映画だかこそ、ギャラが安くても、7人分の仕事をしても、過労死しそうでも努力する。諦めない。手を抜かない。自分が真剣になれない企画はどんなにギャラが高くても受けない。ま、その結果、いつも赤字が出ると、その穴埋めに監督料脚本料を使うので、映画が完成して残るのは、いつも膨大な借金だけということが多い。

でも、それで素敵な作品ができればいい。監督が真剣にかかるからキャストやスタッフも真剣になる。そして素敵な作品ができる。地元の皆さんは喜んでくれる。各地の人が映画に感動。「この町へ行ってみたい!」と思う。皆がハッピーになる。だから若い人にはこういう。

「本当にしたい仕事をしろ。それは簡単なことじゃない。求人募集がない仕事もある。でも、その仕事をどうすればできるか?真剣に考えて行動すれば、必ず就くことができる。年月がかかっても諦めなければ掴める。好きな仕事をすれば多くの人をハッピーにすることができる。我慢しながら嫌な仕事をして、がんばる人を批判する人生を選んではいけない」





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