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映画「ジョーカー」を見てはいけない。心の闇に陥り、帰って来れなくなる?ただ、今年1番の傑作 [映画感想]

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映画「ジョーカー」を見てはいけない。心の闇に陥り、帰って来れなくなる?

昨日は1日、気分が滅入り立ち直れなかった。映画「ジョーカー」を見たせいだ。予感はあった。見たらヤバイ。ハリウッド映画の爽快感やエンタテイメントを期待したら大変なことになる。その通りだった。上映中。早く終わってくれと願いながら見ていた。辛すぎる。闇の世界に心が引き摺り込まれていく。

物語は「ダークナイト」等でお馴染み

の悪役ジョーカーの若き日を描いたもの。ノーランのシリーズでいうと「バットマン ビギンズ」以前の部分。青年がいかにして悪のジョーカーになるか?物語にはのちにバットマンとなるブルース・ウェインの幼い頃の姿も描かれ。彼の父、ウェイン財閥の創始者も登場する。だが、ノーランが描いた「ダークナイト」シリーズ以上にダークでヘビーな世界がある。

「ビギンズ」で描かれたブルースの両親の死が、犯罪者側から描かれる。そこに至るまでジョーカーはどんな環境で、どんな生活を、どんな思いでしていたのか? 映画はそれを瞬きせずに見つめる。だが、それはあまりにも悲しく、あまりにも陰惨で、あまりにも希望のないジョーカーの若き日。予想外に自身を重ね共感してしまう。そう、ジョーカーは誰の心にもいる。

この映画は「タクシードライバー」

の影響を多大に受けている。監督自身が愛する作品なのだろう。いたるところにオマージュがあり、先の作品を知っていると感嘆する。ジョーカーは「タクシー」の主人公トラビスでもあるのだ。そのトラビスを演じたロバート・デ・ニーロもこの作品に出演している。そこにも監督の強い思いが感じられる。

「タクシー」を見ていても多分、気づかないであろうところを紹介すると、ジョーカーの職場にいる黒人。衣装やファッションが「タクシー」の夜カフェにいる黒人と同じ。ジョーカーが愛する黒人女性。デ・ニーロが私生活で黒人好きだったことを踏襲? しかし、「タクシー」のオマージュというだけでない、重く、暗く、やり切れない世界が展開する。

それは主演俳優と監督の執念

ともいう「思い」がなし得たもの。アメリカでは上映中の映画館に警察官が配備されているという。「ジョーカー」を見た観客が暴動を起こすかもしれないからだ。実際、映画を見ると闇の世界に引きずり込まれ、皆、ジョーカーになってしまう。人の心に住む邪悪な世界に引きずり込む映画。痛快なハリウッド映画を期待する人は見ない方がいい。だが、今年のベストと言える傑作である。



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楽しみにしていたタランティーノの新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」=少し長いが解説をどうぞ! [映画感想]

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楽しみにしていたタランティーノの新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」=少し長いが解説をどうぞ!

ようやく観ることができた。多分、一般の人が見れば「なんじゃこれは〜」という映画だろう。ま、その意味ではマニアックなタランティーノ的作品ということで理解できるかも?だが、今回は個人的にいろいろ思うところがあった。

舞台は1969年のハリウッド。

落ち目の俳優(デカプリオ)と彼のダブルでもあるスタントマン(ブラピ)を中心に、女優のシャロンテートやロマン・ポランスキー監督、大スターのSマックイーンら実在の人物も登場(もちろん俳優が演じている)するハリウッド物語。

僕がこの映画を知ったのはアメリカの映画サイト。Facebookで「いいね」を押してあるので、毎日流れてくるのだが、そこに一枚の懐かしい写真。ハリウッドのプッシー・キャット・シアター。と言っても何のことか分からないので説明する。この映画チェーンはアダルト映画を専門に上映するところで、僕がLAに留学した頃はまだ残っていた。日本でいうと日活ロマンポルノに近い存在。

ダウンタウンから行くと、ハリウッド・ブルーバードに入ったあたりのフィリーウェイとの交差したあたりに1軒。そしてチャイニーズ・シアターの近所にも1軒あった。僕が帰国するあたりから無くなり今はもうない。ビデオデッキの普及でHな映画を自宅で見れるようになったのが理由。そのチェーンは1960年代からあったようだ。

