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自分らしさって何だろう? 自分しか作れない映画ってどんなだろう?(後編) [my opinion]

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 自分らしさとは何か?ー考えてみる。僕を含め多くのクリエーター。漫画家も、俳優も、ミュージシャンも、作家も、漫才師だって、自分が好きなクリエーターの真似、模倣からスタートする。島田紳介はB&Bの漫才を録音して書き起こし、そのネタを分析したという。そんなふうに、自分の好きな人を把握。自分との共通点。相違点を探して行き、憧れの人とは違う、自分らしさを探して行くのだ。

 僕の場合。海外で言えば、スピルバーグ、ルーカス、カーペンター、ピーター・ウィアー、論・ハワード、ロバート・ゼメキス等の監督が好きだった。日本なら大林宣彦。それらの先人たちの影響を受けていること実感する。でも、そこからがスタート。単なる模倣でなく、先日たちにはないもの。自分にしかないものを探す。

 デ・パルマやカーペンターはヒッチコックから大いに影響を受けている。が、単なるコピーではなく、彼らなりのオリジナルやテイストが存在する。ルーカスは黒澤明の影響大だが、独自の「スターーウォーズ」観を持つ。それがクリエーターのあり方だと思える。

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 自身を振り返ってみると、元々SF、ファンタジーが好き。だから「インディジョーンズ」や「スターウォーズ」も好きだが、あの手の作品を作りたいとは思わなかった。好きなのはテレビ版の「スタートレック」や「トワイライトゾーン」映画では「スプラッシュ」「コクーン」「ポルターガイスト」。

 まあ、SFものは子供の頃から特撮ものを見ていたせいだろう。円谷の「ウルトラシリーズ」東宝の「ゴジラ」シリーズ。漫画なら永井豪、石森章太郎らもSF設定の作品が多い。

 SFから離れれば「刑事ジョンブック 目撃者」「今を生きる」「素晴らしきかな人生」のような文学調の作品が好き。あと、もちろん、大林宣彦作品「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」「ふたり」「あした」「ねらわれた学園」等は大好き。大林監督もファンタジーが多い。

 黒澤明作品では「生きる」「赤ひげ」「野良犬」「酔いどれ天使」「天国と地獄」等。そう考えて行くと、「スターウォーズ」のようなど真ん中のSFより、SF設定のもの。そして感動ものが好きだと分かって来る。当時、それを分析した訳ではないが、その方向が作品カラーになって行くのが分かる。

 「ストロベリーフィールズ」はファンタジー。これは大林監督の作品に近い。今回の「明日にかける橋」もファンタジー要素がある。でも、その他の作品はその要素ゼロ。「青い青い空」は青春もの。「朝日のあたる家」は原発事故に巻き込まれた家族の物語。「向日葵の丘」は30年の月日を背景にした友情物語。SF好きとは思えない。それはどこから出てきたのか?

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 「朝日」ー実はあの物語の構図は怪獣映画だ。見えない怪獣が出現するというもの。「世界大戦争」の影響も大きい。ただ、「青い青い空」は「スイングガールズ」や「シコ踏んじゃった」等のカルチャー挑戦ムービー。僕の趣味になかったもの。これは自分のどこから出て来たか?よく分からない。「向日葵」もそうだ。それに準じる好きな作品が思いつかない。

 あれこれ考えてみると、SF映画、漫画、文芸作品、大林映画以外で影響を受けている作家を思い出す。テレビドラマの脚本家・山田太一と倉本聰だ。80年代彼らの作品は一世風靡。映画を超える感動作を連打している。山田太一は「男たちの旅路」「ふぞろいの林檎たち」「深夜にようこそ」「岸辺のアルバム」「早春スケッチブック」「時にはいっしょに」等。倉本聰はご存知「北の国から」そして「ライスカレー」「昨日、悲別で」「君は海を見たか」等。

 どれも魂を揺さぶるドラマ。よく、あの時代はそんな作品を作り得たな?と思うほどだ。それらにも僕は多いに影響を受けていると思う。もしかしたらSFファンタジーより、こちらが進むべき分野であり、無意識にそちらに舵を取ったのかもしれない。


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 例えば「青い青い空」の長門裕之さんが演じてくれた和尚は、「男たちの旅路」の鶴田浩二であり「早春スケッチブック」の山崎努のキャラだ。「朝日のあたる家」はまんま「岸辺のアルバム」の最終回だし。(これは意識した。原発事故を物語にする上で、どんな器が必要か考えていてあのドラマだと)「向日葵の丘」は倉本聰の「昨日、悲別で」や「ライスカレー」の感覚を感じる。

 こんなふうに考えると、作品作りとは、自分らしさとはワイン作りと似ている。いろんな材料を樽に入れて、年月をかけて発酵させる。そこで出来たものが作品。あまり意識してはいなかったが、そんなふうにして自分らしい物語を作るようになった。「作品を見たらその人が分かる」と言われるが、まさに自分らしさが出ているということなのだ。

 細かな展開は自身でも分からないが、そんな風にして作品から学んだこと。自分の中で昇華して。そこに
じぶんなりの経験等が投影されて物語を生み出すということなのだろう。振り返ってみると、ある未発表作品「救世主ケイン」というミステリーが自分らしい作品を作り始める原点だと思えるのだが、長くなるのでまた別の機会に書きたい。ともあれ、「自分らしさ」を出す事はむずかしいが、どんな分野でも一番大切なことだと思える。



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