「過去を振り返らず、前向きに生きること!」は間違っている!?② 前向きな友人が失敗続きの理由 [映画業界物語]
「過去を振り返らず、前向きに生きること!」は間違っている!?②
前向きな友人が失敗続きの理由(2014年の記事)
「終わったことをいつまでも言っても仕方ない。前へ進もう」
とよく言う友人。一見、前向きながんばり屋のように思える。でも、実際は彼が目指したこと、志したことは何も実現していない。なぜか? 20年ほどの付き合いで分かった。
彼は「終わったことを言っても仕方ない!」と考えて「なぜ、失敗したのか?」「どこに問題があったのか?」は考えず。次のことを始めてしまうのだ。そして似たような理由で失敗。また、次のことを始めるのだ。
「終わったことを言っても仕方ない!」
というと、サッパリとしていて男らしいと思えるかもしれないが、彼の場合は「反省しない」「原因を調査しない」「問題を分析しない」ということ。学生時代から友人たちを見ていると
「愚痴っても仕方ない」「後悔しても何も変らない」
という奴に限って、同じ失敗を繰り返し、結局、目標を達成していない。だから僕は失敗したら、こう考える。
「原因は何か?」「誰に責任があるのか?」「その人をなぜ起用したのか?」「問題は彼の実力のなさか? 責任感のなさか? それとも家庭の事情か?」「僕自身に責任はないか?」「人を見る目が自分になかったのではないか?」「では、あの場ではどうすればよかったのか?」
関係者の状況を再確認し、僕自身がどう判断し、対応するべきだったか? あらゆるケースを考え直す。さらに、人だけでなく、予算、時間、天候、等の影響はないか? 何がどうすれば、問題を収拾し、乗り越えることができたか?を考える.....(つづく)
「過去を振り返らず、前向きに生きること!」は間違っている!?①「愚痴をブログに書くな!」と云う先輩 [映画業界物語]
「過去を振り返らず、前向きに生きること!」は間違っている!?①
「愚痴をブログに書くな!」と云う先輩(2014年の記事)
業界の先輩から連絡が来た。
「太田! お前のFBを読んでいると、愚痴ばかり書いているが、もっと前向きに考えないと駄目だ!」
そんな指摘をされた。はあ?何? 「愚痴? どこが?」先輩の文章をよく読むと、過去の映画であった大変なエピソードや事件をFBで紹介したことを言っているようだ。
愚痴? 前向きに考えないと? 意味が分からない。しばらくして、やっと分かった。先輩は過去にあった悔しい事件や情けないできごとを語ることを「愚痴」と解釈しているのだ。だから
「いつまでもクヨクヨ悩んでいないで、過去のことはさっさと忘れて、前向きに生きろ」
といっているのだ。先輩以外にも似たようなことをいう友人はいる。
「終わったことをいつまでも言っていても仕方ない。前に進もう!」
一見、正しい意見のように思える。どうも日本にはそんな発想が正しいという思いがあるようだ。実際、歌謡曲でも「立ち止まるな 振り向くな」とか「Don't look back」とか似たような発想のものが多い。一般的に考えても、後ろ向きより、前向きの方が好感を持たれ、支持される。
「過去は忘れて前に進もう」
は正しいと思われる。「しかし、それは違う!」と昔から僕は思っている。過去を忘れて、前に進んでは行けない!(つづく)
俳優業ーもの凄い責任と期待に、応えなければならない仕事⑤終 応援しているファンをも裏切ることになる? [映画業界物語]
俳優業ーもの凄い責任と期待に、応えなければならない仕事⑤終
応援しているファンをも裏切ることになる?
