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映画の宣伝は大変じゃあ〜という話。 [映画業界物語]

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日本人は情報の海の中で生きている。情報のほとんどは宣伝。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ネットと多くのメディが朝から晩まで発信している。テレビを付ければコマーシャル。雑誌を開けば広告。当然、宣伝に関して人は詳しくなると思うのだが、そうではないことが多い。

地方映画が完成したとき、多くの市民が「わーい、完成だー。あとは映画館で見るだけ〜」と日常に帰ってしまうことが多い話は以前にした。なぜか?自分たちの作った映画を宣伝するという発想が抜け落ちてしまう。聞くと「誰かが宣伝してくれるんじゃない?」「映画館が宣伝するんでしょう?」「テレビが紹介してくれるよ」と言われる。

宣伝の洪水に生きていることでの弊害なのだ。広告というのは全てお金を払ってやってもらうものであり、テレビやラジオが好意で宣伝しているわけではない。広告料を払わないで宣伝してくれるのは発信側。テレビや新聞にメリットがある場合なのだ。まして映画館が宣伝をしてくれない。もちろん、ポスターを貼ったり、チラシは置いてくれるが、テレビスポットや雑誌、ネットの広告は全て配給会社がお金を使って宣伝をお願いする。

でも、世に宣伝が溢れているので当然、自分たちが作った映画も誰かが宣伝、告知してくれると勘違いしてしまうのだ。だから、僕が担当した映画はスタート時から地元の方に理解してもらい、完成がゴールではなく、そこがスタートという話をさせてもらう。なので今回も街のみなさんも、凄く頑張ってくれている。

映画だけでなく商品というのは、どんなに素晴らしいものでも、知られなければ「ない」も同じ。つまらない作品でもテレビでバンバン宣伝すれば知名度は上がり、映画館に客が集まる。が、宣伝は本当に金がかかる。だから低予算作品はネットを利用する。Facebookやツイッターで告知。これは無料だ。けれど手間がかかる。1回発信すればいいというものではなく、何度も何度も発信しないと伝わらない。あるとき、応援してくれている方から「監督。『野火』のように1日1回ツイートしろとは言わないけど、3日に1度発信しないと客なんて来ないわよ」と言われた。

実は1日10回はツイートしていた。毎日、朝昼晩と発信。それでも、僕を応援してくれている人でさえ、それらのツイートを目にしていないということなのだ。公開の何ヶ月も前から発信。1ヶ月前からは毎日。ただ、ツイートを見て映画館に来てくれる人は少ない。それでもやらないより、やった方がいい。テレビで毎日宣伝すれば多くの人に伝わる。でも、莫大な宣伝費がいる。ツイッターはただだが、毎日発信しても、なかなか広がらない。それでもタダ!これは使わないと!

舞台挨拶の前は1ヶ月ほど、余裕さえあればツイート。電車の中。風呂の中。トイレで。待ち合わせの間。飯食いながら。人と会わないときは常にツイート。「ネット依存症だねー」と言われたこともあるが、依存ではない。宣伝。仕事なのだ。しかし、この1ヶ月。メイキング編集で膨大な時間が取られ、宣伝の時間も奪われている。下手な宣伝会社より僕のフォロワーの方が多い。会社が10回発信するより、僕が1回ツイートした方が多くに伝わる。なら、僕が100回発信すればもっと伝わる。

でも、その時間がなかなか取れない。そもそも、監督がいくら宣伝しても業界的にノーギャラ。俳優も同じ。だから、宣伝期間中は別の仕事をして生活を立てねばならないのに、僕はいつも全力でやってしまうので、いつも終わると借金の山となるのだ。だが、やはり、いちばん大事なのはみんなで作った映画を見てもらうこと。映画製作と宣伝のときは、全てを犠牲にしてもそれをやらねば、ここまでの苦労が全て水の泡。だから、踏ん張らねばならない。

そんなときにトラブルや事件が起きるのはさらに辛い。今回のメイキングはかつてない無念さを痛感した。が、本日中に仕上げる。明日からはLA行きの準備だ。


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