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映画監督業ってどんな仕事=女優と飲みに行ける羨まれる仕事か? [映画業界物語]

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映画監督業ってどんな仕事=女優と飲みに行ける羨まれる仕事か?

僕の仕事は映画監督。これまでに6本の映画を作った。ある先輩には「1本で撮って消えていくと思ったけど、まだやってんだ?」と言われた。多分、褒めているのだろう。先輩の言うように監督作1本だけで終わる人も多い。昔からの友人はこういう。

「高校時代から監督になるって言ったけど、本当に監督になったよなあ!」

高校くらいまでは人に言わないまでも夢があり、将来は小説家になりたい。バンドをやりたい。漫画家になりたいと夢見る若者がいる。が、ほとんどが夢破れて、サラリーマンになるのが現実。それだけに友人は褒めてくれる。最近はこんな人が多い。

「映画監督は有名な女優さんと飲みに行ったりするんですよね〜羨ましい」

そんな監督もいるが、僕はしないということ何度も書いた。もちろん、打ち上げでは一緒に盛りがる。が、プライベートでは会わない。おまけに僕は捻くれ者なので、有名な人と親しいことやご飯を食べることを自慢する人の気持ちが分からない。むしろ面倒だと思ってしまう。が、羨ましいがれることは多い。

映画監督業は孤独であり、人生の物凄い時間を費やしてプライベートを犠牲にせねばならない仕事。9時5時では済まない。起きてから寝るまで考え続ける。主人公には何をさせるべきか? 物語を通じて描くべきものは何か? どの俳優にお願いするのがいいか? どの街で撮るべきか? 何日も何ヶ月も考え続ける。

また、監督業だけではなく、脚本も、編集も、プロデュサーも、宣伝も担当する。毎回7人分の仕事をする。映画製作は企画から公開まで2−3年。その間、ずっと映画のことを考え続ける。もちろん、そうでない監督もいる。競馬が好きで会議があるのに競馬中継を見ている人。女好きで女優を口説いてばかりいる人。酒が好きで飲み会ばかりしている人。

でも、映画にかける時間が作品のクオリティを決める。他に時間を費やしている監督たちの作品はやはり、そこそこ。対して巨匠たちは人生そのものを映画に捧げているというべき存在。だから名作が撮れる。ただ、そんな生き方をしていると失う者も多い。親の死に目に会えないのは、この世界の常識。今の映画界で監督はまず金持ちになれない。妬みも買う。誹謗中傷も受ける。足を引っ張られる。

来年どうなっているか?分からない。何度も医者から「過労死するから休みなさい」と言われる。「いつ死んでもおかしくない!」と何度も言われた。実際、後輩監督が過労死した。僕に負けないくらい仕事していた。次は僕の番? 映画公開が終わるとダウン。数ヶ月寝たきりとなる。それに見合うだけのギャラはもらえない。そんな現実を知っても「羨ましい」「夢を掴んだ」「女優と飲みに行ける」と思うだろうか?

多分、俳優も、ミュージシャンも、作家も、漫画家も、似たようなものだ。外から見るほとハッピーな仕事ではない。血を吐きながら続けるマラソンのようなもの。しかし、その多くはこう思って頑張っているはず。「自分が演じたドラマ。自分が書いた物語。自分が監督した映画。それで多くの人がハッピーになってくれれば嬉しい。それなら、血を吐くマラソンも悪くない」と。


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