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あなたが俳優を目指すなら絶対に見て欲しい!「ウエストサイド物語」(午前10時の映画祭) [映画感想]

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あなたが俳優を目指すなら絶対に見て欲しい!「ウエストサイド物語」(午前10時の映画祭)

この映画が劇場公開されるのは、もう15年振りだろうか? その前はさらに15年ほど。DVDではかなり前から見られるが、この映画だけはテレビ画面で見ても意味がない。映画館の大スクリーンで見るからこそ、あの迫力と感動が押し寄せる。

映画史上、屈指の名作。ミュージカルの金字塔。それが「ウエストサイド物語」だ。CG技術がどんなに進んでも、この映画の迫力、センスを超えることはできないだろう。「レ・ミゼラブル」「グレーテストマンショー」マイケルジャクソンの「ビートイット」(多分「BAD」も)原点はこの映画だ。フィルムメーカーたちは「ウエストサイド物語」を目指し、学んでそれらを監督している。

僕がこの映画を初めて観たのは高校時代。テレビ洋画劇場。「月曜ロードショー」だったかのお正月スペシャル。3時間ノーカット。吹き替え俳優も凄い。沢田研二、大竹しのぶ、安奈淳、国広富之。映画雑誌で何年もタイトルだけは知っていた。すごい名作だという。ビデオのなかった時代だ。

しかし、噂と違い、退屈極まりない物語。どこが名作?17歳の僕はそう感じた。その後、映画館で1980年にリバイバル。大画面で見ようと、川崎の映画館街で見たら、35ミリプリントの上下をカットしたシネスコサイズで上映されていた。(ほんとは70ミリプリント。当時の場末の映画館ではいい加減な上映が多かった)大画面で見ても感動はなく終わる。それが18歳。

その後、20代の終わり頃。アメリカ留学のバケーションで帰国した時に、渋谷パンティオンで70ミリ大画面で見た。ストーリーを知っている、すでに3回見ているのに大感動。打ちのめされた。凄かった。本当に名作だった。一緒に見た友人も言葉を失い。「凄かった....」としか互いに言えなかった。1990年代にも一度リバイバルがあり、若い俳優の卵を連れて銀座で見た。

そいつも打ちのめされて、言葉を失ったまま帰っていった。それ以来、劇場公開があると、若い連中には勧めている。あのセンス。あのスピード、あの感覚。全てが一流。表現者を目指すなら一流を見ることが大事。言っちゃ悪いが日本のアイドルのミュージカルなんて見ていたらダメ。この映画を観た上で観て欲しい。

そんな「ウエストサイド物語」下記の映画館で見ることができる。次はまた15年後かもしれない。DVDではダメ。若手俳優のあなたも、ミュージカルに興味ない君も、表現に携わる仕事をする人は絶対に見て欲しい。

2019/12/13(金)~2019/12/26(木) 午前10時から1回上映

札幌シネマフロンティア
MOVIE ON やまがた
T・ジョイ新潟万代
ユナイテッド・シネマ アシコタウンあしかが
シネプレックスつくば
TOHOシネマズ 市川コルトンプラザ
MOVIX三郷
ユナイテッド・シネマ ウニクス南古谷
TOHOシネマズ 日本橋
立川シネマシティ
イオンシネマ シアタス調布
TOHOシネマズ ららぽーと横浜
TOHOシネマズ 小田原
TOHOシネマズ 甲府
イオンシネマ金沢フォーラス
静岡東宝会館
ミッドランドスクエア シネマ
TOHOシネマズ 岐阜
イオンシネマ津
TOHOシネマズ 二条
TOHOシネマズ なんば
TOHOシネマズ くずはモール
TOHOシネマズ 岡南
広島バルト11
シネマサンシャイン大街道
福岡中洲大洋
TOHOシネマズ アミュプラザおおいた
TOHOシネマズ 長崎
天文館シネマパラダイス



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「カリオストロの城」を見て再発見したルパンの魅力=新作にはそれがないので詰まらないのか? [映画感想]

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「カリオストロの城」を見て再発見したルパンの魅力=新作にはそれがないので詰まらないのか?

