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明日にかける橋ー 出てもらえなかった俳優たちのことを思うと胸が痛む。 [キャスト]

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今年前半、ワークショップを3回ほど開いた。予想を超える多くの俳優が参加してくれた。目的は若手の育成。そして実力派との出会いだ。何度も書いたがオーディションは5人くらいと同時に面談。15−20分くらいしか時間がない。その中で選ばなければならないのは本当に厳しい。

そこで日頃からワークショップを行い、秘めたる力がある俳優たちと出会っておくことで、映画がスタートしたときに慌ててオーディションで探さなくても済む、という目的もあった。特に今回は間近に迫っていた「明日にかける橋」に出てもらえる人たちを探すというのがある。

だが、これも何度も書いたがロケは静岡県。俳優を雇うとギャラの他にも、交通費、食費、宿泊費という費用が必要になる。それだけ払っても来てほしい!という実力。そして演じてもらう役があれば依頼する。ところが、どんなに実力があっても役が合わなければ起用することはできない。

おまけに今回は地元に実力ある市民俳優が多くいた。太田組作品常連市民俳優までいる。僕の映画を理解してくれている上に、結構演技力がある。加えて地元なので、交通費もいらず、自ら現場に来てくれる。そして皆、ボランティア。つまり、ワークショップに参加した俳優たちのライバルとなる。

プロはギャラを払った上で交通費(新幹線なら往復で2万)を払ってでも呼びたいだけの実力が必要なのだ。大きな役は有名俳優がライバル。それ以外は市民俳優が強敵。だから、過酷な戦いとなった。

例えば、近所のオヤジという小さな役があるとする。「大豪寺さん。お久しぶりだな」という台詞がある。エキストラだと大変。通常、台詞がある役はプロを起用する。が、今回は市民俳優がいる。経済的に演技的に考えて、その役に東京からプロを呼ぶ必要がなくなるのだ。

また、物語として若い女性の役が少ない。これは僕のシナリオに関わらず、現代を反映するとそうなってしまう。例えば女子校が舞台の物語としても、必要なのは10代の女性。20代、30代、は必要ない。40代になると母親役となり1人2人しかいらない。つまり、実力があっても20代以上の女優はチャンスが少ない。会社が舞台になると、数人のOL役があるだけ。あとは男性ばかりだ。

そんなふうに役、キャラ、必要とされる人数等もあり、実力があるだけでは出演に結びつかない。また、WSの参加者は皆、それなりのプロ。その難関を乗り越えて選ばれても、他の仕事とかち合い、諦めねばならないこともある。本当に俳優というのは大変な仕事。実力があった上に、チャンス、出会い、運が必要。

よく聞くのは「WSに参加すると、映画に出られる」と安易に考えて来る俳優が多いとの話。WS主催者にもそれを売りにして参加者集めをすることがあるらしい。それはおかしい。いろんな監督がいる。彼らと接することで、自分が持つ、気付かない側面を見つけることがWSの意味。そして参加=出演に繋がるのは安易。そこで実力を見せてこそ、監督たちの心に残り依頼に繋がるのだ。

が、今回はそんな俳優は1人もいなかった(はず)。みな、真剣だった。何かのときに「あーあのときの彼!」と思い出し、仕事をする展開もあるはず。ただ、本当に力ある人たちがたくさんいただけに、何かの役で出てほしかった....という悔いは残る。経費、役、市民俳優という多くの壁を超えるのは難しく断念した俳優が何人もいる。そんな思いを胸に、いつか現場であえることを楽しみにして編集を続ける。


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