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映画の宣伝で大切なのはメインビジュアルを決めること。 [映画宣伝入門]

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「メイン何?」と思う人もいるだろう。メインビジュアルとは映画のイメージを伝えるイラストや写真のこと。少し古いが印象的な例を上げると「ジョーズ」の鮫がそれ、海からまっすぐ上に口を開けて巨大な鮫が上がって来るあのイラスト。あれが「ジョーズ」のメインビジュアル。

「ET」だと子供の指と宇宙人の指が合わさるあの絵。「ジュラシックパーク」なら芋版で押したような恐竜のシルエット。劇中の恐竜公園のトレードマークでもある。「バック・トウ・ザ・フューチャー」ならデロリアン(車)の扉を開けて出て来たマーティ(マイケル・J・フォックス)が時計を見つめているイラスト。

それらがメインビジュアルは映画のポスター、チラシ、前売り券、Tシャツ、パンフレット、グッズ、DVDパッケージ、CDとほぼ全てのものに使われる。なぜ、そんなことをするのか? いろんなイメージがあった方が多角的にアピールできるのではないか?と考える人もいるだろう。

だが、統一イメージというのはとても大切。というのは人はなかなか覚えてくれないからだ。名前でも、製品でも、形でも、時間とお金をかけ何度もアピールしなければ覚えてくれない。その話は以前にも記事にした。だからこそ、大企業は新商品を出すときに、例えばチョコレート。その名前と、パッケージを消費者に覚えてもらうために、商品の形。デザイン。色を決めて生産。膨大な額を使い広告を打つ。CM、新聞&雑誌広告、ネット、街角の看板。

もし、その際にチョコレートのパッケージをいくつも作ったらどうだろうか?真っ赤なパッケージ。真っ白なパッケージ。真っ黒のパッケージ。それぞれに宣伝したら? 当然、イメージがバラバラになり、赤で覚えた人が店で白のパッケージを見たら「これじゃない!」と買ってくれない。つまり、パッケージは統一しなければ効果が上がらないということ。

映画のメインビジュアルも同じ。「ジョーズ」なら鮫。街角にポスター。新聞&雑紙の広告。チラシと全て鮫! 例えば「ジョーズ」のTシャツを着ている人とすれ違う。「おー!ジョーズだ。映画観に行かないと!」と思い出してくれる。これがポスターは鮫。チラシは海の絵。Tシャツは船のイラストにしてしまうと、どうなるか? 街角でTシャツを着ている人がいても「ジョーズ」とは分からない。「鮫」で皆が認知しているからだ。

「ジョーズ」をなぜ例に上げたか?というと、この映画が大ヒットしたことで、統一のビジュアルイメージがいかに大切か?が映画界で浸透したから。どうしても関係者は作品の存在を熟知しているので、それをまだ知らない人の立場に立ちにくい。だから「鮫ばっかりじゃ詰まらないから船バージョンも作ろう!」とか「Tシャツは鮫より海の方がいいんじゃない?』とか言い出すことがある。しかし、メインビジュアルを統一してこそ効果が上がる。いろんなバージョンを作ると結局、覚えてもらえない。宣伝アピールにはならず、映画の存在をアピールできないのだ。

友人が監督した映画の主題歌。CDが発売されたとき。そのアーティストは映画のポスターとは違うパッケージにしたいと言い出した。それは大きな間違い。映画のポスターと同じビジュアルにするからこそ。映画館の売店に置いても「あ、あの映画のCDだ!」と思い買ってくれる。タイトルを読まなくてもビジュアルで伝わる。映画と関係ないビジュアルをパッケージにしたら、観客は気付かない。最終的にアーティストはそれを理解。パッケージを映画と同じものにした。売店に置くだけで売れた。最後は完売。それが統一イメージの力なのだ。

