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明日にかける橋ー編集日記 カラコレとは何か? [「明日」編集]

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「ゴッドファーザーPARTⅡ」は息子マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)の時代と、父ビトー・コルレオーネ(ロバート・デ・ニーロ)の時代を平行して描くマフィアの物語である。イタリアから移民して来た父がニューヨークで成り上がって行く時代。マフィアのボスとして君臨。さらに勢力を広げようとする息子の時代が対照的に描かれた名作映画だ。

監督のコッポラはそれぞれの時代を描くのに、色合いを変えて表現している。前作の「PART1」でも黄色のフィルターを入れ、ノスタルジックな映像を作り出していたが、前作の時代以前とその後を色合いで差別化しているのが見事。デニーロの時代はかなり濃い黄色が入り、より強いノスタルジー感を出していた。

では、今回の「明日にかける橋」はどうか? 時代はこちらも現代と過去。できれば色彩的な違いを出したいと撮影前からカメラマンと話していた。それをカラコレで実践する。「GF」ほどノスタルジックにしなくてもいいが、何らかの差は出したい。下の写真。今年の夏に撮影したもの。今回のロケ地のひとつ。セピアカラーにしてみると、やはり懐かしい古い風景に見える。

さて映画の舞台は1989年。僕の世代にすれば、そんな過去ではないけど。若い人にとっては歴史の1ページ。世代によって時代のイメージは違うだろう。そこで、まず他の時代を考えてみた。1940年代というと黄色のイメージ。それは当時の色あせた写真を見ているからだろう。実際に町が黄色ぽい訳ではないのに、古い写真のイメージでそんな色合いが当時らしいと感じる。

1960年代のアメリカ映画は街灯が赤いので、赤い光が当時を感じたりする(ネオンとか)その意味で1989年はどうか? やはり、黄色より赤かな? 1960年代は日本も照明が裸電球だったのでオレンジぽさが象徴的だが、1970年代は蛍光灯。ただ、この光が日本人のセンスのなさを広めた気がする。それを照明に反映したのがNHKの大河ドラマ。時代劇なのに、やたら明るくて、隅々まで光が来ている。あれはどうかと思う。

その意味で家庭の照明を考えると、80年代はまだLEDはない。バブルのネオン等で、町は赤や黄色の光が渦巻いていた感があり、豊かな時代色を出したい。比べて現代は不況。冷たい、活気のない色が時代。そんなことを考えており、現場で撮ったままの色合いではなく、その場面に相応しい色彩にして行く。そんな作業が「カラコレ」なのである。

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作品を振り返ると、いろんなことに気づく。作家性が見える。 [My Movies]

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本日も作業開始。現在は映像を書き出し中。コンピューターがやってくれるので、その間、作業はできない。そんなときはFacebookで記事を書く。編集については毎日書いているので別の話を書こう。

今回、「明日にかける橋」映像を通して見て感じたこと。相変わらず太田組テイストがありながら、今までとは全然違う作品になっているということ。例えばローリーング・ストーンズの歌も聴けばすぐに「あ、ストーンズだね!」と分かるが、それぞれの曲は同じではない。「サティスファクション」「悲しみのアンジー」「ワンヒット」「ギミーシェルター」とそれぞれに違う世界が違う彩りある。

で、自分の作品を振り返ってみた。「ストロベリーフィールズ」は交通事故で死んだ女子高生が最後の48時間を幽霊になって過ごす物語。ファンタジーだ。「青い青い空」はファンタジー色はなく、書道部の女子高生ががんばる話。「朝日のあたる家」は原発事故に巻き込まれた家族の悲しい物語。「向日葵の丘」は大人の女性の友情と高校時代の映画研究部の物語。

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ダブる要素はそれぞれにあるが、ジャンルもカテゴリーも違う。それでいてどれも、笑って泣けて感動できる作品になっている。でも、そこがむずかしいところで、同じ監督が作ると、どーしても似たような話が多くなってくる。おまけにシナリオを監督が書くと、本当に持ちネタがなくなり、焼き直しの作品が増えてくる。やってること毎回同じとか。

それが嫌で毎回、少しだけ変えた話にしている。「ストロベリー」以降にファンタジーは1本もない。得意とするところなのにやってない。今回の「明日」が久しぶりのファンタジー。先が「幽霊ファンタジー」で今回は「タイムスリップもの」カテゴリーは違う。

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「青い」は書道部「向日葵」は映画研究部の物語。だが、「青」は青春もの。「向日葵」は大人の友情もの。と、これも違う。全てに共通するのは、主人公が女子高生ということくらいか?「そこにこだわりあるんですか?」とよく聞かれるが、実はあまりない。でいうと、今回も前半の主人公は女子高生。そしてファンタジー。主人公は部活はやっていない。後半戦では初挑戦の犯罪ドラマとなる? 今まで映画内で犯罪を扱ったことはなかったが、もともと刑事ドラマは好きなので、がんばってみた。

