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「明日にかける橋」はいかにしてスタートしたか?ーもう一度、語ろう。それは3人の主婦の熱い思いから始まった! [4月ー2018]

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「私たちの街で映画を作りたいんです!」

と連絡をくれたのは静岡県西部に住む主婦3人だった。話はこうだ。

「以前に市長さんが自分たちの街をもっとアピールしよう! それぞれで出来ることを考えてほしいと言ったんです。確かに私たちの街の知名度は高くありません。その魅力を知る他県の人は少ない。何かできないか? でも、私たち主婦に何ができるのか? そう考えていて映画を作れないかな?と考えたんです」

鋭い発想だった。実はこの10年ほど。町興しのために映画を作る自治体が増えている。最初は映画撮影の誘致だったが、有名な観光地でないとなかなか映画会社は来てくれない。その街で製作費を工面し映画を制作するケースが増えている。ただ、その多くは地元の大企業。或は自治体が中心となり行なっている。それを3人の主婦が思いつき、連絡をくれたのである。だが、多くの人はこう思うだろう。

「たった3人の主婦で映画なんて作れる訳ないだろ? 膨大な金がかかるんだ。やはり、大企業や自治体が動かないと無理だよ」

そんな彼女たちは映画制作のノウハウを、イチから勉強して進めて行きたいという。その情熱に打たれた。僕はすでに静岡県で3本の映画を作っている。その種の地方映画は得意。どこまで出来るか?分からないが、まずは説明会からスタートした。

一番強くお伝えしたこと。市民映画は往々にして自己満足。つまり、「わが町は素晴らしい!」という物語になってしまいがちということ。それではPR映画。「こんな素晴らしいお寺があります。こんな美しい海岸があります」と、物語そっちのけで街の観光案内ばかりしてしまう。そんな作品は都会のアンテナショップで見せるべきで、全国の映画館で上映してくれない。有名なプロの俳優が出演し、感動的な物語を作ってこそ、多くの人が映画館に足を運んでくれる。スクリーンに映し出された街に行ってみたいと思うのだ。それでこそ大きなPRになる。何億円分もの宣伝に匹敵する効果が上がるのだ。

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3人の主婦の皆さんはそれを理解、猛勉強。プロジェクトがスタートする。まず、仲間集め、そして寄付集め。映画製作は膨大な費用が必要。だが、主婦パワーは凄かった。最初に参加したのはお坊さん。その後も主婦の方々を中心にどんどん増えて行った。やがて自治体や地元の団体も応援を始める。素晴らしかった。この種の行動。多くの街では「主婦なんかに映画が出来る訳がない」とバカにして、大きな組織は高みの見物をしがち。なのに、多くが応援を始めた。最初が商工会議所、そして市役所、お寺、大学、商店、企業と、その輪はどんどん大きくなっていった。

だが、次なる問題。本来、企業で映画作れば億単位の制作費が必要。その多くはスタッフ&キャストのギャラとなる。寄付で集めた製作費で、それなりの人材が集るか?が心配だった。だが、市民の熱い思いに感動。破格の額で多くの一流スタッフが参加を決めてくれた。そして、有名俳優たちの出演も決まる。鈴木杏、田中美里、藤田朋子、宝田明と、多くの有名俳優が出演。街の人々の熱意を理解してのことだった。こうして、大企業がやれば億単位のプロジェクトが市民レベルで進み始めたのだ。

もうひとつ心配があった。映画の完成後だ。街をPRするために映画を作りながら、1度地元で上映すると「終わった。終わった!」と関係者が日常に戻ってしまう街が本当に多い。意味がない。全国で見せてこそ映画を作った意味があるのだ。だが、そこも主婦の軍団は抜かりがなかった。「東京での映画館先行公開。全国公開。そしてDVDを出して、テレビで放送されてこそ作った意味がある」と、今は全国公開の宣伝準備中と聞き、感激した。

多くの街で地元映画は作られているが、こんな大きな展開は他に例を見ない。その理由を考えてみた。3人の主婦の熱い思いからスタートしたこと。彼女たちは自分たちの利害ではなく、大好きな故郷のために何かしたいという純粋な思いから行動したこと。多くの市民が共感。多くの団体もそれを理解したことが成功の理由だろう。

そんな思いを持つ人たちだから、そんな人たちが住む街だからこそ「明日にかける橋」は完成することができた。そして、全国の映画館で、その街の魅力を伝えることになる。全国的にも類を見ない偉業はそんな3人の主婦からスタートのである。



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