その映画館のスチールがアップされていて「おー」と思ったが、解説を読むと、「これは当時の写真ではなく、タランティーノの新作のためにハリウッドにある建物を改造して当時の映画館を再現した」と書かれおり、さらにビックリ!それこそが「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」だ。

さらにシネラマドーム

こちらはハリウッド通りの南にあるサンセット通りにある有名な映画館。ウエストウッドのビレッジ(これも映画館)が予告編に登場。ワクワクしていた。それら映画館は留学中に何度も訪れている。という興味もあり楽しみにしていた。

ところが、期待の(?)プッシーキャットシアターはピントの合わない背景として、その近所をブラピが車で通り過ぎるだけ!そのシーンは2回あるが数秒。先のスチールで見ると別の建物に看板をつけ、ポスターを貼り、上映中の映画のタイトルを表示。ものすごく手間をかけていたのに、あれでは誰が気づくの?という感じ。

さらに当時の映画「トラトラトラ」

の巨大ビルボードも撮影所の場面で出て来るのだが、これも一瞬で気づく人は少ないだろう。まあ、そんな贅沢なセットをいくつも用意。何じゃこれは!というよく分からない物語が進む。が、映画ファンなら知っていると思うが、女優のシャロン・テートはあの事件で有名。そうまさに「シャロンテート事件」の犠牲者なのだ。

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カルトグループのボス・チャールズ・マンソンとその子分たち(小さなオウム真理教のような集団)が自宅に乱入。妊娠中のシャロンを惨殺した事件だ。夫のポランスキー監督は「ローズマリーの赤ちゃん」をヒットさせたばかりの注目の鬼才。たまたま、ロンドンにいたので無事だったが、そことが原因なのか?のちに幼女強姦事件を起こし、今もアメリカに入国すると逮捕される。

その後、監督した映画がナスターシャ キンスキー主演の「テス」。劇中でシャロンがウエストウッドの映画館に行く前に本屋に寄るが、そこで取り寄せたのが「テス」の原作本。そして、映画館で自分が出演している「サイレンサー破壊部隊」を見る。この辺がタランティーノ。

さらにブルースリーも登場。

ちょうど彼は「グリーンホーネット」のケイト(加藤?)役で活躍していた頃。タランティーノはリーも大好きのようで「キルビル」でユナ・サーマンが着ていたのは「死亡遊戯」のリーの衣装と同じデザイン。

リー役の俳優も「燃えよドラゴン」等を見て勉強したようだが、リーが奇声(あちょーというあれ)を上げるのは「怒りの鉄拳」(1972年)以降で、1971年製作の「ドラゴン危機一髪」でさえ奇声は上げない。なので69年にリーが「あちょー」というのはおかしいが、あれがないとブルースリーと分からなくなるということかもしれない。

あと、ブラピとの対決シーンで、リー役の俳優が本人の細かい動作(鼻を触る等)をしているが、リーは相手に飛びかかる前に声は上げない。あれではチンピラの奇声。そんなところが少し気になる。

劇中でデカプリオたちが見るテレビドラマ。多くは本物のドラマで「FBI」はめっちゃ懐かしい。長年続いたシリーズなので、僕も中学の頃に見ていた。あと、車で走るときに流れるカーラジオのFM。あれ子はもう、めっちゃLA。住んだことがあれば誰しもそう感じる。

僕が生活したのは80年代後半の6年くらいだが、同じ時代にタランティーノもLAにいた。というより彼は生まれも育ちもLAなので、その辺の思い入れがよく分かる。

最後に「シャロンテート事件」

をどう描くか?心配だったが、なるほど!という感じ。そこにタランティーノの愛を感じた。そんな意味でLAとハリウッドと映画とテレビドラマが好きな人はとても楽しめる!



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また「明日にかける橋」の素敵な感想をYahoo!レビューに上げてくれた方が! [明日にかける橋=感想]

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また「明日にかける橋」の素敵な感想を上げてくれた方がいる。

Yahoo!映画の感想は全体的にレベルが低いものが多く、見る力がない若い子が自分が分からないことがあると「突っ込みどころ満載!」と批判していることが多い。が、この方の感想はとても嬉しいもの。ぜひ、読んでほしい。「明日」DVDは全国のTSUTAYAでレンタル中!