その辺の僕の作家姿勢のことを、藤田朋子さんがインタビューで語ってくれている。なかなか興味深い。さすが!という指摘がいくつもあった。12月下旬に完成披露上映会で販売されるパンフレットにその記事が掲載されているので、お楽しみに。

そして5本を通して共通点がいくつかある。それを比較してみると、作家性がまた見えてくる。今回はどんな感じになるのか? 自分でもまだ実感できないが(監督は完成図をイメージしていると思われがちだが実はそうでないことが多い)映画は育てていくものなのだ。完成が楽しみ。作業再開。


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明日にかける橋ー編集日記 本日は2時間22分からスタート。 [「明日」編集]

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昨日も12時間以上作業、4分カット。「12時間も作業して、たった4分!!」と思われるかもしれないが、それが映画作りなのだ。

各カットから1秒ずつ240カ所からカットする。合わせて4分。「だったら4分のシーンを1カ所切れば早いじゃん?」とか言われそうだが、シーンを切ると物語の辻褄が合わなくなる。

だから、台詞終わりの1秒とか、風景カットの2秒とかを切る。そうするとストーリーが損なわれない上に、展開のスピードが早く感じられ、作品クオリティも上がる。ボクサーの減量と同じ。ギリギリまで体重を絞った方がパンチ力が増す。でも、減量し過ぎると体を壊す。

そして、減量は1日2日ではできない。ダイエットと同じだ。毎日少しずつ。映画も同じ。本日も5分前後切りたい。目標は2時間ジャストだ。


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映画は成長する。監督は自分の思う方向に引っ張るのではなく、作品の叫びを聞き、背中を押してやる仕事。 [「明日」編集]

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多くの人は「監督は最初から明確なイメージがあり、それを映像化するために努力する」と思いがち。ま、ほとんどの監督はそうかもしれない。僕の場合はあまり明確なイメージは持たず、未完成な形で把握。それを育てて行くという方法論を取る。

その手法を鈴木杏さんは感じ取ってくれたようで、インタビューでもそのことを語ってくれている(12月の完成披露上映会でその記事掲載のパンフ販売)現場であれこれ指示せずに、俳優が思わぬ演技してくれるのを期待するし、受け入れる。同じように編集時も作品が自己主張を始める。

あーこのシーンが前に出たいと言っている!と感じると、それを押してやる。僕が一方的に編集し、意図通りの形にはしない。次第に形が見えて来て、あーこんな映画になるんだ〜と毎回思う。時間が経つと忘れてしまい、もともと、そんな形をイメージして作ったと自分でも錯覚してしまうが、編集をしていると、そうではないことを思い出す。

今回も同じ。当初は家族の物語と思い進めていた。それはその通りなのだけど、途中からこれは主人公みゆきの成長物語でもあるんだな。と思えて来た。そして、本日「愛と哀しみの山河」の章を手直ししていて、これはファンタジーというより文芸作品かもしれないと感じている。

例えば「香華」。木下恵介監督の文芸大作。岡田茉莉子主演、有吉佐和子原作の映画。まあ、あれは日本の「風と共に去りぬ」というすごい作品なので、それと同じとは言わないが、物語として共通するものを感じる。時代の流れに翻弄される中を家族と共に生きる1人の女性の物語という意味では似ている。

木下作品では大好きな1本なので、影響を受けているかもしれない。しかし、もともとは「バック・トウ・ザ・フューチャー」なのに? いや、それもちゃんと入っている。そんなふうに編集していると、思いもかけない映画の影響を見つけたり、意図せぬものが広がっていくことがある。これが面白い。そろそろ、レンダリングが終わるので作業に戻る。


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「明日にかける橋」の舞台ー1989年とはどんな時代だったのか? [「明日」編集]

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映画「明日にかける橋」は1989年を舞台にしている。昭和64年。平成元年である。バブル最盛期。日本の企業が海外の会社やビルを買収。日本人観光客もニューヨークの高級品点で爆買い(?)。円の力は強く、今では考えられない好景気だった。

広告代理店の社員は会社からもらったタクシー券で出社。OLたちは豪華レストランで毎晩のように男性から奢られ、大学生たちはスキーウェアを毎年買い替えて、卒業旅行と称して海外へ。週末の六本木のクラブはお祭り騒ぎ。扇子を振りながらお立ち台に立つ若い女性たちが踊る姿がそれを象徴した。週末ともなるとタクシーが捕まらない。それなのエピソードが象徴するパブル経済。それが1989年である。