地方映画でよくあるのが、メインビジュアルに地元のいろんな観光地を使ってしまうこと。ポスターはお寺。チラシは公園。Tシャツは海。「町のいろんな面を伝えることができるから!」と思うのだが、それは逆効果。結局、どのイメージも浸透せず、海の絵が着いたTシャツを着ていても「あー海の絵ね?」と思われるだけ。宣伝効果はゼロになってしまう。

「ビジュアルが何か?」だけでなく、色、構図も統一イメージが大切。「ジョーズ」はブルー。ビジュアルとカラー。なかなか旨い。それが宣伝。なかなか難しいが効果を上げる。

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明日にかける橋ーポスプロ日記 チラシ裏のデザインで悩む! [映画宣伝入門]

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宣伝というのは本当にむずかしい。今回のような地域密着型映画の場合は特に大変。地元向けには「地元がロケ地であることをアピールすること」が大事。自分たちの町が舞台の映画ということで興味を持つ。「ブラックレイン」や「マンハント」が映画が面白いということだけでなく、日本が舞台だということでヒットした。同じ構図。ところが東京、さらに全国公開のときは「***市ロケ映画」ではダメ。何度も書くが、それでは観光地を紹介。故郷を自画自賛する映画と思われ敬遠されることが多い。

だのに地元の人たちは「ぜひ**市ロケと謳ってほしい」ということがある。「町が宣伝できる」というのだが、それは大きな間違いで、町の宣伝をするのは映画。その映画の宣伝で町を宣伝してはダメ。「北海道ロケ」「横浜ロケ」ならまだいいが、知名度のない町でロケした映画を見たい!と思う人はまずいない。宣伝する上でマイナスなのだが、その辺を勘違いして「***市ロケ。町の魅力を伝える映画」とか宣伝して惨敗する地方映画が多い。

本当に中身が地元のPRだけ。物語がおまけに着いているような映画では別の宣伝をしてもダメだが、ちゃんとした中身がある映画なら東京と全国の公開では「どんな物語で」「何が面白い映画であるか?」をアピールすれば観客を呼べる。「笑えるのか?」「感動できるのか?」「ハラハラできるのか?」そこに観客は興味を示すのだ。

その意味で「明日にかける橋」は「感動の物語」であり「タイムスリップして1989年に行く」という映画であることが売り。それをチラシやポスターでアピールすることが大事。キャッチの1つは「日本版バック・トウ・ザ・フューチャー」焼き直し物語ではないが、過去に行き、家族を救うという設定は同じなので、そういう言い方が映画ファンにも分かりやすい。

映画を見てもらえれば「バック」とはかなり違う、感動作であることが分かるが、同じ方向の映画であることをアピールするのが有効。さらに「明日」の特徴は1989年が舞台であること。昭和64年=平成元年だ。今年で平成が終わることを考えるととてもタイムリー。バブル全盛の時代。ジュリアナ東京で若い女性がお立ち台で踊った頃。その懐かしさも映画の魅力。

そこでチラシの裏はその2点で攻めようと、僕なりにデザインをしてみた。もちろん素人なので写真を切り取って貼るだけ。仕上げはデザイナーさんにやってもらうが、ベースになる。が、これがなかなかむずかしい。「バック」をイメージするとコメディ色が強くなり「明日」らしさがなくなってしまった。目は引くし、面白そうではあるが、別の映画になってしまう。

デザインは本当に難しい。その「1989年感」と「感動の物語」を大切にしつつ、デザイナーさんに直してもらう。

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【映画の宣伝ってどーやるの? *億円かけて告知するって本当?】前編 [映画宣伝入門]

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【映画の宣伝ってどーやるの? *億円かけて告知するって本当?】

「向日葵の丘」も宣伝で全国を飛び回ったが、行く先々でお話させてもらった方々からいつもながら驚く話を聞いた。これだけ映画やテレビ業界用語や裏話等が一般でも知られているのに「宣伝」というものが未だに理解されていない。多くの方がこういう。