現在、公開中の映画「ルパン3世」CGアニメ版。あまりに酷い理由を知るために同作品が目指したであろう「カリオストロの城」をBDで見直した。やはり、同じ設定、同じセリフを使っており、リスペクトがあることを感じる。が、なぜ、尊敬する作品には遠く及ばない退屈な作品になってしまったのか?詰まらない理由は昨日の記事で紹介した。今回は「カリオストロ」から新作が学べていない部分を考えてみる。

劇場公開以来、すでに20回以上も見ている作品だが、見だすと止まらなくなる。展開も結末も知っているのに目が離せなくなる。新作を見たばかりなので、この名作からいろんなものを取り入れていることも分かる。パクっているのではない、オマージュなのだが、決してそれらは生きていない。新作にない表現を上げていく。

努力するルパン。汗を流し、体を使い、走り、泳ぎ、飛ぶ。そんな姿に少し微笑み、観客は共感する。対して新作ではどんなトラップも、危機も難なく乗り越えてしまう。スーパーマン的なルパンがいる。驚きはあっても共感や微笑ましさは感じない。

また、ルパンと次元との関係性。観客は2人が仲のいい、長年の友達であることを知っている。そのせいか新作ではそこをあえて描いていない。友達らしい会話、友達らしい態度、時々冷たい態度を取っても、友達関係であるという展開。対して「カリオストロ」はあえて仲の良さを描いている。ジャンケン、スパゲティの取り合い、子供同士のように無邪気な2人が描かれる。

それらの描写によってルパンや次元に強い感情移入をしてしまう。「あいつらいい奴だな」という好感を持ってしまう。新作では「それは分かっているだろう?」というかのように描かれていない。次元だけではない。五右衛門、不二子、銭形も「カリオスロ」ではとても魅力的だ。クールな五右衛門も、いつも裏切る不二子も、敵であるはずの銭形でさえ「いい奴!」なのだ。

それをちょっとしたセリフ、ちょっとした態度で描いている。本筋とは関係ない部分だ。が、それが観客に強く伝わる。そして新作ではそれらがない。サイボーグが五右衛門や不二子を演じているだけのような味気なさ。間違った描写はないが、好きになれない。銭形の性格をコピーしたロボットのようなのだ。

そして新作ではない部分。ルパンの敗北。血を流し倒れるルパン。観客は応援せずにいられない。それも、どか食いして一晩で復活しようとする。健気なルパン。新作ではひたすら頭脳明晰で、運動能力が優れたスーパールパンが描かれる。他のメンバーもまるで超能力者。なので感情移入ができない。応援したくならない。放っておいても大丈夫という安心感。それが新作を退屈にした原因だろう。

それは何かと言うと、人間味だ。人間性だ。クリエーターはルパンのキャラは把握しているが、そこに特別ではない普通の人の、いや、ダメな奴らと共通する人間性を持ち込んでいない。人は優れたところに憧れるが、同時にダメな部分に共感する。それを新作のクリエーターは気づいていない。ルパンの魅力はスーパーヒーローというだけでない、人間的な部分にもあること。「カリオストロ」を見直して気づいた。



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映画版「ルパン三世」(CGアニメ)も「スターウォーズ」最終章と同じ。ファンが作ったルパンごっこ? [映画感想]

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映画版「ルパン三世」(CGアニメ)も「スターウォーズ」最終章と同じ。ファンが作ったルパンごっこ?

ファースト・シーズンは1971年。今も続く人気シリーズだが、作り手は代替わり。当時、テレビで見ていた層が作っている。明らかに「カリオストロの城」を目指している。それはいい。レティシアはクラリスであり。ラストシーンも敢えて同じ設定。

だが、中身は「カリオストロ」というより「レイダース」であり。それをルパンで焼き直した形。こちらも「スターウォーズ」と同様に机の上で、考え書いたストーリー。「ルパン」シリーズを熟知し、キャラも把握しているが、全て借り物であり、「007」や「インディジョーンズ」風物語を机の上で作り上げた感じ。

批判するのは簡単だ。ストーリー作りは本当に大変。同時に宮崎駿の偉大さも痛感する。「カリオストロ」は何度も見てもハラハラドキドキ、ルパンを応援せずにいられなくなる。が、この映画は何か他人事で、次元も、五右衛門も、不二子も、単なる知り合い感覚。どのキャラクターも愛しさを感じることが出来ない。

「スターウォーズ」もそうだったが、クリエーターは過去のシリーズは愛しているが、本当にルパンや次元への愛があるのだろうか? ルパン人形や次元人形を使い、ルパンごっこをしているだけに思える。それと「SW」もそうだが、クリエーターは若い頃から映画少年で、実体験が少ないのではないか?

