明日にかける橋ー地方映画が陥る問題を超え、東京公開は射程距離に! [地方映画の力!]
近年、地方映画は数多く作られている。
市や県が予算を出したり、市民が寄付を集めて町をアピールするために映画を作る。そうやって地元の魅力を全国に紹介。観光誘致する。ただ、何度も書いたがそのほとんどが失敗している。
完成したものは映画ではなく、長めの地元紹介映像になっているからだ。映画は物語がありドキドキハラハラして笑ったり泣いたりする内容だからこそ、人は映画館に行く。なのに物語はおまけのようなもので、ほとんどが地元の観光地や歴史紹介ばかり。そんな映画を人は観たいとは思わない。
地元の人たちはそこを勘違い。
映画の中で地元を宣伝することがPRだと考えてしまう。それは映画ではなくPR映画。アンテナショップで上映すべきもの。それを映画館で入場料を取って見せようというのだから、映画館側も上映を断る。地元の人たちが劇場側に頼み込み、お金を払いレイトショーされることもあるが、観に来るのは地元関係者ばかり。結果、地元PRにはならない。
「我が故郷は素晴らしい」
「***が名産品だ」と映画の中で地元愛を歌うほどに、他県の観客。特に東京の人たちは冷めてしまい、映画を観てくれない。分かりやすくいうと、テレビドラマを観るのはドラマを観るのだ。間に入るコマーシャルを観るためではない。それを地方映画の多くはドラマを少しにして、コマーシャルを長くして「みなさん。観てください!」といっているのである。それでは多くの人が観てくれないのは当然。
そんなことが多い中、今回の「明日にかける橋」は陥りがちな問題を乗り越えて、東京公開が決まりそうだ。昨年末の完成披露試写会でもロケ地以外の人たちが多く訪れ「感動した」「泣けた」「ドキドキした」とかなり評価が高い。「どーせ、地元のPR映画だろ?」と思っていた近隣のある方も「全然違って、凄くよかった」と評価してくれた。
通常の商業映画と同じで、
物語を楽しむことができる作品だかこそ、東京の映画館も上映することを同意してくれた。ここまで来れたのはやはり、地元実行委員会の方々が映画作りをイチから勉強。「PR映画にしてはいけない」「観光地や歴史の紹介。地元名産物のアピールを映画の中ですることが実はマイナス!」と感じて、製作サイドにそれを押し付けず、本来の映画のあり方を理解してくれたことが大きい。
今回はそれを超えて商業映画と肩を並べて戦える作品となっている。さて、地方映画が犯す第二の失敗。それがこれからの課題だ。いかに宣伝して映画の存在をアピールするか?だ。多くの地元関係者は映画が完成すると「終わった!終わった!」と何もしなくなり、観客になってしまう。だが、本当の戦いはこれから。映画を他県の人たちに観てもらってこそ、地元アピールになるのに、日常に戻ってしまう。
多くが無意識に映画館が上映して、宣伝してくれるだろうと考えるのだ。しかし、映画館は上映するだけ。宣伝はしない。配給会社が宣伝をするが、通常の商業映画は宣伝に数千万から1億単位をかける。地方映画にそんな予算はない。では、どうするか?それが大きな壁となる。次回はその辺の方法論も紹介して行きたい。
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