「宣伝って映画館がやるんでしょう?」「テレビ局がCM流してくれるんだよね」「誰かがやってくれるんじゃない?」「映画館で上映すれば、マスコミが宣伝してくれるんだよ」

ぜーーーーーんぶ、ハズレ! 皆、知らないというより、「宣伝」について考えたことがないようだ。テレビを付ければ24時間CMが流れる。雑誌を開けば広告だらけ。だから、一般の方はそれが当たり前になっていて、宣伝というのは誰かがやってくれるもの.....で完結して、「では、誰が? どうやって?」とは考えないことが多い。

ある人に「じゃあ、誰が宣伝するの?」と聞いたが「「電通がやってくれるんじゃない?」といわれた。「じゃあ、電通って何をしてくれるの?」とさらに聞くと「さーよく知らないけど、宣伝してくれる会社だから、宣伝するんじゃないの?」と答えた。んーーーーーーーー、電通は広告代理店だ。宣伝会社ではない。やはり、宣伝について真剣に考えたことがないようだ。

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毎回、映画が公開されるとき、多くの人は「誰かが宣伝してくれるんじゃないの?」と思い「監督、がんばって下さーーい!」といわれることが多い。あんた関係者なんだから「がんばれ」ではなく、宣伝協力してよ!といいたくなる。が、「誰かが宣伝してくれるよね〜。楽しみー!」で公開を待つだけ。という方が多い。なぜか、そうなってしまう。ま、それだけ一般の方は宣伝というものを把握できていないということ。そこで今回は映画の宣伝について説明する。

例えば「スターウォーズ」だ「ターミネーター」だというようなハリウッド映画の場合は、10億円くらいかけた大宣伝が行われる。テレビでスポットをバンバン流し、大手新聞に一面広告を載せ、雑誌等にもカラーで広告を掲載する。

ハリウッドからキャストを呼び、イベント。それをマスコミに取材させ、さらに個別のインタビュー。それがテレビ番組、新聞、雑誌、ネット等で紹介される。街角には巨大な看板。垂れ幕。ポスター。こうして映画の存在を多くの人に伝える。これには莫大な宣伝費がかかる。億単位の費用が必要だ。が、それくらいにしないと、1本の映画を日本中に知らせるのは難しい。

では、日本の独立系の映画の場合はどうか? まず、テレビスポットは無理。これが一番高い。数千万円から億単位。新聞広告も駄目。数百万から1千万円。雑誌も数百万。この辺は全てアウト。看板も駄目。これも数百万。

結局、できるのは、チラシ、ポスターを作る。それを映画館に置いてもらい、アピール。ポスターを貼り、チラシを配る。でも、それでアピールするのは映画ファンだけ。一般の人に映画の存在を伝えることはほとんどできない。そこでお金がかからずに、宣伝する方法を使う。「パブリシティ」である。例えば、雑誌や新聞。ネットに、主演俳優がインタビューに答えると持ちかけ、記事を掲載してもらう。


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あるいは監督のインタビューをしてもらう。俳優は知名度がないと、取材をしてもらうことはむずかしいが、監督なら無名でも記事になりやすい。この辺も費用が全然かからない訳ではない。女優さんならメイクさんを付けて、取材前にメイクをする。そのメイクさんが1日何万というギャラを取る。ビジュアル誌であれば、写真が重要。写真スタジオをレンタルして撮影する。それにまた数万円!

あとできるのは舞台挨拶。マスコミが来て番組や新聞で報じてくれる。が、なかなか、来てくれず、お客さんだけが舞台挨拶を楽しむだけということも多い。また、その記事が出ても、それを見て「この映画見よう!」という人は少ない。こうして独立系の映画というのは、多くの人に存在を知られることなく、公開され、大した観客動員ができず。2週間で終わることが多い。