劇中でのエピソードにもあるが、日本の企業がアメリカのコロンビア映画やユニバーサル映画(正確には1990年)を買ってしまうという驚くようなこともあった。ニューヨークのロックフェラーセンターも日本企業が買収。当時は日本製品がアメリカ中を席巻していた。SONY、Pnasonic文字が着いた電化製品がどこの家庭にも存在。車も日本車が売れまくった。

その反発がジャパン・バッシングである。アメリカ車の売れ行きが悪くなったことで労働者がリストラ、日本憎しの思いが政治活動にまで発展する。そんな時代が下り始めたのが1989年。好景気はこのあとも続くが実質的にはこの年から下り坂となる。同時に時代が大きく変わった年でもあった。

世界に目を向けても1989年は時代の変わり目だった。東西ドイツが統合。ベルリンの壁が崩れた。東西冷戦の終わりである。中国の天安門事件。チャウシェスク政権崩壊。日本国内でも昭和から平成に変わったように時代を築いて来た人たちが亡くなる。美空ひばり、手塚治虫、松田優作。犯罪の形の大きな変化がある。この年に起きた宮﨑勤事件、女子高生コンクリート詰め殺人事件等の犯罪はそれまでになかったタイプ。これ以後にこの種の「恨み」「金」が目的でない異常犯罪が次々に起こることとなる。「酒鬼薔薇聖斗事件」「西鉄バスジャック事件」「秋葉原通り魔事件」らがそれである。

ハリウッドではシリーズものが次々に作られる。「バック・トウ・ザ・フューチャーpart2」「スタートレックV 新たなる未知へ」「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」「ザ・フライ2」「13日の金曜日 ジェイソンNYへ行く」「リーサルウエポン2」また、この年に公開され大ヒット。シリーズ化されたのが「ダイハード」「バットマン」である。ハリウッドが確実に客を呼べるシリーズものに執着し出したのはこの頃から。日本企業に買収されるほど、リスクを恐れ弱体化していたことも感じさせる。

音楽でいうとローリング・ストーンズが久々に、全米コンサートツアーを開始。日本には翌90年に初来日。アメリカではマイケル・ジャクソン、マドンナ、ブルース・プリングスティーンが相変わらず人気だった。国内では80年代から続くアイドル系歌謡曲と「いか天」等に象徴されるバンド系が人気を博す。前者でいうと斉藤由貴、南野陽子、浅香唯、小泉今日子、森高千里、光GENJI。後者では爆風スランプ、プリンセス・プリンセス等。若い人たちはレンタルCDを借りて、カセットテープに録音して聴くというスタイルが多かった。レンタルビデオもまだVHSテープが主流。LDはほとんどレンタルされず、DVDの活躍はまだ先のことである。

それから27年。間もなく、その平成も終わろうとしている。バブルで始まり、その後の長い長い不況。今の若い人たちは好景気を知らない。ニューヨークのティファニーに押し掛けた日本人を少し前の中国人観光客による日本での爆買いで思い出す。シャープが台湾の企業に買い取られ、大手電気メーカーも厳しい経営を続けている。今、ニューヨークのタイムズスクエアには見慣れたSONYのネオンはもうない。ロスアンゼルスの空港に置かれていた日本製の大型テレビも今は韓国製。平成は日本人にとって、どういう意味を持つ時代だったのか? 


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「明日にかける橋」の舞台。1989年のヒット曲 [「明日」編集]


1位 プリンセス・プリンセス:「Diamonds (ダイアモンド)」
2位 プリンセス・プリンセス:「世界でいちばん熱い夏」
5位 Wink:「愛が止まらない ~Turn It Into Love~」
7位 Wink:「淋しい熱帯魚 ~Heart On Wave~」
14位 斉藤由貴:「夢の中へ」43位 森高千里:「17才」
15位 浜田麻里:「Return to Myself ~しない、しない、ナツ。」
45位 渡辺美里:「ムーンライト ダンス」爆風スランプ「ランナー」
小泉今日子「学園天国」   薬師丸ひろ子「Lovers Concert」

(テレビドラマ)
「愛し合ってるかい?」「ハートに火をつけて!」「パパはニュースキャスター」 「春日局 (NHK大河ドラマ)」 「教師びんびん物語II」

(映画)

北京的西瓜 バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2 ブラック・レイン 危険な関係 13日の金曜日PART8/ジェイソンN.Y.へ インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 スタートレックV 新たなる未知へ 彼女が水着にきがえたら 

ザ・フライ2 二世誕生  ミシシッピー・バーニング レインマン 告発の行方 ダイ・ハード 帝都大戦 どついたるねん ゴジラvsビオランテ ファンシイダンス ミステリー・トレイン  セイ・エニシング ハーレム・ナイト レディ! レディ READY! LADY


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