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明日にかける橋ー編集日記 映画の上映時間。短い方がいい? [「明日」編集]

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映画の上映時間。一番多いのは1時間40分から50分くらい。ただ、その時間だとどうしても定番内容になりがち。事件が起きて警察が出てくる。捜査して犯人を捕まえる。あるいはふとしたけっかけで男女が出会い恋に落ちる。そして2人は別れる的な定番。

重量感ある映画は2時間を超える。大作になると3時間というのもある。「ゴッドファーザーPARTⅡ」はほぼ3時間だし、「ベンハー」は4時間近い。「アラビアのロレンス」も「ライアンの娘」も「地獄の目示録」「エイリアン2」「アバター」そして多くの黒澤作品は2時間超えだ。

テレビドラマは1時間。厳密には45分くらいなのだが、だから。お手軽な題材、予定調和な展開が多くなる。やはり、それなりのものを描こうとすると、時間はかかる。

しかし、2時間を超えると映画館が嫌がる。1日に上映する回数が減るからだ。朝10時からスタート。最終回を7時とすると9時間。休憩時間もあるので、上映時間1時間30分なら最高5回かけられる。が、3時間ものなら2回だ。入場料はどちらも同じ。となると、1時間半の方が儲かる。だから、映画館は2時間以内を喜ぶ。

テレビでも映画劇場枠は2時間。実質1時間40分くらいなので、長い映画はカットするか? 特別枠が必要なので、やはり2時間弱が喜ばれる。DVD化も似たようなところがある。

しかし、映画というのは物語が大事。数年前にベストセラーの長編小説を2時間にまとめた映画があったが、省略しまくって、ただ、あらすじを紹介するだけの作品になっていた。何のために映画化したのか? 題材によって描く時間は変わってくる。「風と共に去りぬ」だって3時間を超えるが、あれを2時間でやったらアウト。

「3時間だから長い」「2時間だから丁度いい」ということもない。1時間半でも凄く退屈な映画はあるし、3時間でもあっという間という作品もある。「七人の侍」を2時間に短縮しても意味はない。あの上映時間が必要なのだ。なので、僕のこれまでの作品も上映時間に縛られることなく、作ってきた。

「青い青い空」は2時間10分。「向日葵の丘」は2時間20分もある。しかし「長くて退屈した〜」という声はほとんど聞かない。強気でいえば「長い」という人は、そもそも趣味でないとか、波長が合わないということ。無理やり2時間にしたからと、その人たちは「よかった!」とは言わない。問題は上映時間ではなく、内容なのだ。

ただ、長くしたくて2時間を超えるものを作ったのではダメ。「朝日のあたる家」は仮編集で2時間半あったのを徹底して詰めて2時間にした。「向日葵」は3時間あったが、2時間20分に。だから、密度が濃い。カットしたエピソードもある。軽めの題材を引き延ばして1時間半の映画を作るのとは、方法論が違う。普通に作れば、どれも3時間近い内容なのだ。

そして、濃縮することが大事。ボクサーが減量することでパンチ力が増すように作品も絞り込むと面白さが高まる。絞りすぎると先のベストセラーと同じであらすじ紹介映画になってしまうので注意。そんな思いで現在、2時間を目指して詰め編集をしている。目的は短くすることではない。無駄をなくし、絞り込むこと。クオリティを高めることだ。本日の作業をスタートする。



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