それに対して大手映画会社は、特に日本の企業映画はこの数年。さらにスゴイ手法で宣伝している。テレビ局ジャックともいえるもので、朝から深夜まで、その局の番組に出演者が出まくるという戦略。朝のワイドショーから、昼の情報番組。夜のバラエティ。深夜のお笑い番組。嫌が上にも目に留まる。よく「いい映画を作れば客は来る。中身が勝負だ!」という人がいるが、いい映画でも、駄目な映画でもまず、その存在を知られないと映画館に来てもらえない。

映画館に来て見てもらって始めて「いい映画」と「駄目な映画」に分別される。そして、毎回書くが「いい映画」でも、その評判が広がる頃には上映が終わっている。2週間でも口コミを広げるにはあまりにも短過ぎる。こうして、詰まらない映画でも大宣伝すれば、ヒットする。「あれ、テレビで宣伝しているから見たけど、ほんと詰まらなかった〜」と悪い評判が広がるまでに、多くの観客が映画館に行くのである。現在、ヒット中のあの日本映画もそのパターン。

しかし、最近はテレビで宣伝しても大ヒットするとは限らない。観客がダマされなくなって来たのだ。すると、高額の宣伝費をかけても映画がコケることがあり、宣伝費をかけない映画はますますヒットしないという状態になっている。そんな中、僕がいつも行っている地味な宣伝法があるのだけど、何だかここまででかなりな文章量になってしまった。それはまた次の機会に紹介させてもらう。とにかく、宣伝はむずかしい。

まとめると、数億円の宣伝費を使わないと映画の存在を多くの人に知らしめることはできない。といって、数億円使ったからと大ヒットはしない。が、何もしないと、本当に客は来ない。いい作品を作れば口コミでヒットするといわれるが、口コミが広がる前に上映が終わる。それが今の映画界の現状。その中でそうすればいいのか? 考えていきたい。(つづく)


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映画はこうやって宣伝する?!大作は1年前からスタート? [映画宣伝入門]

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映画の宣伝というのはいろんなものを使う。チラシ、ポスター、それらのデザインは新聞、雑誌広告としても掲載。或は予告篇ーそれらは映画館やCM、ネットで流される。その中で一番強力なのはやはり予告篇である。何といっても本編の映像が使われているので、印象が強い。「おーこれは観たい!」と思わせる。が、使い方によっては大変なことになる宣材でもある。

映画の宣伝は大作だと1年くらい前から始まる。そして公開3ヶ月前くらいから大々的に行なう。現在、上映中の「スターウォーズ 最後のジェダイ」も昨年の正月くらいから宣伝をスタート。公開前の秋くらいから本格的になった。というのも、1年前から大々的に宣伝すると、まずいことになるからだ。

例えば「SW」の予告篇を観る。レイが、ルークが活躍している。ライトセーバーを振り回す。ミレニアム・ファルコン号が飛ぶ。そんな映像を観ると「おーーー今回も面白そうだ!」と多くの人が思う。しかし、その予告篇を1月に観ても映画館公開は12月。「観たいーーー」という気持ちは12ヶ月も続かない。

おまけにその予告篇を映画館に行くたびに観ていると、次第に感動は減って行き、いつしかすでに映画を見た気にさえなってしまう。結果、映画館で上映される頃には興味はなく「え?」今頃上映しているの? という感じになってしまう。これでは宣伝どころか、映画を観る気をなくすキャンペーンである。

そうならないように、初期の予告篇にはあまり本編映像は出て来ない。その作品のイメージを伝える映像が流れるだけで12月に公開ということを伝えるだけの、俗に「特報」と呼ばれるものが流される。出演者は誰で、どんなジャンルの映画なのか?をテロップ等で紹介。そのあとに本編映像が入った予告篇が作られるが、これも見せ場は使わず、本編のそれなりの部分だけ。或は映像でやっと出演者が紹介される。

そんな風に公開に近づくほどに「おー」と思える場面が入って来たり「観たい!」と思える映像が入った予告篇になっていく。そして3ヶ月前になると最終版。「これは観なければ!」と思わせる予告篇になる。映画館で予告篇が流れるだけでなく、テレビやネットでも流され多くの人に目が触れる。そうやって映画館に来てもらうという戦略だ。

