「監督は優しい人だから、メールすれば多忙でもきっと返事をくれる」と過剰な期待をする一度しか会ったことない人? [my opinion]
「監督は優しい人だから、メールすればきっと上映時間も教えてくれる」
と過剰な期待をする一度しか会ったことない人?
Facebook友達のトラブルで思い出したが、仕事柄いろんな会に呼ばれる。お世話になっている人たちの会もある。そんな時、業界の先輩なり、別業界の友人が連れて来たカタギの人。そんな人たちとは名刺交換する。後日、メールでお礼をくれたりする。Facebookではないのでお礼を返信する。それが業界関係の人であれば、あまり問題は起きないが、カタギの方の時はトラブルになることがある。
というのはFacebookと同じで、あれこれ質問をしてくる。まあ、先方にとっては映画監督と知り合えた。いろいろ話を聞きたい。女優の裏話を知りたい! それをメールで聞いてくるのだ。Facebook友達は会ったこともない人たち一線を引く。が、この場合は一度お会いしているし、友人や先輩の知り合い、女性であれば彼らの彼女である可能性もある。あまり無茶な対応もできない。
「その後、映画準備は進んでいますか?」
とか聞いてくる。そんなこと関係者でもないのに1人1人に説明してられるか?と思う。それ以前に僕のブログを読め!そのために克明に進展を毎回、記録している。その話も会った時にしている。でも、まだ、そのレベルは理解できる。酷かったのはこれ。先輩が連れて来たカタギの若い女性。超多忙な時にこんなメール。
「明日、監督の映画を見ようと思ってますが、新宿でもやってますか?上映は何時からですか?」
そんなことはネットで調べられるだろ? 映画館でも教えてくれる。こちら猫の手も借りたいほど忙しいのに、そんなことを聞いてくるか? 先輩の彼女かも?と思ったが、そう素直に返事してした。流石にショックだったのか、それ以降メールは来なくなった。あとで聞くと
「監督は優しい人だから、きっと上映時間も教えてくれると思ったのに...酷い...」
と先輩に不満を訴えていたらしい。が、そもそも僕はGoogleではない。質問を書き込めば答えが返ってくるものではない。おまけに上映中はあれこれ関係者への連絡で追われている。自分でできることを、わざわざ聞いてくる神経が分からない。そんなある時、あるPの話を聞いた。
「撮影現場でもそうだけど、あまりに皆に親切にし、愛想良くすると、どうでもいい問題まで頼ってくるですよ。それはお前の仕事だろ?というのを『どうしましょう?』って言ってくる。だから、現場ではなるべく愛想良くしないで、皆と距離を置くようにしてるんですよ」
それは大事かもしれない。僕は「いい人だ」「親切だ」「優しい」と言われることがあるが、それで勘違いして、あれこれ頼ってくる人が出てしまうのかもしれない。以前にも書いたが、「感謝の気持ちを伝えね」ばと撮影後に自宅に挨拶に行ったら、その後、
「最近は挨拶に来ない。失礼だ!」
と言われたことがある。あれは撮影で借りた物があったからお礼に行っただけであり、なんでその後も、挨拶に行かねばならないか?と思うのだが、
「監督は礼儀正しい。だから機会があれば挨拶に来る人だ。なのに最近は来ない!裏切られた。失望した」
ということなのだ。先のPの発想は正しい。これは先日書いた「嫌われることを恐れていはいけない」の話にも近い。先輩が連れて来た人だから、失礼のないようにしようとしたことで、映画館の時間まで問い合わせて来られる。感謝を伝えに行ったことで「裏切られた」と失望される。どちらも最初から距離を置いておけば、彼らも勘違いせず嫌な思いをすることもなかったのだ。
悲しい話だが、映画の仕事は本当に多くの人たちと出会うので、実は大切なことかもしれない。それとも出来る限り人に会うことを避けて生きるか? ウッディ・アレンやデビッド・ボウイの逸話を思い出すとそう思える。
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