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「明日にかける橋」予告篇作りで苦戦中! 名作映画の予告篇を思い出してみる? [映画業界物語]

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映画は2時間ほどで物語や感動を伝えるが、予告篇は90秒で内容を伝えなければならない。クラシック音楽なら1時間というのがあるが、歌謡曲なら基本3分ほど。映画は2時間だが、連続テレビドラマは1時間。というのと同じ。

2時間かけてテーマを描くのも難しいが、すでにある物語を90秒にまとめて伝えるのもかなりむずかしく、毎回苦戦する。例えれば120分かけて講演会をするのと、同じ内容は3分にまとめて話すのようなもので、大切な部分だけを抜き出し語るのだが、それで「面白い!」になるとは限らない。内容を要約するだけではなく、90秒を観客に楽しんでもらわなければ失格だ。

もうひとつ難しいのは、監督が予告篇を作る場合。客観性に欠けやすいということがある。2時間必要なテーマを語るから2時間の映画を作った訳で、それを90秒で語ると、あれもこれも!と思い時間オーバーしがち。なかなか、難しい。で、巨匠たちの予告篇作りを思い出してみる。

黒澤明監督も若い頃から自分で編集していた。印象的なものが多い。「天国と地獄」は誘拐事件の話だが、何と予告篇(公開当時の版、リバイバルは別版)では事件が解決したあと。犯人が拘置されている刑務所を権藤(三船敏郎)が訪ねたあと、帰るシーンから始まる。このカットは映画本編では使われていない。そんな場面から回想で誘拐事件を紹介していくという形。

「影武者」では夕陽を背にして引き上げる武田軍団のシーンから始まり、そこで兵士たちが噂話。「親方様(武田信玄)が死んだそうだ」別の兵士が立ち上がり「やいやい、ねぼけ眼(まなこ)を開いてしかと見ろ。親方様はあそこにござるわ!」と答える。彼らが振り返ると、武田信玄が軍勢を率いて馬に乗って現れ「影武者登場」とテロップがでる。

それぞれに短い時間の中で物語があり「何?」と思わせて引き込む演出、それでいて物語を説明する。なかなか旨い。まあ、大先輩に対して「旨い」もないが、予告篇というのはなかなか難しい。1970年代後半から一大ブームを起こした角川映画の予告も力が入っていて、センスがあり「おー」と思う旨いものが多かった。ただ、その多くは本編を見ると「ん〜」なものが多かったが、予告篇はどれも見事だった。

「人間の証明」の予告は「絶対に感動作だ〜」と思えるし「野生の証明」は「何が起こるんだろう?」と期待するし「戦国自衛隊」は「おー凄そうー」と感じる。「セーラー服と機関銃」も本編がまさか、あーとは思わなかったが、テンポのいい、青春ドラマ、これまでにない新しい感覚だと思えた。「スローなブギにしてくれも」も良かった。これまでの古くさい日本映画と違い現代的な感覚を感じた。まあ、両者とも本編は全然そうじゃないのだけど。

「キャバレー」もうまかった。角川映画の予告篇のうまさは音楽の使い方だ。マリーンが歌う「レフト・アローン」と凝った夜間撮影のライティング。フィルムノワールのような暗い雰囲気。これも「今までの日本映画と違う!」と期待させた。さて、偉そうにあれこれ批評してきたが、自分で作るとなかなか難しい。「これ観たい!!」と思ってもらえる予告篇。作らなくては、明日が〆切なのにまだアイディアがまとまらない。焦る。


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