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明日にかける橋ー撮影日記  撮休⑤ 町の四季を撮影するむずかしさ? [「明日」撮影]

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この日は撮影休日。でも、休むこともできない。カメラマンと共に町の風景を撮影せねばならない。映画は俳優が出る場面ばかりでなく、風景カットも大事。どんな町かという説明のために映像ばかりでなく、季節の移り変わり、時代、ときには風景が登場人物の気持ちを代弁することもある。

建物だけでなく空や草。雲や地面さえも意味を持つ。ドラマ「北の国から」を見ると、単なる雪景色だけでなく、雪から顔を出すキツネ。ラベンダーの花。草原。大きな雲と北海道ー富良野の美しい自然や動物まで映し出している。

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あれらがなければ「北の国から」というドラマの魅力はかなり失われるだろう。映画「砂の器」でも親子が彷徨う四季の風景が美しい。あれがないと単なるミステリー映画になってしまったかもしれない。あの風景が文芸作品に押し上げている。

今回の撮影移動中、板尾創路さんとそんな話をした。彼もついこの間まで「火花」という映画を監督していたのだ。俳優が本業だが、すでに3本の映画を監督している。そのときに風景撮影の重要さを感じるという。まさに「砂の器」を例に上げてくれたので、話が盛り上がった。

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「でも、風景。四季を撮るとお金がかかるんですよね〜」という。まさにその通り。だから、メジャー映画でも春夏秋冬の風景が入るものは本当に少ない。だが、近年の太田組作品はすべて四季の場面がある。板尾さんからも「どうやってるんですかあ?」と聞かれた。

通常、メジャー映画で四季を撮影するとなると、そのロケ地に監督、カメラマン、助手、プロデュサー、助監督等最低でも5−6人。ヘタすると10人以上のチームで行く。となると交通費、宿泊費、食費、機材レンタル代、そして人件費。総額数百万になる。撮影終了後にそれだけの費用を用意することはかなりむずかしい。それでなくても撮影中に予算を超え赤字になることが多いのだ。

とても四季を全て撮影する予算なんてない。ところが、僕のやり方はコンパクト。四季を撮影するのは僕とカメラマンの2人。交通費も宿泊費も安く済む。その際のギャラを僕はもらわない。機材もカメラマンが安く借りて来てくれる。車でロケ地に行き2人で撮影。そうすることで極力安く撮影ができる。それを3回繰り返せば(あとの1回は本編撮影中に季節を撮れる)四季が全て撮影できるわけだ。

製作費がなくなり、自腹で四季撮影をしたこともある。が、個人で払える額。最悪、僕1人がカメラをレンタルしてロケ地に行き撮影すればいい。それだけの労力で地元の美しい四季を映画で見せることができるのだ。が、先にも書いたように企業映画ではそれはできない。

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多くのカメラマンは「助手がいないと撮影できない」とプライドを掲げる、ベテラン監督たちは演出部や製作部がいないと困る。「宿の手配を俺がするのか!」と怒り出すだろう。製作費の管理。支払いのためにプロデュサーも行かねばならない。

でも、その全ての雑用を僕がして、カメラマンが1人で撮影してくれれば四季撮影は可能。それだけで数百万円の節約。それが企業や映画会社ではできない。あ、ヤバい。これ書くと真似する奴がいるかも?とも思うが、大変なので、誰も真似しない。そんなふうにちょっとした努力で映画のレベルが2段階ほど上がるのだ。こうして地元の美しい四季を毎回、映画の中で紹介できるのである。

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