恋したり、友達と喧嘩したり、泣いたり、笑ったりという映像以外での体験が少ないのではないか?だからナマ人間を描けないのではないか? 要はオタクなのではないか?とすら思える。一体何が違うのか?「カリオストロ」を再度見て(もう20回ほど見ているが)その答えを探してみたい。


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「明日にかける橋」に出て頂いた亜湖さん。 シナリオ協会協会の忘年会でバッタリ! [2019]

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「明日にかける橋」に出て頂いた亜湖さん。

シナリオ協会協会の忘年会でバッタリ!彼女は80年代に百恵ちゃんと姉妹役を演じ、超話題になった他、様々な伝説的映画に出演。当時の映画ファンならみんな知っているすごい方。僕も亜湖さんと会うと映画ファンに戻ってしまいます!




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「スターウォーズ」最終章。もう一つの弱点?=俳優陣の弱さ? [映画感想]

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「スターウォーズ」最終章。もう一つの弱点?=俳優陣の弱さ?

(ネタバレはないけど、観てから読んで欲しい)

ファンが机の上で作った物語。だから、感動しないと前回書いたが、もう一つ問題がある。俳優だ。新三部作のレギュラーメンバーが皆、個性が弱く、魅力的でない。とても一生懸命に芝居はしており、下手ではないが、伝わって来ない。レイも、フィンも、どういう人か?よく分からないし、「レイ、頑張れ!」と心から応援したくならない。

比べて旧三部作。ルークを演じるマークハミルはその後の経歴を見ても決して演技派ではなく、普通の兄ちゃん。でも、ルーク・スカイウォーカーなのだ。レイアのキャリフィッシャーも、普通の姉ちゃん。でも、愛すべきお転婆プリンセスだ。ハンソロこと、ハリソンフォードはこの頃から名優。さらに新人3人を包み込むのが大御所アレックギネス。さらに敵のモフターキン総督=ピーターカッシング。俳優が皆、個性的だった。

前三部作だって、ナタリーポートマン、ユアンアクレガー、クリストファーリー、サミュエルLジャクソンと多くが存在感があった(アナキンの青年パートの彼だけミスキャストと思えるが)。その2つの三部作に比べて、今回は本当に弱い。好きになれない。応援したくならない。これは何なのか? 芝居が下手というのではなく、俳優自身に魅力がないのだ。その背景にあるものは?

俳優はプライベートが幸せだとダメになる。特に女優はそうだが、彼氏ができる。結婚する。子供ができる。そちらに思いが行ってしまい芝居に力が入らない。そんな女優は多い。逆に離婚したばかりはいい。「元夫に思い知らせてやる!」と芝居を頑張るからだ。つまり、何かを抱えている俳優の苦しみや悲しみが芝居に出るので、観客の心を打つ。代表的なのはジェームズディーン。彼の演技は涙を誘うが、演技ではなく、本当に孤独で寂しかったのだ。

悲しみでなくても個人の人生が出る。先のハミルやフィッシャーだ。フォードは大工仕事で生活費を稼ぎ、オーディションを受けていた時代。その意味で新三部作のレギュラーは皆、真面目に勉強する若き俳優たちでしかなかったのではないか? でも、悪いのは彼らではない。彼らを選んだ監督だ。JJはVFXにはこだわるが人間を描くのはうまくない。人より映画に愛がある人。それでアニメキャラのような人間味のない俳優陣を選んだのかも?

だから、最終章でも、あの俳優が出てきた場面(秘密!)は急激にクオリティが高くなり、涙がこぼれた。あれが大物俳優の力なのだ。そんなことも感じる。やはり俳優の力は大きい。



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「スターウォーズ」最終章は、心が震えなかった。その理由を考える? [映画感想]

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「スターウォーズ」最終章は、心が震えなかった。その理由を考える?