つまり、公開の1年も、半年も前から最終版の本格的な予告篇を流すと、公開までに映画を見た気になってしまうので、結果映画館には来てもらえない。少しずつ情報を出して行き、タイトルを覚えてもらい、映画の中身を知ってもらい、公開前に観客の気分が最高潮になり「早く観たいーー!」と思わせることが大事なのだ。繰り返し長期に渡り、宣伝することでより多くの人に関心を持ってもらうことも大事。

ただ、同じ宣伝を半年以上くり返していると「まだ、やってるのかー」と興味を失う人も出て来る。だから、毎月何か、新しいニュースを出すことも大事。予告篇でいえば、少しずつ見せ場が出て来る。宣伝でいえば上映映画館が決まる。映画祭出品が決まる。マスコミ試写会での評判が伝わる。そんなことで映画の噂を広げることも大切なのだ。

いずれにしもて映画宣伝はとても大変だし、むずかしい。けれど、そのことで多くの人が映画を観て感動する。劇場でヒットすれば日本各地の映画館に上映の輪が広がるし、海外上映も可能になる。DVD、ケーブル、衛星放送という展開も出て来る。その第1歩が最初の映画館公開。そこで惨敗すれば、その後の展開はなくなる。だから、最初の宣伝がとても大事なのだ。

明日にかける橋」特報③=>https://youtu.be/7t0YZDRhl64


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映画を応援する人たちがネガティブキャンペーン?どういうこと? [映画宣伝入門]

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いよいよ映画の公開が迫り、評判も盛り上りつつあるときに。映画を応援してくれる人たちがある種の情報を流すと、応援ではなくネガティブキャンペーンになってしまうことがある。例えばこうツイートする。

「***市の映画ーーぜひ、観てください!」

これを映画ファンが見たらどう思うか?

「あー、これは今流行りのリージョナルムービーだな? ***市が金を出して、町のPRに作った町おこし映画だ。そんなものを金出して、わざわざ見に行く必要はないよ」

実際、その手の映画は多く、ストーリーは平凡。それより観光地や地元産業の紹介に力が入り「わが町の魅力を伝えよう!」というのが主旨。***市の映画、***県の映画というと、その種のPR映画だと思われる。

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さらに「***市の映画!」と言われると、一般の人は「知らねえなあ。そんな町!」と興味をなくしてしまう。つまり、地元の方が応援のために「わが**市でオールロケされた映画!」とtweetしたことが逆効果になってしまうのだ。

同じ意味で「****社の映画ー」「***グループが応援する映画」という記事をFacebookに書いたりtweetする方もいる。毎回いくつかの会社やグループ。団体から支援、応援を頂いている。が、これも先と同じ。

その会社が飲料会社だとする。Aジュースなら、ライバルのBジュース社があるろう。B社社員やその製品の愛好者は「あれはAジュース社の映画。私たちには関係ない!」と思ってしまう。「どーせダメな映画だ」と敵対視されてもおかしくない。また、映画ファンからしても、先と同じで「Aジュース社の宣伝映画だな? 自社の製品を出してイメージアップしたんだろう」と考えてしまう。

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地元の方や支援する会社、団体の関係者は熱い思いがあるので、どーしても「わが町の映画!」「我が社の映画」といいたくなる。それによって身内では盛り上がるが、熱く応援するほどに、その町以外の市民、その会社以外の人から見ると「私たちに関係ない映画ね?」というふうに冷めて解釈される。

友人がある地方を舞台にした映画も同じ悲劇に見舞われた。その作品。地元は盛り上がったが「我が***市の映画!」と東京公開でも同じスタイルで宣伝。惨敗した。地元のPR映画と思われたのだ。宣伝や応援はネガティブキャンペーンにしかならず、一般の人が関心を失い、映画を避け、悲しい結果となった....。