(その一部を紹介)

「本当に大切な事を自分で考え…行動すれば未来は変えられるはずだ」

宝田明さんの言葉にはジーンと胸が熱くなりました、行動することが、どんなに大事なことなのかを教えて頂きました。

両親との再会のシーンでは、みゆきの母(田中美里)が、昔お婆さんが口癖のように、こんなこと言ってました。

「勉強なんて適当でいいのよ、大人になっても何の役にも、たたないんだから、それよりも本当に好きな事やるのよ、時代は、コロッと変わる、でも手に職があれば何かあっても大丈夫、覚えておくんだよ」

この言葉こそ、本当に大切な事だなと私なりに思いました。


全文はこちらで=>https://movies.yahoo.co.jp/movie/363702/review/74/?c=1&sort=lrf




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僕の監督作6本。全ての「監督日記」がある。それらを整理中!  [告知]

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僕の監督作6本。全ての「監督日記」がある。それらを整理中! 

資料整理やHDD確認作業だけでも何日もかかる。そんな中で日頃できない作業をしている。

僕は監督第1作の「ストロベリーフィールズ」から最新作の「ドキュメンタリー沖縄戦」まで全6作すべての監督日記を連載した。企画時から脚本、撮影、編集、宣伝、公開、DVD発売まで。映画作りがどんなものなのか?を記録。お伝えてしている。

関係者、映画ファンだけでなく、俳優を目指す人たち。歌や小説。漫画。いろんな表現をしたい人たちの参考になればと思っている。6本中3本は完結しているが、現在も3本を連載中。

●「朝日のあたる家ー監督日記」はすでに6年目だ。主に政治、事件関係のことを書く。れいわ新選組応援もこの日記。

●「明日にかける橋ー監督日記」は現在、俳優や監督を目指す人たちが参考になる話を掲載。

●「ドキュメンタリー沖縄戦ー日記」はまさに12月の完成披露試写会が準備中。その告知と、戦争、沖縄等の社会派記事を書いている。

この数週間。それらを整理。「明日」に書いてしまった事件の記事を「朝日」に移すとか、「朝日のあたる家」日記を読んでいても「明日にかける橋」の告知が出てくるようにした。山本太郎さんが出ているので「朝日」は見ているが、「向日葵の丘」は知らないという人もいる。そんな人たちに他の映画も知ってもらうためだ。

3つのブログは毎日1000件近いアクセスがあり、So-net映画ブログでは3本ともベスト15位内に入っている。

読み逃したものがあれば、それぞれにアクセスしてもらうと「カテゴリー」別に選べるし、検索もできる。バックナンバーもFacebookより探しやすい。よろしく。

「ストロベリーフィールズ」監督日記=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp

「青い青い空」監督日記=>http://takafumiota08.blog.so-net.ne.jp

「朝日のあたる家」監督日記=>http://cinemacinema.blog.so-net.ne.jp

「向日葵の丘」監督日記=>http://aozoraeiga.blog.so-net.ne.jp

「明日にかける橋」監督日記=>http://cinematic-arts.blog.so-net.ne.jp

「ドキュメンタリー沖縄戦」=>https://okinawa2017.blog.so-net.ne.jp




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僕の場合。映画監督になるために、あえて業界から遠ざかった?⑥ (終)=俳優等「表現の仕事」をしたい人たちのための覚え書き [映画業界物語]

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僕の場合。映画監督になるために、あえて業界から遠ざかった?⑥
=俳優等「表現の仕事」をしたい人たちのための覚え書き


アメリカ生活を経験したことでシナリオが書けるようになったのではなく、異国で生活をしたことで様々な価値観、ものごとの見方、日本との比較、考えた方の違い、そんなことで知見が広がった。日本にいると当たり前のことが、世界では当たり前ではない。

日本の狭い、閉鎖的な考え方、習慣も感じた。また、逆に大嫌いだった日本の素晴らしさ、美しさも知った。そんなことが後々、シナリオを書く上で生きている。

そんなふうに僕の場合は業界でチャンスを掴む、業界で勉強するということより、物語を作るために、新しい体験を求めて海外に出て、戻った。その意味では「表現力を養うこと」ではなく「経験」の方を重用した。

先に書いた「俳優になるには…」の結論の逆をしている。俳優と監督との違いはあるが、下手したら日本に戻り、もう30代、そこから映画の世界で仕事をすることができなければ、大失敗となった。

しかし、友人、知人が業界にいたからこそ、助けられた。感謝せねばならないし、大きい。ただ、彼らの全てが献身的に助けてくれたか?というと、むしろ逆。僕の作品を認める者はほとんどおらず、批判否定の連続。それでも業界で働く彼らから情報や紹介を受けて展開することはできた。