(ネタバレはないけど、観てから読んで欲しい)

まだ、昨日が封切り日なので観ていない人たちが多。詳しい感想を書くことでネタバレになるのは避け、違った角度での感想を書かせてもらう。今回の新三部作にルーカスは関わっていない。会社ごと権利を買い取ったディズニーが制作する新作。作るのは「スターウォーズ」を観て育ったJJエイブラムら次世代スタッフである。

これはnetflixのオリジナルドラマ「ストレンジャーシングス」等と同じ構図。あちらはスピルバーグ、リドリースコット、ジョージAロメロらの作品を観て育ったクリエーターのドラマ。日本でもその手のものが最近は多い。どれも共通するものがある。愛する作品をファンであるスタッフが続きを作る。そのために過去の焼き直しが多くなり、オリジナリティが失われて行く。

悪い言い方をすれば「スターウォーズ」ゴッコ。子供達がライトセーバーのおもちゃを持ち、オリジナルの物語を作り遊ぶ。それに近いものになることが多い。また、ファン出身の監督たちはよく映画の勉強はよくしているが、オタクであることが多く、映画以外の体験が少ない。これは漫画家の本宮ひろ志さんも昔、指摘していた。

「俺たちは河原で木刀持って喧嘩するような子供時代を送っていて、それを漫画にした。が、今の世代はその俺たちが書いた漫画を見て、自分は何も体験せずに漫画を書いてしまう。それでは読者に伝わらない」

が、今の次世代は本当によく勉強をしており、技術も知っていて、結構、面白いドラマを見せてくれる。が、「ストレンジャー」も第3シーズンから息切れ。同様に「スターウォーズ」も次第にパワーが落ちてきた。映画、映画で過ごした青春時代。その知識を駆使して愛する作品の続編を作っても、オリジナルには遥かに敵わないこと。痛感する。

どんなにオリジナルを愛していても「風と共に去りぬ」のファンが続編を書いてもダメ。白土三平の「カムイ伝」の続編をファンが書いても無理なのだ。同じことが「スターウォーズ」に言える。別角度からいうと、今回の物語は机の上で書かれたもの。「驚きの真実」=(旧三部作でのベイダーとルークの関係を踏襲)「感動の結末」「新しいアクションシーン」「伏線の回収」ということをあれこれ机の上で考え、あるいはスタッフとディスカッション。

そんな形で作られたストーリーなのだ。非常にうまく出来ている。が、その種の物語は心に刺さらない。頭で作ったものは頭では理解するが、心に伝わらない。そこには「スターウォーズ」愛はあっても、社会経験の中で感じた痛みや喜びが込められていないように思える。

旧作にはルーカスの思いが込められていたが、新三部作にはそれがない。だから大きな感動が得られない。それをクリアしているのが、同じ次世代の若いスタッフが作る「ゲゲゲの鬼太郎」だ。また詳しく解説する。



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2019年は「ドキュメンタリー沖縄戦」で暮れていく?=だが、全国公開の許可、未だ来ない! [My Movies]

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2019年は「ドキュメンタリー沖縄戦」で暮れていく?=全国公開の許可、未だ来ない!

今年は年始から「ドキュメンタリー沖縄戦」の仕上げ。3月に完成。そして過労でダウン。数ヶ月寝込み。秋から宣伝。そして沖縄上映会。1本の映画を作るとはこういうこと。もちろん、3年がかりであり今年だけのことではない。

あとは3年ぶりにワークショップをした。それだけで1年が終わろうとしている。「スターウォーズ」の最終章も見てしまったし、あとは「寅さん」を見たら今年は終わりだ。が、来年の戦いはすでに始まっている。「ドキュメンタリー沖縄戦」を全国公開に持って行かねば。沖縄で上映しただけで終わりにしては意味がない。

全国へ。いや世界に発信してこそ、この映画の意味がある。配給会社も、映画館もぜひ、やりたい!とすでに手を挙げているところがある。なのにスポンサーがその許可を未だに出さない。沖縄県のデニー知事からも「ぜひ、全国で公開を!」との要請を頂いている。その連絡はすでに伝わっていると思えるが、スポンサーから「では!」という返事は来ていない。

前々から「映画館で全国公開する必要なし」との意向を聞いていたが、沖縄戦を伝える映画を作りながら、沖縄で2日間だけ上映して終わり=それに何の意味があるのか? 何のために作ったのか? 全国で、見られては困る理由でもあるのか? 全国公開がとても意味あること。何度も伝えている。

もう少し返事を待ってみるが、長くは待てない。何ヶ月も経ってしまうと映画館が上映してくれなくなる。映画は鮮度。できたらすぐに上映するのが業界のルール。今なら間に合う。交渉を続けたい。



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「スターウォーズ =スカイウォーカーの夜明け」初日1回目に観た! [映画感想]

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「スターウォーズ =スカイウォーカーの夜明け」初日1回目に観た!