さらに、プライベートの悩みで芝居ができず、そのために出演場面を大幅にカットされたとしても、その俳優を応援している人たちがいる。
「***ちゃんの出番を楽しみにしていたのに、ちょっとしか出て来ない。どうして?」
家族が病気で演技に集中できなかったと知れば、同情するかもしれない。でも、他の俳優だって多くの人が応援している。がんばって演じた場面が、1人の共演者のためにカットされる。
その俳優にとって一生で一度のチャンスだったかもしれない。償うことはできない。その人の人生を潰すことにもなる。絶対に許されないこと。多くの人に迷惑をかけ、映画自体を駄目にすることに気づかないようでは俳優失格。もう仕事を続けてはいけない。
親が危篤ということだけでなく、撮影の日に高熱が出て動けないでも同じ。彼氏に振られたなんて理由にもならない。つまり、何があろうと撮影日には最高の状態で、役作りを完全にして臨まなければならないのだ。
見た目にカッコよく、可愛く、皆にキャーキャーいわれて、俳優は気楽な商売だな?と思えるかもしれないが、多くの人の期待と、もの凄い責任を背負っている。裏切ることなく、それに応えねばならない。人生を賭けねばできない大変な職業。それが俳優業という仕事なのである。(了)
俳優業ーもの凄い責任と期待に、応えなければならない仕事④ 私生活で悩むこともできない? [映画業界物語]
俳優業ーもの凄い責任と期待に、応えなければならない仕事④ 私生活で悩むこともできない?(2018年の記事から)
俳優がプライベートで問題を抱え集中できない状態で、芝居が駄目でも撮影はせねばならない。だが、俳優がそんな状態では監督が何をいっても駄目だ。特に役作りが中途半端で撮影に来ていたらもう終わり。駄目な演技を撮影するしかない。
あとでスタッフが悩む。ラッシュを見る。やっぱり駄目だ。使いものにならない。「俳優***さんは駄目だ!」では済まない。映画自体のクオリティを落としてしまう。
そうならないように監督はその俳優の力量を把握し、信頼して依頼するのだが、ときは想定外の親の病気、彼氏に振られたという理由で、芝居ができなくなる役者がいる。そのために映画自体がとんでもない危機に見舞われるのである。
撮り直しをするには多額の予算がかかるので駄目。他の俳優のスケジュールも全て調整せねばならない。実質的に無理なのだ。できるのは、その俳優のシーンをできる限りカットすること。
物語が壊れない程度(それが難しい)に切る。小さな役ならそれが可能だが、それなりの役だと厳しい。が、1人だけ素人のような芝居をしている場面があると、映画全体を駄目にしてしまうのだ。
カットするということは、その俳優と共演した、同じ場面に出ている俳優の演技もカットせねばならない。その日の撮影や照明の努力も無駄になる。その場面にしか出ていないエキストラの人もカットされる。もの凄く多くの人が犠牲になる.....。(つづく)
太田監督の「ドキュメンタリー沖縄戦」監督日記ー好評連載中です! [2019]
●「ドキュメンタリー沖縄戦」監督日記
「朝日のがあたる家」で原発事故の悲劇を描いた太田隆文監督の最新作。
今回はドキュメンタリー映画。
3年がかりで今春完成しました沖縄で多くの方をインタビュー。戦争体験ある方々から当時の話をたくさん聞かせて頂きました。もう80代、90代のお年寄り。その言葉を伝えることの大切さを強く感じました。
そして沖縄戦を研究する方、沖縄戦を伝える活動をする方。多くのみなさんの熱い協力、応援を頂き完成しました。
作品はかなり良い出来で、専門家からも高い評価を頂いています。これまでになかったドキュメンタリーになりました。涙なしで語れない過酷な沖縄戦の実態。徹底して伝えます。同じ過ちを繰り返してはいけないこと伝えます。
まずは東京、沖縄で上映を計画中。
ご期待下さい。
ブログは沖縄取材、沖縄戦勉強から、編集、完成まで。今後は完成披露上映に向けた経過を詳しくレポート。他にも日本が抱える問題。監督が考えるあれこれを綴ります。
予告編=>https://youtu.be/sGFjWg0fo00
ブログはこちらで=>https://okinawa2017.blog.so-net.ne.jp
ここ=>https://okinawa2017.blog.so-net.ne.jp
2019年秋、沖縄にて完成披露試写会を準備中。