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監督が7倍働けば、製作費3倍効果?! 大切なことは素敵な映画を作ること! [2019]

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監督が7倍働けば、製作費3倍効果?! 大切なことは素敵な映画を作ること!

編集で3ヶ月。編集室に篭り作業。人とは会わずに、飯も菓子パンやコンビニ弁当。朝から深夜まで仕事。映画の編集というのはそういうものだが、ロケ地の人からこう言われたことがある。

「監督。撮影が終わってから何ヶ月も何をしてたんですか? 海外旅行でも行っていたんですか?」

「編集だよ!」と怒鳴りそうになるが、一般の方は「撮影が終われば映画は完成!」と思う方が多い。ただ、それ以前に海外旅行どころか、国内旅行に行ける余裕も、通常の監督業ではない。監督というのは多くのギャラをもらい、金持ちというのが一般の認識だが、監督業だけで生活できるのは日本で5人ほどだ。

どうも映画業界に対する一般の認識は間違いが多く、そんなことで揉めることがある。スタッフでも、本当に安いギャラで頑張ってくれいる。例えばギャラ100万と聞くと「凄いなあ〜」という人がいるが、撮影1ヶ月。準備2ヶ月。1ヶ月=30万少々。それも技術パートは職人。長年、経験を積んだ技術のある人たち。それがそんな額で仕事している。いや、それ以下で働いていることも多い。でも、100万と聞いたサラリーマンは

「俺は月給50万。映画は100万かあ。いいなあ〜」

と考える人がいる。彼の場合、1ヶ月で50万。その時点でそのスタッフより高額。さらにボーナス。首にならなければ毎月給料をもらえる。映画の場合。撮影が終われば仕事はない。次の仕事まで3ヶ月空けば、その間は無収入だ。もちろんボーナスもない。それを額だけ聞いて羨む人がいる。もっと酷いこともあった。地方映画を撮り、完成した後、ギャラを請求すると、

「え? 監督はギャラを取るんですか?」

と言われたことがある。「わしらだってギャラもらわずにボランティアでお手伝いしたじゃないですか?」ーいつの間にか、僕も地元の人?

「監督はこの街を愛してくれている。だから、わしらの思いに共鳴して映画を撮ってくれた。お金のためではない!」

と思ったらしい。なのにギャラを請求された。

「失望したよ。金のためだったのか? 裏切られたよ!!」

と言われたこともある。映画を撮るのはまずロケ地を好きになるところからスタートするのが僕のやり方。愛がなければその街は輝かない。そんな思いでやる。愛はある。そしてギャラをもらっても赤字になるだけの出費もしている。

そして何より金のためだけなら地方映画は撮らない。あるいは最小限の努力でやる。それは嫌だ。「毎回、最高のものを作ろう!」と思う。でも、終わると借金だけが残る。その支払いでギャラが消えることも多い。なのに「ギャラ取るんですか?」と怒られる。先輩はいう。

「それはお前にも問題ある。そこまで入れ込んで仕事するからだよ。嫌々、仕方なしにやっているポーズを取らないと、付け込まれるんだよ。仕事なんだから、ある程度手抜きしなきゃな」

それができない。全力で倒れるまでやる。因果な性格。そして最終的に「裏切られた。金のためか?」と言われる。いや、その人も悪い人ではない。故郷を深く愛する人。それゆえ

「監督はあそこまで頑張るのは、ワシらと同じ故郷愛があるんだ」

と思い込んだ。純粋な人。でも、映画業界を知らない。大人1人が1年もかかって映画撮って、生活できるのか? 家賃どーすんだ?とは考えないで「裏切れれた!」と言ってしまう...。最近ではそんなことはなくなったが、先にもあげたように映画製作は分かりづらいのだ。

僕の映画は毎回、企業でやれば1億円近い製作費になるものを半額以下で作る。俳優陣のギャラだけでも凄い額になるだけのメンバーが毎回出てくれる。スタッフも第1線で活躍するできる人たち。そんな方々に通常以下の額で参加してもらう。いつも本当に申し訳ないと思う。僕が思い描く作品はまともに撮ると、やはり1億かかる。

それを俳優とスタッフの力で、そして地元の協力で半分以下、3分の1の金額で作り上げる。これも先輩に言われた。

「もらった額から手数料を抜いて、そこそこの作品を撮るのが普通なんだ。でないと相手が勘違いしてしまう。この程度の額で、あれだけの作品ができるんだなって一般の人は思ってしまう。次からも同じ額で同じ規模のものを求められる。さらに額が下げて同じものを作れとも言われる。いいことないぞ!」

そうかもしれない。多くの製作会社は製作費の多くを「手数料」という名目で抜き、半分以下の額で映画を作っている。儲けを出すためだ。会社を維持するためには、ある程度必要なこと。だが、僕は「手数料」は一切取らない。全額、映画に使い、自腹もかなり切る。そして7人分働く。ギャラは1.5人分くらい。まさにブラック企業。でも、そうしないと素晴らしい作品はできない。

「あの額で、よくあれだけの作品を作ったなあ〜」

と言われても嬉しくない。そして「カメラを止めるな」のような超低予算映画の大ヒットは1万回に1度起こるかどうかの奇跡。だから、ある程度の額で、監督が3倍、4倍働けば、脚本も、編集も、宣伝を兼ねれば経済的。誰かに言われたわけでなく、自ら進んでやるので、今流行りの「自己責任」。過労死しても文句は言わない。それで素敵な作品ができればいいと考える。

ただ、申し訳ないのはスタッフの皆さん。毎回、本当に安いギャラで毎回、全力で頑張ってくれている。「監督はいいものを作る。だから、安くても参加したい」ーそう思って頑張ってくれる。だから、いつか、それなりの製作費で、通常の額を払える仕事をしたい。それが目標だ。今回のドキュメンタリーの製作費もかなり厳しい額だが、某テレビ局に負けない作品にしたい。


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