全国的な「映画宣伝」で重要なのは「市」や「県」「会社」「団体」をアピールすることではない。映画自体の、物語の魅力を伝えることだ。観客は「物語」を観に映画館に来る。PRを観るために入場料は払わない。物語を観て感動すれれば、その町が好きになり。その映画を支援した会社のイメージはよくなる。

なので、応援するときは、いろいろ肩書きを付けないで、発信することが大事。それが協力してくれた町や会社や多くの人たちへの感謝にも繋がるのだ。


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【映画の宣伝ってどーやるの? 予算がない。時間がない。いや、できることはある!】後編 [映画宣伝入門]

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【映画の宣伝ってどーやるの? 予算がない。時間がない。いや、できることはある!】

ハリウッド映画や大手企業の日本映画が公開されるときは、何億もの宣伝を使い、テレビ、新聞、雑誌等に大量の広告を出し宣伝する。それに比べて、独立系の映画は宣伝に億単位の額をかけられないので、チラシとポスターを作り。あとはキャストや監督の取材をマスコミにお願いするしかない。

映画プロデュサーはよくこういう。「宣伝費がないんだから、何もできないんだよ〜」だが、それは違う。彼らがいう「何も」というのはテレビ、新聞では宣伝できないという意味。80年代ならそうかもしれないが、今の時代はネットがあり、様々ななアプローチができる。

近年のネットによる宣伝は、公式HPを作る。そこで映画の解説。ストーリー紹介。キャスト&スタッフ紹介。スチール写真。映画館情報等を載せる。予告編もそこで見れる。これはどんな映画も最近はやっている。ただ、HPというのは、その映画に興味を持った人しか見に来ない。テレビCMや新聞広告のように映画に興味ない人の目に触れることはない。

ネットによる宣伝はタダでできるが、そこが一番の弱点。とは言え、やらないよりはいい。最近はFacebookやブログで、宣伝部スタッフが情報発信を兼ねた日記を連載するパターンも多い。Facebookは何千人もの「友達」ができるメディアだし、ツイッターで情報発信もテレビに比べると厳しいが、数千から数万人に発信できる。それもタダ!にも関わらず、多くの配給会社はそれを活用していない。
或いは先と同じように「金がないから何もできない」というだけ。

金がなくても出来るのに、やろうとしない。それは面倒だから。毎日、ネットに情報を書き込むのは本当に大変だ。ネタもなくなるし、情報発信ばかりでは読んでくれない。配給会社は複数の映画の宣伝を担当するし、1人で何本もの映画を抱えている。ネット以外の仕事も山ほどあるので、結局手がまわらず。週1回の更新とか、ほんのときどき、新情報を発信するのみになりがち。

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それもFacebookやブログ。ツイッターを始めるのが映画公開の直前。これが「スターウォーズ」や「ターミネーター」シリーズなら、あっと言う間に「友達」やフォロアーが付くのだが、独立系の知名度のない作品だと、興味を持つのは本当に僅かな人。1000人もフォロアーや「友達」が付かないままに、上映が終了することも多い。おまけに、たまにしか更新しないから、余計に駄目。「*月**日から***市で公開」とか、情報だけ発信しても、よほど、その作品を見たい人しか読んでくれない。

そこで考えた。配給会社は何だかんだで忙しく、大手でも公式Facebookを作り、頻繁に情報発信しているところはほとんどない。そして、努力すればできるのに独立系は特にしない。以前、僕の映画もその種のブログを配給会社が準備したのだが、途中で更新がなくなり。アクセス数も僅かしかない。だったら、僕自身がやる! と、それ以降。ブログを始めた。公開が決まってからスタートしてもアクセス数は伸びない。そこで映画を企画した段階でスタート。撮影があり。完成して、公開が終わるまで続けた。あるときは4年近く連載を続けた。

