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明日にかける橋ー編集日記  名優たちの言葉が胸を打つ [「明日」編集]

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若い頃はシナリオ執筆や編集というのは真夜中に行い、夜明けと共に寝て、日暮れと共に起きてまた夜通し作業するというのは通例だった。それが50歳を過ぎ、歳をとったせいで朝早くに目が覚めてしまう。なので、最近は朝から仕事をするというパターンが定着していた。

そんな中、今回の編集はかなり苦戦している。集中力が高まらない。「ここぞ!」というシーンはかなりな集中力がないと作業できない。ヘンな言い方だが、その場面に自分が負けてしまう。もの凄い気力と思いがないと、対峙できないのだ。だから、そのシーンはラインに並べるだけにする。ま、粗編なので今はそれでいいが、力の入るシーンは粗編でさえ、はじき飛ばされる。それらのシーン。なかなか手をつけられず苦しさが続いていた。

それがここ昨日より、真夜中に作業をしていると、調子がいい。やはり集中力は夜だ! ドラキュラか? ゴキブリか?というくらいに夜になると調子がいい。この歳でこんな夜更かしをしていていいのか?とも思うが、本領発揮だ。

「ここぞ!」というシーン①。宝田明さん演じる尾形社長の独白。ここは映画のテーマとも言える場面。そこの作業。宝田さんが凄い。台詞のひとつひとつに唸ってしまう。僕が書いた台詞ではあるが、もう宝田さんが「思い」を伝えているとしか思えない。ようやく手を着けることができ、なんと2時間ほどで粗編終了。

「ここぞ!」②。板尾創路さん演じる父が娘であるみゆき(鈴木杏)と会話するシーン。ここは見せ場のひとつ。2人がお寺の階段で並んで座り、思いを語る。もう、頭の場面から泣きそうになる。板尾さん、悲しみが溢れていて、言葉が胸に突き刺さる。

これも僕が書いた台詞なのだけど、板尾さんが思いを語っているとしか思えない。毎回そうなのだけど、素晴らしい俳優というのは、人が書いた台詞なのに、それを自分の思いであるかのように語る。名優とはそういうものなのだろう。そして今回はそんな素晴らしい俳優たちが何人も出演してくれている。

CGで作られた恐竜よりも、迫力ある大爆発のシーン。巨大な悪の組織の秘密基地より、俳優が思いを込めて語る台詞が感動を呼ぶのはなぜか? 人の言葉が人の思いが胸を打つのである。だからこそ、集中力が弱っているときには、それらのシーンに、はじき飛ばされるのだ。俳優たちのもの凄い思い、編集するものも全身全霊で挑まねば映像を編集することはできないのだ。真夜中の戦いを続ける。


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