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町おこしのための地域映画が成功しない理由ー映画が完成すると撮影に参加した人が、単なるお客様になってしまう現象? [地方映画の力!]

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映画は本当にお金がかかる。製作費だけでは十分でなく、地元の方が数多くボランティアで参加してくれる。或は市民俳優として出演。物を借りたり、建物を貸してもらったり、差し入れを頂いたり、情報を提供してもらったり。何百人もの応援を得て映画は完成する。

「私たちの街を舞台とした映画が出来た!」

と、皆、喜んでくれる。が、不思議なことに、撮影が終わると参加者の多くが、単なる観客になってしまう。「公開が楽しみだな〜」といって待つばかりとなる。「それでいいんじゃないの?」と思う人もいるだろう。

が、撮影のあとは「宣伝」という大事な仕事がある。なのに、多くの人は「撮影終了」=「完成」。自分たちが作った映画なのに「あとは、観るだけ〜」とお客様になってしまうのだ。

映画は宣伝し、多くの人に伝えないと映画を観に来てはもらえない。だから、ポスターを貼ったり。チラシを配ったり。前売り券を売ったりするのだが、地元の人は何もしなくなる。なぜか? 一般の人はこう思いがち。

「映画を作ればテレビが勝手に宣伝しくれて、新聞にも広告が載るだろ。だから、放っておいてもお客が来るんじゃないの?」

と無意識に思い込んでいるからだ。けど、テレビや新聞に広告が出るのは広告料を払うから。それには何千万も何億も必要。そんな余裕がないから、製作費を寄付で集め、ボランティで多くの市民に参加してもらった。巨額の宣伝費がないこと、分かりそうなのに........誰も、気付かない。説明してもピンと来ないようで、「今、忙しいから...」と言われる。撮影のときはあれほど、がんばってくれた人たちがそんな返事。そして以下のような会話となる。

「だって、広告会社がやってくれてるんだろー?(予算ないから雇えない!)」

「映画館が宣伝してくれるんだろー?(しません)」

「テレビが宣伝してくれるよね〜?(金を払わないとしてくれません)」

なのに最後は「映画の公開。楽しみにしています〜」で終わる。結局、お客様。動こうとする人はなかなかいない。最近はテレビ&映画業界については詳しい人が多いのに、なぜか「宣伝」に関して多くの人が「誰かが宣伝してくれるんじゃないの〜」と思い込んでいることが多い。だから、毎回、そこから説明して、宣伝活動に参加してもらうのだが、こんな人もいる。

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「映画ってのはいいものを作れば、口コミで広がってヒットすんだよ。宣伝するのは作品に自信がないからだ!」

だが、それも違う。映画館上映は最低2週間。事前に前売り券が売れてこそ、3週4週と伸びる。そのためには公開前から宣伝が必要。それを映画が公開されてからの口こみを待っていたら、客が来る前に上映は終了。口コミが広がるには、かなりの時間がかかる。

僕の友人が古里で撮影した映画も同様だった。その街の映画館で上映されるのに「いつから公開されるか?」をほとんどの人が知らない。地元の人が前売り券を売ってない。その結果、初日の映画館がガラガラ。数週間で上映打ち切り!

地元でヒットしない映画が東京で公開される訳もなく。あれほど、みんなががんばって、一致団結して作った映画が、一部の人だけが見ただけで終わる。参加者でさえこういう人が多い。

「え?いつ上映したの?知らなかった...」

宣伝しないから皆、上映を知らなかったのだ。あの大変な撮影は何だったのか? あの努力と奮闘は無意味だったのか? そんなことが地方映画ではよくある。何より自分たちの街の良さを全国にアピールするための映画なのに撮影だけ参加して「あとはよろしく〜」みたいな人が多い。だが、彼らが、いい加減ということではない。一般の人の多くは「宣伝」という認識がないからだ。

「誰かがやってくれるだろう。テレビで宣伝してくれるはず。映画館が告知してくれる」

と思い込んでいるのだ。自分たちが作った映画は自分たちで宣伝しなければ、誰も宣伝しないことが分からない。なのに実行委員や関係者が「映画公開、楽しみ〜」とネットで「いいね」を押するだけになってしまう。せっかく、みんなで作った映画が、そのために惨敗して2週間で終わり。他の街では上映されない映画もよくある。

宣伝というのは、撮影と同じくらいのエネルギーと労力が必要。そこで何もしなかったら、せっかくの映画が無駄になる。なのに地方ではそんなふうに宣伝の大切さを分かってもらえないことが多い。上映が終了し、何ヶ月かして「そーいえば、あの映画どうなったんですか?」といわれることもよくある。本当に悔しい....。

映画だけではない。日本人って大変な状況になっても、自分たちがとんでもない目に遭っても「誰かが何としてくれるだろう?」と思いがち。しかし、誰も何もしてくれない。自分たちが動かなければ何も変わらない。それに気付いていない人、多いのだ。悲しい...。


2015-05-20


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