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自分らしさって何だろう? 自分しか作れない映画ってどんなだろう?(中編) [5月ー2017]

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けど、僕はSF&ファンタジー映画が好きで、そんなものを作りたいとずっと思っていた。恋愛ものや青春ものに興味はないし、とても書くことはできない。大きな壁が目の前に立ちふさがっていることを実感した。そんなとき、映画界で働く友人に言われる

「別のジャンルのものを描いてみろよ。SFは本当に理解されない。そんなものを書くより、低予算の深夜ドラマなんかで使ってもらえそうなものを描いてみろよ。ラブストーリーとか青春ものとか、需要が高いもので採用され、ブレイクしたらSFをやればいいだろう?」

 悔しいがそうかもしれない。ただ、恋愛ものは苦手だ。青春ものもなあ。そもそも、普通の青春をせずに30代になっている。サッカーも野球もやらない。描けるものがない。そう考えると、僕は10代から映画ばかり見ていたことを思い出す。自分が観た映画で気に入ったものを、模倣してシナリオを描いているだけだったのだ。そのことを痛感。アメリカ留学を決意。6年間を過ごした。そのときの体験をシナリオにしてみようと思った。


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 カルチャーギャップ。経験した怖い話。外国人との付き合い。アメリカ人との交流。アメリカの大学生活。そんなものを物語の中で紹介しながら、繰り広げられる物語を描いた。ら、これが評判よかった。今までに一度も僕の作品を評価しなかった業界の友人が褒めてくれた。

 「お前、もしかしたら青春ものが合ってんじゃないか?」

 な訳はない。一番嫌いなジャンルだ。10代から青春ものなんてほとんど見ていない。なのに、他の友人にも評判がよかった。そこからスタートして、今度は青春ミステリーを書いてみた。ミステリーは好きで学生時代からいろいろ読んでいた。これも評判がよかった。そこで少し矛先を変えてユーモア・ミステリーにも挑戦した。赤川次郎は特に好き!という訳ではないが、あのスタイルは面白い。松本清張は無理でもあれなら自分でも書けそうな気がした。

 そんな作品の1本が若手監督の目に止まり、脚本家デビューすることになる。「アンナ・マリーズ探偵団」という作品。Vシネマとなる。タイトルは変更になったが、僕のデビュー作だ。そのあとも、いきなり仕事が殺到ということはないので、依頼がなくてもあれこれ書き続けた。次はサイコ・ミステリー。これも評判がよかった。そこで描いたテーマ。その答えを探して青春ファンタジーのシナリオを書いた。

このジャンルは昔から大ファンだった大林宣彦監督が得意とするもの。学生時代はその分野の作品を8ミリ映画で何本も撮っていた。久々にそのジャンルに戻る。が、よくよく考えてみると、ファンタジーだが、それも青春もの。僕は以前から青春ものを書いていたのだ。


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 結果、それが「ストロベリーフィールズ」となり、僕の映画監督デビューとなった。もの凄く評判がよく、その後は青春映画ばかりを撮っている。ただ、よくある青春ものではなく、笑ってハラハラして、感動して泣ける。そういうと、よくあるタイプのように思えるが、気がついたら「自分らしい」作品を作っていた。

 題材はユニークだ。「書道」「原発事故」「8ミリ映画」となかなか扱わないものばかり。それでいてどれも泣ける。青春だけでなく家族物語にもなっている。観た人は「どれも太田監督の思いが溢れる、個性的な作品」と言ってくれるようになった。「どっかで観た事ある物語」と言われることはなくなった。

 では、僕の作品らしさ。自分らしさを作ったものは何だったんんだろう?

(つづく)


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