アップできない日もあったが、ほぼ毎日。書くことはたくさんある。こちとら、映画監督業をする前にはライター業をやっていて、週刊誌や月刊誌の記事を書いていたこともある。文章はプロだ。製作過程や撮影日記を毎日、アップした。これが思った以上に好評。まず、スタート時は映画のタイトルも決まっていないので、「その映画を見たい!」というファンはいない。僕も有名監督ではないので、支持者もいない。にも関わらず、次第にアクセス数が伸びて来た。数ヶ月でアクセス数が数百になり。公開前には1000件を超え。公開中は5000件超え。公開が終わっても1000件を割らなかった。

最初、「誰が読んでいるのか?」と思った。友達や関係者は100人いない。「誰が??」と考えたのだが、コメントから分かって来た。映画ファンが読んでくれていたのだ。映画撮影の現場を記録したメイキングというのは、人気でDVD化されるときに特典となる。が、撮影以前の映画製作を綴った記事というのはなかなか読む機会がない。まして、監督自身が書いているのは「マルサの女」の伊丹十三監督くらいだろう。そこに多くの映画ファンが関心を持ち、毎日、読んでくれた。

その内にキャストが発表。その俳優のファンも読者になる。こうして、毎回、映画公開時には50000件アクセス。それを可能にしたのは、公開直前に始めるのではなく、企画段階、何年も前からブログをスタートするからだ。口コミというのは時間がかかる。数ヶ月でブログの人気は上がらない。でも、数年前に始めれば、それも可能。宣伝費がない映画でも、数千人にアピールできる。


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それに味をしめて、数年前からはFacebookも始めた。方法論は同じだ。まず、映画製作の経過を記事にする。それからブログでも好評だったのは、単に映画製作の裏側だけでなく、映画評、日常、思い出等も綴るのだ。映画監督というと、それなりの仕事だと思われがちなのに、結構生活が大変なことが分かるのも関心を惹いたようだ。それにプラスして、ここ数年は映画界の話。俳優の話。夢を追うこと。そして社会問題までエッセイのように綴った。

結果、映画には興味のない人まで「友達」申請をくれて、Facebookは「友達」と「フォロー」を合わせて3000人近くになった。ブログのときは1本の映画の公開が終わると終了するのだが、Facebookはそのまま次の映画のことを書いて行く。ブログだと新しいのを始めるとまたアクセス数は「0」からなのに、Facebookはすでに「友達」が数千人いるところからスタートなのは大きい。それにどちらにも同じ記事を載せるので面倒ではあるが、倍の労力はかからない。

ブログと合わせると、乱暴な計算で最盛期は8000人近くが記事を読んでくれる。もちろん、テレビCMを打てば10万人単位でアピールできるのだが、そのために数百万、数千万の費用がかかるが、ネットなら0円! なのに、多くの配給会社はそれを活用せず。形だけのHPや公式Facebookを作る。もちろん、人手が足りない。時間がない。ということはあるだろう。が、僕も映画製作をしながら、シナリオを書きながら、撮影をしながら、宣伝をしつつ、更新している。そして、配給会社からギャラももらっていない。

でも、多くの人の応援で完成した映画だ。1人でも多くの人に見てほしい。そして配給会社が手がまわらないというのなら、僕がやればいいのだし、読者も配給会社のスタッフ日記より、監督日記の方をおもしろがってくれるだろう。いいたいのは、考えれば方法はあるということ。「金がない」「予算がない」「人手が足りない」と言い訳しても一般に映画は伝わらない。企業映画がテレビでバンバン宣伝するのなら、独立系はできることをすべき。それをしないから、多くの映画が惨敗。2週間で上映が終わるのだ。

作品が駄目な場合もあるだろう。しかし、多くはその映画の存在を誰も知らないからだ。ただ、問題はある。それでなくても、監督業はやることがいっぱい。僕の場合はシナリオ、プロデュサー、編集、宣伝まで担当する。結果、オーバーワーク。医者から「過労死するから休め!」と言われる訳である....。(つづく)


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