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明日にかける橋ー編集日記(7日目) キャスティング、辛い思いもある。 [「明日」編集]

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撮影された映像を編集機で見ながら、俳優たちの奮闘を嬉しく思う。と同時にキャスティングできなかった俳優たちのことも思い出す。これまでの太田組作品に出演してくれた俳優さんたち。続けて出ていたのに、今回は出ていないという人もいる。といって、前回の演技がよくなくて選ばなかった訳ではない。キャスティングは演技力だけでなく、キャラというのもあるからだ。

シナリオに出て来るキャラクター。それらに相応しい俳優を選ぶ。刑事役なら一目見て「刑事!」という人が基本。もちろん裏をかいて「この人が刑事?」という配役もある。でも、明らかに違うだろう?というキャスティングはダメ。30代女性に女子高生役はお願いできないし、50代男性に子役はお願いできない。そうして考えて行くと、演技力も個性もあり、僕が大好きな役者さんでも出てもらえないことがある。

知名度もありベテランの何人か......何度か出てもらった方々。何かの形で出演してほしかったのだが、今回はどうしても役がなく断念。別の理由で出てもらえなかった人もいる。その俳優さんは非情に個性的。出てもらえれば、その場面が盛り上がる。それでシナリオ段階から次はどんな役で出てもらおうか?と考える。

が、何本も続けて出てもらうと、アイディアがなくなる。どんな役でもいい訳ではない。その人の個性が発揮される役。それが尽きて来る。前と似たような役でお願いするのは嫌だ。そんな場合はしばしお休み頂く。いい加減な役で依頼はできない。

しかし、その俳優は「監督に見放された。。。」と思うかもしれない。そんなことを想像すると心が痛む。その説明を事務所に連絡する訳にも行かない。毎回、本領発揮でいい芝居をしてくれる人だけに辛い。

一番大変なのは30代女性。映画やドラマで一番需要が少ない年代なのだ。10代なら女子高生役。40代ならお母さん役。でも、30代というのはどちらも出来ない。OLさんか、近所のお姉さんか?役がなかなかない。

80年代に大ブレイクしたあの有名女優さんでも、30代は仕事がなく大変だったと聞く。10年以上そんな状態。それが40代になり母親役ができるようになり、今はまた見かける。そんな有名女優でも大変なので、知名度のない人はなお大変なのだ。

若い人たちも同じ。僕の知る若手は結構、実力がある。役さえあればお願いしたい。ただ、無理に役は作れない。「可哀想だから、エキストラででも出して上げなよ」とよく言われるが、地方ロケなので、交通費や宿泊費が必要。それを製作費から出す余裕はない。結局、現場を見学することさえ出来ない。彼らのやる気を痛感しているだけに何かで応援したいのだが、何もできない...。本当に心苦しい。

今、編集中の映像に出て来る若手たち。実力があるだけでなく、幸運でもあるのだ。といって次もお願いできるとは限らない。本当に俳優業は過酷。そんなことも編集をしていて考えてしまう...。


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