詳しくは書けない。「えー!」と驚かせられる真実もある。泣けるシーンもある。

でも、期待してはいけない。期待しないで観ても、それなりでしかない。

その理由はまたいずれ。


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ハリウッド映画はなぜ面白いのか?!スケールだけでなく編集が凄い?下(終) [映画業界物語]

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ハリウッド映画はなぜ面白いのか?!スケールだけでなく編集が凄い?下(終)

それがデジタルの普及で映画撮影からフィルムというものが必要なくなる。まず現像費がいらない。過去のデータを消して使うこともできる。フィルムではできないこと。これで過去の日本式撮影から解放。

フィルム代を気にせずに、同じシーンをいろんな方向から通しで撮影。ハリウッド映画のような動きのある編集ができるようになる!と思ったのだが、僕が監督デビューした頃の老スタッフたちはこういった。

「お前は計算できないのか? なぜ、不必要な使わないカットまで撮影する!」

驚愕。本末転倒。そもそも日本映画は貧しいから必要なところしか撮らなかったのだ。それがデジタル全盛になり予算をかけずに、いろんな方向から撮影できる時代が来た。

なのに、貧しかった時代の強がり理論を今も振り回す。彼らは演出パートではないにも関わらず「お前の撮影の仕方は間違っている」「映画はそんな撮り方をしてはいけない!」と現場で説教された。

簡単にいうと鎌で稲刈りをしていた農家に電動稲刈り機が導入された。それを年寄りが「それは稲刈りではない。鎌でやるのが正当だ」というような感じ。古いしきたりに縛られ、新しい方法論を否定する。どこの業界でも同じだが、映画界にもそんなベテランが多かった。

が、10年が過ぎ。その手のベテラン・スタッフは現場から姿を消した。もう僕が一番年上でその上の世代はもういない。僕と同じハリウッド式撮影をする監督も今は多い。行貞勲、岩井俊二ら同世代の監督は早くからそんなスタイルで撮影している。まだまだ製作費の額ではハリウッドに敵わないが、昔の日本映画のような舞台中継のような平板な編集ではなく、動きのある自由な編集が日本映画でも多く用いられるようになった。

ただ、過去の撮影法なら撮ったフィルムを繋ぐだけで基本的に編集が終わるのに対して、ハリウッド式なら何ヶ月もかかる。また、過去の日本式なら誰が編集してもほぼ同じような編集になるが、今は編集する人によっていろんな編集ができる。

そこに個性がでる。センスがない人が作業すると、映画が死んでしまう。テンポやスピードも大事。その意味で編集作業は以前以上に大変な仕事となってしまった。毎回、それを痛感する。でも、編集の可能性が広がるのはいいことなのだ。

(了)



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ハリウッド映画はなぜ面白いのか?!スケールだけでなく編集が凄い?(中) [映画業界物語]

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ハリウッド映画はなぜ面白いのか?!スケールだけでなく編集が凄い?(中)

編集段階で「ここでアップがほしかったなあ〜」と思うことがある。或は「相手役の表情を見せたいけど、主人公しか撮ってない〜」ということもある。日本映画は最初にシナリオを読んで考えた必要なカットしか撮らないからだ。

ベテランたちは「それはお前の計算が甘かったからだ!」と批判するが、シナリオの上で考えたことと、編集室で冷静に素材を見つめ時では、別の面が見えて来るのだ。

そのためにも、いろんな角度で撮影しておくべき。ハリウッド映画はそんな撮影をしている。豊富な素材から編集するので、後で後悔することもなく、編集でテンポも生まれ、スピード感を出すことができて、おもしろく映画を見せることができる。

そのことは映画の世界で働き出す前から知っていた。が、日本映画界の実情も分かるので仕方ないことでもある。が、監督業を始めておかしな現実に出会う。日本映画は貧しいので、必要なカットしか撮らないのに、あるベテランはこういうのだ。

「ハリウッドはバカだから計算できない。だから不必要な使わないカットまで撮影して、編集のときに選ぶんだよ。非効率的だな」

そんなことをいう映画人が何人もいた。計算できるかどうか?ではなく、貧しくてフィルムをたくさん買えないから、無駄のない撮影法が定着しただけ。それでは貧しい人がその日の食事にもこと欠くのに「金持ちはバカだから、栄養を考えずに食べてデブになる。俺たちは考えて食べるから太らない」というようなもの。単なる強がりであり、論理のすり替えでしかない...。

(つづく)



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