大切なことは自分の目標が何なのか? 俳優か? 歌手か? 作家か? 映画監督か? そして自分がいる環境。どんなに実力があっても1人では何もできない。応援してくれる人、認めてくれる人、チャンスをくれる人、そんな人たちとの繋がりがあってこそ、前へ進める。

まじめにバイトしているだけでは何も変わらない。プライドを高く掲げるだけでは誰も助けてくれないのだ。今、俳優や歌手、作家を目指す人たちの参考になれば嬉しい。



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僕の場合。映画監督になるために、あえて業界から遠ざかった?⑤ =夢追いながら挫折していった仲間たち [映画業界物語]

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僕の場合。映画監督になるために、あえて業界から遠ざかった?⑤
=夢追いながら挫折していった仲間たち


僕の場合。一度、業界で仕事をしながら、離れて海外に行き。いろんな体験をして、戻って来た。なので映画学校の同級生が業界で仕事していた。帰国してから書いたシナリオを見てもらうこともできた。

昔、仕事をした先輩たちを訪ねることもできた。自主映画時代の友人も業界で活躍していた。もし、これがいきなりアメリカに行き、いろんな経験をして日本に戻っても、誰も知り合いのいない映画界で仕事を探すことはむずかしかったかもしれない。

ただ、当時からコツコツと小説を書いていた友人。シナリオを書いて映画にするんだと息巻いていた後輩。日本でバイトをしながら自主映画をしていた仲間は皆、いなくなっていた。

皆、バックグランドがなく、バイト生活しか経験していない中で、自分の好きな映画やドラマを切り貼りした物語を想像。書き続けていたが、バイトをするだけで1日が終わり、「書く力」が残されていない。書いては原稿用紙を破る....。最後まで書き上げたという話、誰からも聞いたことはない。

思うのだけど、やはり創作というのは、何らかの経験値から、記憶から生まれて来るものだろう。東京のアパートで生活しながら、バイトしながら、それだけの経験で生まれるものではないと思える。

では、アメリカ留学すれば書けるのか?というと、それはそれで苦戦するのだが、別の機会に紹介するが、僕がシナリオ=つまり、創作で本格的に戦うのは、このあとだ。LA留学をしたことで、それを元に書いたものが認められ….ではない。何が役立ったのか?

(つづく)


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僕の場合。映画監督になるために、あえて業界から遠ざかった?④=「才能があればやっていける」そうは思えない。では? [映画業界物語]

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僕の場合。映画監督になるために、あえて業界から遠ざかった?④
=「才能があればやっていける」そうは思えない。では?



高校時代からシナリオや小説を書いていた。映画学校時代も独自にシナリオを書いたが、ベースになるのは、高校時代の記憶。それをもとにSF的な物語を作るのだが、今考えると、過去に見た映画の切り貼り。多くの作家志望や映画監督志望者がそうだが、自分の好きな作品の寄せ集めでしかない。それで観客を感動させることはできない。要は映画ごっこレベルだ。

何ら経験がないのに、観客を興奮させ、感動させる物語は作れないことに気付く。もちろん、もの凄い創作力がある人はサラリーマン生活をしていても、素晴らしい物語を作るかもしれない。「人間の証明」の森村誠一さんはホテルマンをしながら小説を書き、その後、会社を辞め、作家に専念。大ベストセラー作家となった。黒澤明監督も絵描きになるのを断念。東宝に入社して世界的な巨匠となる。どちらも、特別な経験をしている訳ではない。そんな状況を見て同じく映画監督を目指す友人たちはいう。

「才能があればやっていけるんだよ。手塚治虫だって、若い頃から漫画を書き続けて、未だに凄い物語を作っているだろ?」 

そうかもしれない。その上、映画界から離れてしまうと、どんなに素晴らしい体験やドラマチックな経験をしても、それを映画にするチャンスが掴めない。作家になるのなら、小説を書き、出版社に持ち込めば…ということが可能だが、映画の場合はそうは行かない。何の実績もない若造に何億円もかかる映画の監督など任せることはない。


5年ほど、自主映画活動をメインにして、助監督やADもやった。そして結論を見つける。昔から憧れていたアメリカに留学しよう。「スターウォーズ」のジョージ・ルーカス監督が学んだUSC(南カルフォルニア大学)の映画科に行こう! そうすれば映画の勉強をしながら、海外体験ができる。映画から全く離れてしまうとよくないし、といって、このまま日本にいても、経験値は延びないと思えた....。


(つづく)



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映画監督になるために、あえて業界から遠ざかった③ 僕には映画化すべき経験がなかった? [映画業界物語]

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映画監督になるために、あえて業界から遠ざかった③
僕には映画化すべき経験がない?

考えてみると監督と呼ばれる人は単なる現場監督とは違う。黒澤明は歴史に詳しい。大島渚は政治について論じる。オリバーストーンはまるでジャーナリスト。ウイリアム・フリードキンは大学教授のように博学。もちろん、職人的な監督もいる。監督を分類してみる。

①ディレクター(テレビの場合。監督をディレクターと呼ぶが、まさにそれ。複数のDが同じシリーズのドラマを撮っても、誰がどのエピソードか?分からないほど、個性を出さずセンスと現場進行の能力で仕事する人)

②映画監督(与えられた作品を予算内、期限内に撮り上げる。クオリティも高い。自分なりのスタイルもある。が、物語を通じて何かを主張しようとか、テーマを追及したりはしない)

③映画作家(映画を通じて、自分の思いを主張、メッセージする。作品はとても個性的)

僕は3番目だと思える。単に仕事としてシナリオを渡され、それを映像化する仕事ではなく、自分の思いや疑問を物語にしたい。そのためにはシナリオを書かなければならない。でも、監督業に就くには現場を経験する必要がある。そこで認められて監督になる。

ただ、シナリオを書くには「経験」が必要。以前の回で結論を書いたが、10年間、いろんな体験をしたからと、作家になれる訳ではない。最初は経験したことを書き、次第に取材をして書く。長期間に渡り、書く力を養うことが大事だと。しかし、当時の僕には映画化すべき経験というものがなかった....。

(つづく)



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映画監督になるために、あえて業界から遠ざかった?② 「演出部で行きたいなら仕事ばかりしていてはダメだ」 [映画業界物語]

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映画監督になるために、あえて業界から遠ざかった?②
「演出部で行きたいなら仕事ばかりしていてはダメだ」

偉そうなことばかり書いて来たので、僕自身の話も紹介する。映画監督という仕事もまた、鋭い感受性が必要であり、その上で「経験」と「表現力を磨くこと」の2つが要求される。が、ここが難しいところで、俳優業なら例えば30歳まで、いろんな仕事をしてから俳優になるのは難しい。

その種の人は経験はあっても演技力はないから。経験のない30代の新人俳優を求める芸能事務所もないし、業界も求めない。その意味で若い頃に俳優としてスタート。演技力を磨くことが大事と書いた。

映画監督も同じ。例えば助監督をしていると、映画の作り方。演出の仕方。俳優との接し方。スケジュールの立て方。小道具大道具のこと。衣装、メイク。いろんなことを学べる。それらを知らずして監督業はできない。そして巨匠やベテラン監督と仕事をする事で多くを学ぶ。

ただ、朝から晩まで撮影撮影の生活。映画のことは学べても、それ以外のことを経験できない。僕は19歳で助監督を経験。先輩たちは超多忙なのでテレビも新聞も読む暇がなく、世間のこと。それどころか芸能界のこと、どんな俳優が人気あるか? 今、どんな歌が流行っているか?も分からなくなっていた。

年齢が上に行くほどそれが酷い。いや、流行や世情ならいい。考え方がとても閉鎖的で古くさい。センスがない。おっと、全員がそうではないが、そんな人が多かった。古い作品を誉め称えるのに、新しいものを否定。僕も30年後はああなるのだろうか?そんなとき、業界の先輩からこう言われた。

「太田は何になりたいんだ? 技術系なら遊んでいちゃいけない。真剣に仕事して、いろんな技術を覚えないとダメだ。でも、演出部で行きたいなら仕事ばかりしていてはダメだ。いっぱい遊んで、いろんなことを経験しないと!」

そうかもしれない。カメラとか照明。録音。特撮等は技術系。学ぶことが重要。遊んでいる暇はない。でも、演出というパートは機械を使うとかではない。いろんなことを知らなければできない仕事。例えば、ヤクザの役がある。彼らはどんなふうに話すのか? どんな態度を取るのか? 俳優に指示しなければならない。警官ならどうだ。政治家なら。公務員なら? それを知らなければ演出はできない。(つづく)


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